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映画「シャーロック・ホームズ」('10年11本目)

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 話は少し前後しますが、京都の文化博物館で「カルタゴ」展を観た後、河原町のMOVIX京都で「シャーロック・ホームズ」を観てきました。

 他の映画で予告編を見て面白そう!とめちゃ期待していたのですが、うーん、ちょっと期待しすぎたのか、面白くないわけではないのですが、ホームズ物に期待する推理の部分が弱く、普通のアクション映画になっていたのが残念です。
 そのアクションも多すぎて、もう少し他の部分とのバランスを考えて、メリハリをつけた方が良かったのにと思います。

 ですが、ロバート・ダウニー・Jr.のホームズとジュード・ロウのワトソン君はなかなか良く、案外今までのホームズ物の中で一番原作に近いイメージなのではないかと思います。

 ホームズの明晰すぎる頭脳は、事件時にはフルに発揮できてよいのですが、普通の日常生活においては、とんがりすぎて不適応を起こしてしまう。
 それをワトソン君が上手にフォローするため、ホームズは実はワトソンには頭が上がらない。
 でも、それを認めるのは自分のプライドが許さないので、ワトソンより優位な立場に立ちたがる。
 この映画では、ワトソンはそういうホームズの性格がわかっているから、他のホームズ作品に比べてやけに強気です(笑)。
 どころか、主人公は実はワトソン君じゃないの?と思うぐらい、タフで頼りになる魅力的なキャラなっています。
 ジュード・ロウがかっこいいしね。

 この映画では、2人の性格や関係性を丁寧に描写しており、どんな難事件でも見事に解決してくれるスーパーヒーローだが少し人間離れした感じのホームズではなく、より現実感を感じさせるホームズ、ワトソン像を作り上げています。

 小説の中でも、ホームズはボクシングがうまいとされていますが、この映画ではボクシングが強い理由を、ホームズは相手の行動を予測して、自分の実行できる行動を頭の中でシミュレーションしてから行動していたという解釈をしています。
 それを、予測の場面ではスローモーション、現実の場面では普通に撮影したものを使うことによって、表現しているんですよね。
 これにより、ホームズは瞬時に相手を観察し、自分の能力をしっかり把握し、物事に対応するために相手の行動だけでなく自分の行動も推理し、それを実行に移す技術を持っていることが伝わります。
 この解釈は、ドイルの小説の中のホームズ像と一致しているばかりではなく、「あぁ、そうなんだ」とすごく納得させられます。
 そういう各人の性格描写は丁寧でしたね。

 それに、19世紀末のロンドンの雰囲気もよくでていました。
 ベーカー街221Bの街灯も素敵でしたし。
 産業革命がもう既におこっているこの19世紀末に黒魔術?って思いましたけど、この時代ってロンドンの人口が増大し、環境悪化のため死亡率も上がっており、社会情勢が不安定だったのでしょうね。
 切り裂きジャック事件もこの時代に起きた出来事でしたし。
 近代化の波と過去の迷信が混在する魔都ロンドンの雰囲気がよく出ていました。
 いや~、監督のガイ・リッチーをはじめ、原案や脚本などのスタッフはかなり小説を読み込んでいるなと思いました。

 これだけ細部はこだわっているのに、肝心の推理部分が最後に一気に種明かしだけで終わってしまったのが、かえすがえすも残念です。
 続編ができそうな感じでしたので、次回作に期待したいと思います。

シャーロック・ホームズ 2009年 アメリカ ワーナー・ブラザーズ ガイ・リッチー監督 128分
 今回の映画の女性陣は2人ともあまりイメージどおりではないなと思った、Ms・れでぃの勝手な映画採点:67点
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