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京都国立博物館 「琳派 京(みやこ)を彩る」展

 私の好きなイラストレーターの生賴範義さんが亡くなられたとの記事を読みました。
 小説のイラストやゲームのパッケージ、映画のポスターなどを見て、若い頃からのファンだったので、本当に残念です。
 ご冥福をお祈りいたします
 宮崎市で今年の夏に生賴さんの展覧会があったので、関西でも生賴さんの大回顧展、開いてほしいものです。

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 さて、少し前に京博で開催されている「琳派誕生四百年記念 琳派京(みやこ)を彩る」展('15.10.10~11.23まで。観覧料1500円)を観てきました。
 昼から仕事を休んで、平日の3時ぐらいだったかに行ったのですが、入場に待ち時間はなかったもののすごい人でした
 やっぱり琳派は人気があるのですねぇ。

 ところで、「琳派」という言葉、大正時代に美術史関係の人が創り出した言葉だそうで、世間に認知されて定着してまだ50年ぐらいみたいです
 意外に新しいのですね。

 その琳派ですが、本阿弥光悦と俵屋宗達が創始者で、その100年後に宗達や本阿弥家と姻戚関係にあった尾形家の光琳・乾山兄弟が発展させ、またその100年後に中村芳中が宗達画風の作品を描き、更に100年後に神坂雪佳につながって京琳派の系譜ができます。
 芳中と同じ時期に江戸に光琳の画譜が持ち込まれ、酒井抱一が光琳に私淑し、抱一の弟子の鈴木其一が後継者となり江戸琳派を定着させます。
 光悦・宗達―光琳・乾山―芳中―雪佳あるいは、光悦・宗達―光琳・乾山―抱一・其一につながる「琳派」という流派は、直接の指導がなく継承されたものなのですから、時代を超えて魅力的であるということなのでしょう。
 今でも人気があるというのも、琳派の歴史を考えれば当然のことなのかもしれませんね

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 展覧会は、琳派の祖の光悦と宗達関連の展示品から始まります。
 光悦作で国宝である「舟橋蒔絵硯箱」は、思っていたよりゴツイ印象でした。
 光悦は、寛永の三筆の一人と称される書家でもあるので、字を書いた作品が多かったのですが、重文の「立正安国論」は楷書・行書・草書で書いてあり、どの字体も美しい!
 また、本阿弥家は刀剣の鑑定、研磨、浄拭(ぬぐい)を家業としていたため、刀関係の展示もあり、京都文化博物館の大関ケ原展で展示されていた「骨喰藤四郎(ほねばみとうしろう)」がこちらでも展示されていました。
 光悦筆宗達画の「四季草花下絵千載集和歌巻」も美しかったな~

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 光悦筆宗達画ですごかったのは、今回の目玉の一つである「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」でしょう。
 全長13.56mの巻物全部を広げての展示です。
 金泥銀泥で描かれた鶴に、流麗な字で書かれた和歌はホゥーと溜息がでるほど美しいです

 宗達の「月に秋草図屏風」は、少しにじんだような半月に秋草が美しく、上品で見惚れてしまいました
 光琳の「四季草花図屏風」や抱一の「夏秋草図屏風」も美しい
 なんか草花図って、見ると落ち着くので好きなんですよね。

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 今回のもう一つの目玉である「風神雷神図屏風」、10/27~11/8までなら宗達・光琳・抱一3作品を同時に観ることができるみたいです。
 私は下調べなしに行ってしまったので、私が行ったときは宗達と光琳の2作品のみで、博物館の中で3作品展示の期間があることを知りガーン
 代わりの展示であった抱一の「夏秋草図屏風」は、大好きな作品なのでいいのですけどね。
 でも、やっぱり3作品揃って観たかったな~。
 皆さん、行かれるのなら今がチャンスですからね

 その宗達と光琳の風神雷神図の違いは、いろいろあるでしょうが、私は視線にあるのではないかと思います。
 宗達は視線が呼応していないと思ったのですが、皆さんはどう感じられたでしょう?

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 絵画だけでなく、光琳や乾山をはじめ工芸品も良い物が多かったですよ

 図録は3000円
 ちょっと高すぎて手が出ませんでした

 思ったより光悦や宗達の作品が多い展覧会でしたが、見応えがありました。
 展示替えが7回と細かく変わりますので、お目当ての作品がある方は行く前に下調べすることをお勧めします

京都国立博物館
 住所:京都市東山区茶屋町527 TEL:075-525-2473(テレホンサービス)
 開館時間:9時半~18時(金曜は20時まで。入館は各30分前まで) 休館日:月曜(月曜が休日の場合は、翌火曜日休館)
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本当に良かったです

私は5時前に入ったので空いてましたが、点数多くて見ごたえありすぎて最後らへんで、「もうすぐ閉館」のアナウンス聞いて、焦りました。
でも、ゆっくり前まで行って見られたので良かったです。

舟橋蒔絵硯箱は、そうですそうです。
えらい大きいなと思いました。
お弁当箱を連想する私は食欲の秋過ぎるでしょうか?

