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映画 「スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け」

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 スターウォーズのエピソード9にあたる「スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け」を観てきました。
 1977年から始まり、長かったシリーズの完結編ということで、公開後すぐに観に行きました。
 といっても初日ではなく、テレビでエピソード7と8を見てから行ったのですけどね。
 シリーズのこの2作を見ていたらまぁOKだろうと思っていたらとんでもない。
 これはエピソード1から全部見る必要がありました。
 まだ公開されてからあまり日にちが経っていないので、できるだけネタバレなしの感想にするつもりですが、もしばれてしまったらすみません。

 swⅨ2
 今回の映画のストーリーはここでは詳しく書きませんが、エピソード8に続きで帝国軍に反抗するレジスタンスに対し、カイロ・レン率いる帝国軍が容赦なく殲滅にかかります。
 その攻防についての戦闘シーンやアクションシーンのすごいこと!
 映画の半分ぐらいはそういうシーンだったのではないでしょうか。
 観ているこっちもヒヤヒヤドキドキで目はスクリーンに釘付けです。
 この迫力は、やっぱり映画館の大スクリーンでこそ味わえる感覚で、絶対映画館で観るべき作品だと思います。
 
 SW全作品のストーリーについては、スカイウォーカー一族3代の壮大なドラマなのですが、暗黒面とはいったいどこからきているのかについて考えさせられました。
 よく考えてみると、主要人物はどの人も自分の親にきちんと育てられていないのです。
 ルークもレイアもアナキンもそしてカイロ・レンも。

 ジェダイは正しいライトサイドかもしれませんが、ジェダイの掟では「誰かを愛することは執着心をうむ」からと特定の人を愛することを禁止しています(ep2)。
 アナキンはこれに悩んでダークサイドに惹かれるのですが、最終的にダース・ベイダーになったのは、オビ=ワンとアナキンが戦った時にアナキンが助けを求めたのに対し、オビ=ワンが助けなかったからだと思います。
 オビ=ワンは助けを求めているアナキンに「お前のことを愛していたのに!」と言いますが(ep3)、師であり父のように慕っていたオビ=ワンに見捨てられたら、オビ=ワンの言葉なんて信じられませんものね。
 これでアナキンは完全にダークサイドにおちたのでしょう。
 愛していたら最後の最後には助けてくれるはずだと思うのが通常の感情ですものね。
 でも、オビ=ワンはジェダイなので、その感情がわからなかったのか、もしくはわかっていても大局に立って物を考えなければいけないと自制してしまったのか、結果もっと悪い事態を引き寄せてしまいました。
 
 逆にダース・ベイダーであるアナキンは、ルークの身代わりに皇帝の刃を受けてしまいます(ep6)ので、ずっと一般的な人間の感情をもっていたことがわかります。
 アナキンは自分の母親に育てられていたので、そういった「愛情」というものを理解していたのでしょう。
 ですが、いかんせん母親と離れた年齢が低かった。
 おまけに自分は奴隷から解放されたのに、母は奴隷のままで自分だけが旅立った(ep1)という感情からか、愛する者を喪うということに過度の恐れをもってしまいます(ep3)。

 また、オビ=ワンはきちんとアナキンを褒めて育てたのかと疑問を持ったのが、ドゥークーとの対決(ep3)。
 アナキンはドゥークーの両腕を切り落とし戦いに勝利しているのに、パルパティーンの扇動にのって止めをさしてしまうのは、今までの育ちの中できちんと評価されていなかったので、どこまですればよいかの判断が峻烈になったからではないかと思いました。
 もしくは、悪の敵をやっつけたという皆からの称賛を期待したからかもしれません。
 称賛を過度に期待する人は、褒められた経験が少ない人か、褒められることが常である人の場合が多いのですが、よく褒められている人は、褒められる行動のポイントをよく理解しているので、いくら悪であっても完全に滅ぼすとまでは考えない余裕があるので、アナキンの場合は前者にあたると思います。
 アナキンがダークサイド側に立ったのは、アナキンの人間関係を含めての生育環境が影響していると思いました。

