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京都 細見美術館「世界を変える美しい絵本」展

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 細見美術館では「世界を変える美しい絵本 インド・タラブックスの挑戦」('19.6/25~8/18まで。入館料1300円)が開催されています。
 この展覧会では、インドのチェンナイを拠点とするタラブックスという出版社の絵本や原画の紹介をしていました。

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 会場は写真撮影可だったので、遠慮なく撮らせていただきました。

 インドの民族の伝統や文化・宗教を「本」という形に変えて出版しているタラブックスの絵本は、既成の絵本の概念を覆すかのように、自由に丁寧に作られておりその発想に驚かされました。

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 この絵本はシルクスクリーン印刷で作られた絵本です。
 全編シルクスクリーン印刷だなんて贅沢ですよね。

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 形も面白いものがありました。
 こちらはめくって楽しむだけでなく立体的に立てて楽しむこともできるみたいです。

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 この作品は、物語的に私が一番面白いと思った「シータのラーマーヤナ」の原画です。
 インドの叙事詩のラーマーヤナは、ヒンドゥー教の聖典でもあるのでインドでは広く浸透しているのですが、語り部により口伝で伝える方法もあるようです。
 ですがラーマーヤナは長編なので、語るのも大変です。
 そこで口伝の補助に手描きの絵巻物が使われるのですが、タラブックスはその絵巻物をそのまま絵本にして出版したそうです。
 
 絵巻物をそのまま絵本にするということもですが、シータの視点からの物語というのも面白いです。
 ラーマーヤナは元々ラーマ王子の物語で、その妻のシータは自分の軽はずみな行動でさらわれることになったにせよ元々はラーマが原因ですし、物語の結末にはシータにも大いに言い分があるでしょう。
 なのでシーターの視点からというのは興味をそそります。
 ですが、男尊女卑がきついインドでの出版は、それこそ挑戦だったのではないかと思います。
 内容も少し紹介されていたのですが、続きを読みたいと思いました。
 日本語版があるのかは不明ですが、もしなければ日本語版も作って欲しいです。

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 カーストの低い人たちは寺院にも入れない場合があるため(現在でもかどうかは不明)、神が描かれた絵や布を家に飾ってお祈りをするそうです。
 こちらはその布を絵本にしたものです。
 その布を作る職人のビデオが流されていたのですが、「これは単なる(絵)本ではなく、祭壇として扱ってほしい」との言葉が印象的でした。
 より広く神を敬ってほしいと考え、本の制作に協力したのだなと思いました。

 伝統というのは宗教に関連していることが多いと思うのですが、宗教とは精神性の伝達であるからこそ、伝えたい、後世に残したいという思いが強くなるのでしょう。
 その精神性は、本来は美しいものだと私は信じています。
 その思いを含め、神や仏への畏敬を込めて美しく丁寧に作られた絵巻物や祭壇画が絵本になるのだから、美しくないわけがない。
 絵本という形に変化させることでより多くの人が手に取る機会が増え、その精神性までが伝播されることにより世界が変わる要素が1つ加わるかもしれない。
 そういった期待が展覧会のサブタイトルである「タラブックスの挑戦」につながるのだと私は解釈しました。
 興味深い展覧会でした。
 面白かったです。

細見美術館
 住所:京都市左京区岡崎最勝寺町6-3 TEL:075-752-5555
 開館時間:10時~18時(入館は17時半まで) 休館日:月曜(祝日の場合、翌火曜日)

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