立正安国論を書かれたのは、「あっ、立正安国論。確か習った」と頭フル回転。
骨喰藤四郎は、その歴史の流れに思いを馳せる私。
足利尊氏→豊臣家→徳川家。
その変遷を思うと同時に刀ってきれいなんやなあと思いました。
私、刃物苦手で。
(ちなみにパパは刃物好き。京都行ったら、刃物屋さんの前から動かない。アウトレット行ってもヘンケルとかゾリンゲンとか。私、恐いから嫌)
刀剣趣味にしはる人多いけど、わからへんわあと思ってて。
でもこれだけきれいやったら、仕方ないわあ~
細かい細工もステキ。

そして草花図。大きいメインのお花の下に小さい可憐なお花があったり、光琳菊の盛り上がりも好きだし。
酒井抱一のが一番好きです。

風塵雷神図、三点そろい踏み。
すごかったああ~
私も初め知らんくて、漱石友達に「行くんやったら27日から8日までにしなあかん。いっぺんに見られるんよ。がんばらな」と言われて。
圧巻でした。
その違いは、音声ガイドによると空間や視線の違いらしいですが。
酒井抱一のが、一番ポップ?
現代に近い?まあ時代的にも

風塵雷神、息子は改源・・・と。
改源のは、宗達のらしいですが。

後、国立近代のと伊勢丹の琳派のチケットあるので、日程を考えて動きます。
がんばります。

いいなぁ。

風神雷神図、やはり3点揃うと圧巻でしたか。
私も、無理して行かずにあと数日待って行けばよかったとか、下調べをしておけばよかったとかいろいろ考えて博物館の中で何度悔やんだか(笑)。
もう1回行こうかなとも思ったのですが、観覧料1500円は高いですからね。
今回はあきらめると思います。
hirorinさんは、お友達がナイスなアドバイスをしてくれて良かったですね。
私も皆さんが期間限定作品を見逃さないように、今回はちょっと頑張っていつもより早めに記事にしました。

音声ガイドを借りられたのですね。
やっぱり宗達・光琳・抱一の違いは、視線もありましたか。
もう一つの「空間」の方は、黒雲の大きさが明らかに違うのはわかるのですが、その効果が今一つわかりませんでした。
もしよければ、また教えてくださいね。

刀は今、女子の間で人気ですよね。
とくに骨喰藤四郎は人気みたいですよ。
確かに倶梨伽羅紋など細工も美しかったですね。
でも、私も刀より草花図の方が好きです。
抱一の「夏秋草図屏風」は特に好きです。
立体的な光琳菊もいいですよね~。

伊勢丹と近代美術館も行かれるのですね。
スタンプラリーがあったと思うので、お忘れなく(笑)。

なんや空間の違いは

うろ覚えで申し訳ないのですが、空間の違いは宗達が画面ギリギリに配してるのに比べて光琳は画面にきっちり収まるようにしてて。全体としてまとまりがあるそうです。
宗達のほうが、奥行きとか雲の間に広がる向こうをイメージさせるとか。
確かそんな感じでした。
視線は確かに違いますよね。

音声ガイドは、ナレーションの声がとてもステキで私の好みの声でした。ちょっと玉木宏に似てる・・・

後、色のコントラストが光琳の方がはっきりしてるとか。
時代背景も変わって来てるし、模写はしてもその時代のトレンドや納品先?にもよって変わるのかもしれないですね。

でもそれぞれの作家さんが先人をリスペクトしてつないで行ったのが一番すごいことかも?

スタンプラリー、ちゃんと押しました。
後、二箇所回る時持って行かねば。
伊勢丹のは、息子がもらってきてくれたんですわ。
「オカンが、琳派と騒いでたから」って。

ハルカスの浮世絵展、チケット620円で落札しました。
かなりハピーです。

なるほど。

言われてみると、確かに宗達の方が画面いっぱいを使っていますね。
その効果は、少し距離をあけて見ればはっきりしたのかもしれませんね。
私はよく見ようと近くに行くクセがあるので、よくわかりませんでした。
色のコントラストは、光琳の方が明確でしたね。
おっしゃるとおり、時代のトレンドの影響はあるかもしれませんね。
いろいろ教えてくださってありがとうございました。

音声ガイドは時間がかかるので、私は基本借りないのですが、解説も声も良かったのなら借りた甲斐がありましたね。
玉木宏似の声だなんてステキ。

>でもそれぞれの作家さんが先人をリスペクトしてつないで行ったのが一番すごいことかも?

確かに。
何をもって琳派かというのは捉え方によって変わるかもしれませんが、現在も琳派の系譜は継承されていますものね。
hirorinさんは、これから近美と伊勢丹に行かれるとのこと。
まさに400年の琳派の流れを見に行かれるのですね。
現代の風神雷神さんはマリオみたいで、昔と変わらず濃いお顔ですね(笑)。
また感想を楽しみにしています。

ハルカスのチケット、半額程度で入手できて良かったですね!
浮世絵展も展示数が多く見応えがありましたので、時間をたっぷり取って行ってくださいね。
あっ、こちらの展覧会も人が多かったです。
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Ms.れでぃ

Author:Ms.れでぃ
主に関西で開催されている展覧会を観に行っています。
ゆるゆる感想を書いていきたいと思います。
ローカルネタになりますが、訪問していただけるとうれしいです。

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