 カイロ・レン(ベン)にしても、レイアとハン・ソロは、普通に恋してベンができたのですが、出産後、レイアやハン・ソロはきちんとベンを育てたのでしょうか?
 愛情は持っていたのでしょうが、ハン・ソロはあまり子育てするようには見えませんし、レイアはレジスタンスのリーダーになり、子育てに集中することは難しかったでしょう。
 結局、自分たちで育てず、ジェダイの修行としてルークに預けています。
 そのルークは、ジェダイマスターとしてはベンを育てますが、叔父として肉親的な愛情を与えたかは疑問です。
 ルークはベンが暗黒面に囚われかけているということだけで恐れを持ってしまい、ベンに剣を向けてしまいます(ep8)。
 結果、ベンは殺されると感じて逆襲に出て、ダークサイドのカイロ・レンになってしまいます。
 ルークは落ち込んで、ジェダイをやめると隠遁してしまうのですが、ルークが暗黒面への不安より人として叔父としての愛情を優先していたら結果は違っていたのではないかと思います。
 そもそもベンが引き込まれそうになっていた暗黒面とはいったい何だったのでしょう?
 それは今回の映画の中でも明らかになっていませんでしたが、親への愛情に起因しているのではないかと私は思いました。
 カイロ・レンがどうなるかは、この映画の見どころの1つです。

 大局的な正義というのは大事ですが、それを支えるのは親子や身内の愛情、友情といった身近な人への基本的な「情」であり、そこが欠けると正義にも綻びがでて、更には悪に発展するのではないかとこの映画を見て思いました。
 逆に言うと、正義を行うのにジェダイが必要なのではなく、身近な人への愛情が、人への愛情、世界の平和につながり、それがフォースの力となっていく。
 その力をジェダイが使えるのであって、ジェダイがいるからフォースがあるのではない、フォースとは血で受け継がれるのではなく、絆によってもたらされるものだと受け取りました。

 swⅨ3
 SWシリーズはこれで完結になりましたが、当然あるはずのダークサイド側の背景の物語は描かれていません。
 ダークサイド側の人物が、なぜそこまで暗黒面に落ちてしまったのかのストーリーは欠かせないでしょう。
 だいたい完全正義も完全悪も極端すぎます。
 人間は善も悪も併せ持つのが普通ですものね。
 
 少しだけネタバレしますと、それをレイが理解したのではないかと思われるのが、ラストシーンにでてくるある小道具によってです。
 SWは全般的に細かいところに伏線を張っているので油断できません(笑)。
 そういえば、ジェダイは皆、亡くなると肉体が消滅するのですね。

 ついつい長くなってしまいましたが、今回の映画は今までの伏線の回収もしていますし、基本的にep4~6の3部作へのオマージュ的な要素が色濃く出ていますので、やっぱり今までのシリーズ全部見てから今回の作品を見た方がより楽しめると思います。
 レイの正体も今回の目玉の1つですが、出自を知ると道理で強いはずだわという感じでした。
 フィンについても新たにわかったことがありましたしね。

 SWは長年観てきたので思い入れがあります。
 ネタバレなしなので抽象的な感想になってしまいましたが、細かいところで「あれ!あれ!」というシーンがいっぱいあるのです。
 ネタバレで皆さんはどう感じたのか語り合いたいぐらいです(笑)。
 42年かかっての完結編、面白かったです。
 
 さて、ギリギリになりましたが、これで今年のブログは終わりです。
 このブログを見に来てくださった皆様方、ありがとうございました。
 来年のブログ開始は、展覧会を観てからになると思いますので、三元日を過ぎてからになると思いますが、来年もよろしくお願いいたします。
 
スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け
 2019年 アメリカ ディズニー 原題 Star Wars: The Rise of Skywalker J・J・エイブラムス監督 142分 
 ミレニアム・ファルコン号が最後まで活躍して良かったなと思った、Ms.れでぃの勝手な映画採点:78点

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