京都国立近代美術館「円山応挙から近代京都画壇へ」展

京都国立近代美術館で開催されている「円山応挙から近代京都画壇へ」展('19.11.2~12.15まで。入場料1500円)を観てきました。
ちょっと会期終了間際になってしまいましたが、良かったので簡単に記事に残しておきたいと思います。
今までに円山応挙や弟子の長澤芦雪、京都画壇の竹内栖鳳や上村松園などの画家の展覧会は数多く開かれていましたが、円山・四条派から京都画壇に至るまでの道筋を中心にした展覧会はあまりなかったように思われます。
まず流れですが、18世紀に円山応挙が写生画を中心に一世を風靡し、多くの弟子も育て円山派が誕生しました。
一方、与謝蕪村の弟子だった呉春は、蕪村の死後、応挙に弟子入りしようとしますが、蕪村とも知り合いだった応挙が、呉春を弟子ではなく友人として遇します。
そして応挙の死後、呉春は京都画壇の中心となり、呉春の住む場所から四条派と呼ばれました。
近代の京都画壇は、円山派と四条派の流れを組む画家が主であります。
ということで、応挙を先頭に近代京都画壇の日本画の数々が紹介されていました。

展覧会の最初は、応挙寺ともいわれている大乗寺の襖絵から始まっていました。
障壁画165面中、応挙自身が描いたのは3室38面のみとされています。
大乗寺からはその応挙の障壁画「松に孔雀図」「郭子儀図」「山水図」と、応挙の息子の応瑞の「蓮池図」が出展されていました。
とくに孔雀の間の「松に孔雀図」は金地に墨のみの絵なのですが、松などは光や角度で緑色に見えます。
「郭子儀図」も色がきれいでした。

美術館の1階のロビーには、大乗寺の襖絵のVRも上映されていました。
大乗寺には私も昔行ったことがあるので、VRを見てお寺の様子を思い出しました。

今回の展覧会の特徴の一つとして、大きな作品が多かったことです。
屏風の展示も多かったですし、巻子は1巻まるまる全部広げて展示されていました。
国井応文・望月玉泉の「花卉鳥獣図鑑」は丹念に描かれておりきれいでした~。
1巻丸ごと展示は幅を取るので、展示ケースの関係もあり巻子は部分的な展示が多いのです。
でも、できれば全部見たいと以前から思っていたのですよね。
それと、応挙の「楚蓮香図」と上村松園の「楚蓮香之図」のように、同じような題材で円山派の始祖である応挙やその時代の画家と近代画家を比較することができるような展示をしていたことも特徴の一つだったと思います。
松園の「楚蓮香之図」は一見、応挙のそれとは全然違うように見えましたが、少し離れてみるとポーズがほとんど一緒でちょっとびっくりしました。
応挙の「大石良雄図」、源琦の「大石良雄図」、松園の「軽女悲離別図」の比較も面白かったです。
源琦の絵は応挙を手本にしたのは一目瞭然ですが、松園はもっとドラマチックにしています。
でも大石良雄の顔は応挙のに似てました。
松園は応挙を学んでいたそうですが、それがよくわかりました。
その他にも、呉春の「山中採薬図」と塩川文麟の「仙翁採薬図」は同じような情景ですが、呉春は人物が中心で、文麟は山深さが中心でしたし、芦雪の「薔薇蝶狗子図」と栖鳳の「春暖」もわんこの変化が面白かったです。

今回の展覧会は、観客だったらこんな展覧会を観たいだろうなという視点で作品を集めて展示されていたように思います。
見応えもありましたし楽しかったです。
常設展の方も良かったので、その記事は次回にでも

京都国立近代美術館
住所:京都市左京区岡崎円勝寺町 TEL:075-761-4111
開館時間:9時30分~17時(金・土は20時まで。入館は各閉館30分前まで)休館日:月曜(月曜日が休日にあたる場合は、翌日が休館)、年末・年始、展示替え期間

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