fc2ブログ

大阪 国立国際美術館「貴婦人と一角獣展」

 紹介が遅くなってしまったのですが、今日(10/20)終了した2つの展覧会について感想を書いておきたいと思います。
 
 ladykan1.jpg
 1つ目は大阪の国立国際美術館で開催されていた「フランス国立クリュニー中世美術館所蔵 貴婦人と一角獣展」('13.7.27~10.20まで。観覧料1500円)です。

 この展覧会は、パリのカルチェ・ラタンにあるクリュニー中世美術館の「貴婦人と一角獣」という1500年頃に作られた6面のタピスリー(普段はタペストリーと言っているのですが、今回はフランス語読みのタピスリーとします)をメインにした展示になっています。

 パリには何回か行っているのですが、クリュニー美術館は一度行きたいと思いながら行けずじまいだったのですが、まさか日本で見ることになるとは思いませんでした
 というのは、貴婦人と一角獣が国外に貸出しされることはほとんどないからです。
 私は現地で見ようと思っていたので、日本で見れてしまったのはちょっと複雑です(苦笑)。

 それはさておき、6面のタペスリーは圧巻でした
 展示室の壁紙の色も落ち着いており、中世の雰囲気が出ていました

 6面のうち5面は「触覚」・「味覚」・「嗅覚」・「聴覚」・「味覚」と人間の五感を表しており、残りの1面は「我が唯一の望み」(看板の写真)です。
 この「我が唯一の望み」は天幕にそう書かれているので、そのままタイトルになっています。
 その唯一の望みが何かはいまだ明白になっていないそうです。

 描かれているパーツは貴婦人、一角獣、ライオン、月が描かれた旗、木(種類は違う)、犬(ほとんどが簡易なもの)が6枚共通です。
 侍女は6枚中4枚。
 どのタペスリーにも千花文様(ミル・フルール)とよばれる複雑で小さな花や植物が一面に広がる模様が、赤地に織りこまれています。

 この6枚のタピスリーはシリーズなのですが、描かれている貴婦人や一角獣、ライオンは全部顔が違います。

 ladykan2.jpg
 私は貴婦人の顔は味覚(上の写真)が一番お気に入りです
 「聴覚」も優雅なのですけどね。

 一角獣も「味覚」かな。
 若くてハンサムな一角獣なんです
 でも、「視覚」の一角獣も貴婦人に甘えてかわいいのですけどね。
 「視覚」の一角獣は鏡を見せられているのですよ。
 これは何を意味しているのでしょうね。

 ライオンは「聴覚」かな。
 でも、全然ライオンに見えない「触覚」が妙に惹かれます(笑)。

 ladykan7.jpg
 侍女は「我が唯一の望み」がかわいかったです

 私はこんな感じで各パーツを比較して何度もタピスリーを観ていたら、次のコーナーでは映像でその比較をしていました。
 みんな考えることは一緒なんですね(笑)。

 「視覚」を観ていたら、動物が途中で切れていました。
 まだ下があったのかなと思って聞いてみたら、下があったかどうか不明だそうです。
 タピスリーのほとんどが下の方の色が褪せていました。
 何度も修復されており、色褪せ部分が修復された箇所の可能性があるそうですよ。

 これらのタピスリーは、フランス王シャルル7世の宮廷の有力者だったジャン・ル・ヴィストが作らせたものではないかと言われています。
 旗に描かれている三日月はル・ヴィスト家の紋章です。
 ジャン・ル・ヴィストはリヨン出身で、ライオン(lion)はリヨン(Lyon)、一角獣は足が速いので、フランス語で「viste」(素早い)とル・ヴィスト(Le Viste)をかけたのではないかと言われているそうです。
 ということは、「我が唯一の望み」の貴婦人はジャン・ル・ヴィストの想い人ですかね?

 ladykan3.jpg
 犬はどのタピスリーにも描かれているのですが、この犬が最も格高く描かれています。
 貴婦人のペットなのでしょうか。
 クッション付きですものね

 図録は2000円でした。

 タピスリーの他にも少し展示品がありましたが、タピスリーを堪能するための展覧会でした。
 美しかったです

 次は、今日終わったもう一つの展覧会の感想を記事にしたいと思います
 
国立国際美術館
 住所:大阪市北区中之島4-2-55 TEL:06-6447-4680
 開館時間:10時~17時(金曜は19時まで。入館は閉館の各30分前まで) 休館日:月曜(月曜が祝日の場合は翌日休館。2012年12月24日は開館)、展示替え休館あり。
関連記事
スポンサーサイト



