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神戸市立博物館 「中国 王朝の至宝」展

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 今日で会期終了の神戸市立博物館で開催されている「日中国交正常化40周年 中国 王朝の至宝」展('13.2.2~4.7まで。観覧料1500円)を観てきました。

 昨日は関西では大荒れの天気予報だったので、あまり出かけたくなかったのですが、頑張ってでかけました
 ですが、JRなどの交通機関も、ダイヤの乱れの可能性があるので早く帰るようにとのアナウンスがひっきりなしに流れていました。
 私たちが行った時間帯は、雨も降ってましたが風が強くてビニール傘が破壊されている人が続出。
 早めに帰ろうと思いましたね

 そんな中、観てきた展覧会ですが、夏・殷から宋までの文物約170点がずらりと揃う圧倒的な量の展覧会でした

 夏・殷からと書きましたが、正確には長江文明の三星堆遺跡の遺物から始まっています。
 もういつだったか忘れてしまうほど昔ですが、三星堆を紹介する展覧会が京都でありました。
 その時に観た記憶がある突目仮面、以前も不可思議でしたが、今回もやはり異様な印象を受けました。

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 長江の上流に当たる四川の地に金沙遺跡というのが2001年に発見され、今回はその遺物もたくさん展示されていました。
 チラシ右上の金製仮面も金沙遺跡から発掘されたものです。
 この仮面は実際に見ると小さかったです。
 でも、この遺跡から出てきたものは、金や玉などの細工が多かったので、ちょっと祭祀や呪術的なものが重要視されていた文明だったのかなと思いました。

 夏・殷(「殷」は最近「商」と表記されていることが多いのですが、この展覧会では「殷」でした。私の子どもの頃も「殷」と習ったので、この方が落ち着きますね。)も同じく呪術的ですが、青銅器が多く、ごつくてより強力な印象です。
 この時代の文物は、京都の泉屋博古館や奈良国立博物館で多数観れますので、ある意味、見慣れている感じがします
 
 どちらも呪術的なのですが、対象が長江文明では神、夏・殷では人間に向けられているような感じがしました。
 夏・殷では神が主ではなく、人間の権力者が主で、その権力者が神の力を借りるという構図だったのでしょうか。
 
 その次の時代の文物は、チラシ左の「羽人」や、チラシ右下の牛の容器「犠尊」などです。
 羽人は河童みたいな造形で不思議です。
 木製に漆塗りされており、てかてかしています。
 犠尊の方は、金銀貴石で象嵌されており細かい細工でした。

 秦や漢の時代になると、武具や人型の俑の展示物が多かったです。
 秦と言えば始皇帝、兵馬俑です。
 完全に人間がメインの世界観です。
 でも、龍などはこの時代でも描写されています。
 今回の「龍」は、2匹の龍が絡み合って1体となり、ちょっとこわかったです

 漢の時代は、女性俑や男性俑がしっかりした彩色で作られ、人間も文化的になってきたなという感じです。
 紀元1世紀頃、後漢の時代には仏教も伝来していますしね。

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 その後の時代も仏教を中心に文化が成熟していき、仏像などの数々の仏教美術品が展示されていましたが、その中でもとくにすごかったのが、今展覧会の目玉でもある阿育王塔(チラシ中央)です。

 阿育王塔は、インドのアショカ王(阿育王)が建てた仏塔(ストゥーパ)にちなんで作られた仏塔で中国にはたくさんあるようですが、今回展示された阿育王塔(北宋時代)ほど豪華なのはそうないと思います。
 金ピカの上、水晶や瑪瑙、ガラスなどが嵌め込まれ、非常に美しい
 それに彫りこまれている図像も美しい!
 これはすごかったです

 チラシ右上の「金製龍」も麒麟みたいで美しかったのですが、これも北宋のものです。

 チラシ右端の「花鳥文鏡」と左端の「金剛神坐像」は唐の時代のものですが、鏡は螺鈿が美しかったですし、金剛神像は腕がちょっと短かったですがかっこよかったです

 チラシのキャッチコピーに「栄華を極めたのは、誰だ!」とありますが、今回の展覧会に限っては、私は唐と北宋に軍配を上げますね
 ちょっと北宋に興味を持ちました

 図録は2300円でした。 
 
 この展覧会は神戸会場での展示は今日(4/7)までですが、名古屋市博物館('13.4.24~6.23)、九州国立博物館('13.7.9~9.16)に巡回予定です。

 中国王朝の至宝が堪能できる見応えのある展覧会でした。
 良かったですよ
 
神戸市立博物館 
 住所:神戸市中央区京町24 TEL:078-391-0035
 開館時間:10時~17時(金曜は19時まで。入館は各30分前まで) 休館日:月曜(祝日の場合は翌日休)、年末年始、その他臨時休館有り
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あの風雨

がんばって行かれたんですね。
不要の外出は避けるようにと言われてたけど、それほどでもなかったような。
私は仕方なく仕事だったのですが。

この展覧会、テレビで紹介されてて。あの金色のお面?みたいなんに心惹かれてます。仮面舞踏会につけるお面の愛嬌あるバージョンみたいで。

阿育王塔、金ぴかで細工や石がはめ込まれてるのですね。
とても豪華。石で出来たのしか見たことなくて。
滋賀県の石塔寺が有名ですが、蒲生町でかなり奥地です。
それにしても中国の歴史は何がなんだかよく分からなくて時代や国名が私の場合めちゃくちゃに。
年表が必要です。

行ってきました。

チケットを購入済だったので、昨日か今日しか行く日がなく、今日は雨は止むけど風が強いという予報だったため交通機関が止まっては困ると思い、頑張って昨日行ってきました。

hirorinさんはお仕事でしたか。
大変でしたね。
子どもさん達を預かっているので、悪天候だと気を揉みますね。
お疲れ様でした。

展覧会の方の金製仮面は、意外に小さく、しかも口のところまで隠すようになっているので、仮面舞踏会のようなスマートさはなかったです。逆にちょっと怖いような。
阿育王塔は豪華できれいでした。
これは木製だったと思います。
蒲生の石塔は、お寺の名前になっているぐらいなので、立派なんでしょうね。

中国の歴史、ものすごく大雑把にはわかりますが、細かい国となるとさっぱりです。
私は年表も地図も必要です。

No title

目玉の飛び出た遺物があった三星堆遺跡というのは、それまでの古代中国史を塗り替えるほどの驚異的な発掘だったと思います。

以前にその展覧会を見た時、中国史観がひっくりかえるほどの衝撃を受けました。
史書に載っている遺物を見ることさえも衝撃的なのに、史書にさえも載っていない遺物を見ることはさらに衝撃的で、とにかく興奮のるつぼと化した展覧会でした。

Hokurajinさん

Hokurajinさんも三星堆遺跡の展覧会、行かれてましたか。

中国文明の発祥は誰もが黄河文明からと思っていた時に、長江文明の遺跡が発見され、その遺跡の発掘物が突目仮面など異様な造形をしていたものですから、あの時は新聞でも特集を組んで紹介していましたね。
展覧会では人がいっぱいで、私も興奮しましたが、すごい熱気を帯びた展覧会だったことを覚えています。
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主に関西で開催されている展覧会を観に行っています。
ゆるゆる感想を書いていきたいと思います。
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