コメントの投稿

非公開コメント

残念

何やかや用事が重なり、昨日は最終日だったけど我が家はそれどころじゃなくて行けず。
もう生涯、この作品を見ることはないでしょう。
うう~
行く前に桂南光の解説も番組で見て、芸術新潮の特集記事も読んでたのに。
あのタペストリー、侍女の顔がそれぞれ違うんですよね。
貴婦人もあんまり若くないような?
私が気になってたのは、回りの小動物なんです。
すごく顔がみんな可愛い。それがバックの赤に映えて。
美術館ではコラボのチョコレートが売ってたと思うので、それを買おうかと思ってたんですけどね。
とかくこの世はままならぬことだらけです。
って大げさ?

またいつか。

今回は残念でしたが、また来日するかもしれませんし、hirorinさんがクリュニー美術館に行かれるかもしれません。
それまでの楽しみにしといてください。

侍女の顔も貴婦人の顔も皆違います。
貴婦人は若い美人もいれば、少し年配の貴婦人もいました。
とても同一人物とは思えませんでした。

小動物、かわいかったですよ。

グッズやチョコもありましたが、絵葉書しか買いませんでした(笑)。

来日してたんですね~

中世の美術は独特の雰囲気があってステキですね~

私は来年パリに行こうかな?と思っているのですが
クリュニー美術館も時間があれば、行ってみたいです♪

でもパリの美術館はとても多くて、一つ一つが広~いから
時間がいくらあっても足りない!!状態になってしまいそうです(笑)

パリ

トコトコさとこさん、コメントありがとうございます。
パリは美術館が多くて本当にどこに行こうか迷いますよね。
クリュニー美術館は、行きたい美術館は全部行って余力があればという感じでもいいと思うのですが、すっごく雰囲気のある美術館だと思いますよ。
私もまだ行ったことありませんが(笑)。
うちは今秋パリに行き、今まで後回しにしていたクリュニーでこのタピスリーを見ようと思っていたのに、日本に来てしまっていたので複雑な心境です。
パリに行く頃にはまだ戻ってない(苦笑)。

No title

もう2度と来ないかもしれない(いや来ない)6枚のタピスリー。
観に行けなかったのは残念だけど、私もクリュニー美術館で
観たいので、まあ良しとします(笑)
「我が唯一の望み」ってテント?天幕?の上におもむろに
書かれていますよね。それが何だかおかしくて顔がほころびます。
なぜって、古代ローマの遺跡を見に行くと、公衆浴場の壁とか
バスタブに刻まれている、「次の選挙では〇△に一票を!」
みたいに見えるからです。
せっかく美しいタピスリーなのに~って(笑)
6枚目は「第六感」かと思いました。最初は。
でも、なかなか「重い」「思い」が詰まったプレゼントなんで
しょうか?

次こそはクリュニー美術館へ。

もものあきさん、こんにちは。
コメント、ありがとうございます。
せっかく遊びに来てくださったのに更新が滞っていてすみません。

ところで貴婦人と一角獣のタピスリー、やっぱりクリュニーで見たいですよね。
クリュニー美術館、タピスリーはなくても見に行こうと思っていたのですが、今回も行くことができませんでした。
いつになるかわかりませんが、次こそは行きたいと思います。
もちろんタピスリーのある時にね(笑)。

ローマ遺跡のタイルに書いてある言葉って、選挙のポスターみたいな内容だったのですか!
何が書かれているのかなとは思っていたのですが読めなくて(苦笑)。
それに比べると、「わが唯一の望み」ってロマンティックだと思いません?
愛する人へのプレゼントだったりして。
今回パリに旅行に行っていろいろタピスリーを見ましたが、貴婦人と一角獣はかなり保存状態が良いことを再認識。
大事にされていたんだろうなと思いました。
プロフィール

Ms.れでぃ

Author:Ms.れでぃ
主に関西で開催されている展覧会を観に行っています。
ゆるゆる感想を書いていきたいと思います。
ローカルネタになりますが、訪問していただけるとうれしいです。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
カレンダー
04 | 2023/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
FC2カウンター
検索フォーム
リンク
ご注意
◎当ブログに掲載している文章・写真等の無断転載を固く禁止します。 ◎記載の価格や店舗情報は訪問時のもので、現在の価格とは違っていたり、お店が閉店している場合がありますのでご注意を。
RSSリンクの表示