京都国立博物館 「大出雲展」

京都国立博物館で開催されている「古事記1300年 出雲大社遷宮 大出雲展」('12.7.28~9.9まで。観覧料1300円)に行ってきました。
この展覧会は今日(9/9)まで紹介が遅くなりましたが、すごく楽しかった(面白い&興味深い)です!
あまりに楽しくて、朝10時半に入ったのに、お昼に館内のからふね屋さんでランチを食べましたが、見終って出たのがなんと5時半!
我ながらビックリです

付き合ってくれた友人に感謝・感謝

もう隅から隅まで観た(つもり)のですが、それを全部ブログに書けば、◎?▽$になりそうなので、簡単に紹介させていただきます

それでも、どうやって紹介しようかと迷ってしまいますが(笑)。


今回の展覧会は、来年60年ぶりに行われる出雲大社の大遷宮を機に、出雲大社の古社やそれにまつわる古寺の宝物、遺跡から発見された古代出雲の出土品を一堂に紹介した大展覧会となっていて、見所満載でした

まず最初のコーナーは、古事記と神話の成り立ちということで、現存最古の古事記の写本や日本書記などがあるのですが、でも会場に入ってすぐは原田直次郎の「素戔嗚尊八岐大蛇退治画稿」が展示されています。
素戔嗚尊が八岐大蛇を退治している場面が描かれているのですが、犬がその絵を破って顔をだしているという、ちょっと騙し絵的な作品です。
なぜこの作品が?と最初思いましたが、展覧会を観終わってみると古代神話の世界だけを見せるんじゃないよというメッセージのように思いました。
最初のコーナーから、先程も書いた日本書紀や古事記だけでなく、重文の太安万侶墓誌、木簡、本居宣長の自画自賛像、本殿板壁画に描かれた神像、素戔男尊坐像、そして月岡芳年の素戔嗚尊の浮世絵など盛り沢山

楽しみにしていた芳年の浮世絵は、少し状態が悪くて残念でしたが、3枚つづりの八岐大蛇の退治画面は漫画のようにドラマティックでした。
とくに波の描写が巧みでしたね。
そしてきれいだったのが、本殿板壁画に描かれた神像です。
女神像だったのですが、色が女神像のところだけはっきり残っていてきれいでした

次のコーナーは、埴輪や勾玉、土器、須恵器の遺跡の出土品の展示です。
ここのメインはやはり埴輪でしょう。
鹿の埴輪は、後ろを振り返っている「見返り鹿」です。
今まで埴輪といえば直立不動で、こういった動きのある埴輪は見たことなかったので新鮮でした。
力士の埴輪も珍しかったです。
弥生土器の中にはきれいな文様が刻まれたものもありました。
ジョッキ形木器も面白かったです。
銀象嵌円頭太刀は、柄頭の銀象嵌が細かくて凝ってます。
そして刃の部分には字まで象嵌されていることから、これは価値が高いだろうなと思っていたらやはり重文でした

第3コーナーは、出雲大社の創始ということで、玉類がたくさんありました。
中国や台湾に遊びに行ったとき、玉は翡翠などの緑色のものが多かったです。
それは、玉は魔除け使われていたためです。
今回の展示品も緑色のものが多かったのですが、赤い勾玉もでてきます。
赤は王権の象徴なんだそうです。
王の力をもってすれば、魔も払えるということでしょうか。
ある程度、治世が落ち着いて、自分たちの力を体外的にアピールしようという時期であったともいえるかもしれませんね。
このコーナーのメインは、展覧会のメインでもある、古代出雲大社の推定模型でしょう。
出雲大社は、大国主神の住居として造られた神殿が始まりとされています。

この一画だけ写真可だったので撮ってきましたよ。
大きさとかは実際に見ないとわからないかもしれませんが、ほんの少しだけお裾分けです



階段、長ーい。社の位置、高ーい

この神殿、大国主神が国譲りの際、天つ神の御子の神殿と同じような立派な宮殿を造って自分を祀ってくれるならという条件をだしたところ、こういう神殿が造られたのではないかという推定模型です。
これでも、10分の1のスケールだそうですから、大国主神の求めるとおり、大神殿だったのでしょうね。

そして、こちらの柱は平成12年に発掘された、出雲大社の本殿遺構の柱材です。
こちらは本物で、出雲の地をでるのは初めてと言われていたような。
直径135cmの杉の巨木、ですが樹齢200年以下の成長の早い杉を3本束ねて鉄の輪で結び、1本のとした巨大な柱「宇豆柱(うずばしら)」です。
こんなのが9本も立っていたそうですから、やはりすごい!
この柱の調査で、鎌倉時代の遷宮の時の柱だろうということです。
すごい!中世になっても信仰を集めており、力をもっていたということでしょうね。
次のコーナーは、青銅器類の展示がたくさん。
銅剣、銅矛、銅鐸がずらり。
銅剣は、荒神谷遺跡出土のものは、茎のところに×か〆の刻印がつけられているそうです。
ちゃんと印をつけているということは、ブランドということだったのかなと思いました。
私には差はわかりませんでしたが(笑)。
青銅器の次は、仏教のコーナーです。
出雲なので、神話関係、神社関係の展示だけで終わりかと思っていたら、美しい仏像もたくさんきていてもう心ウキウキです

本当にどの仏さまも美しかったのですが、華厳寺の「薬師如来坐像」、近年まで秘仏でご開帳されていなかったせいか、平安時代の仏さまなのにものすごく状態が良く美しい!!
寺院を出るのは今回初めてだそうです。
この仏さまにお目にかかれただけでも、来て良かったなぁと思いました

万福寺の薬師如来坐像や仏谷寺の観音菩薩立像も美しかったなぁ

万福寺の薬師如来坐像は、図録では白豪が付いていますが、実際には付いていませんでしたねぇ。
赤穴八幡宮の八幡神坐像は男前です。
清水寺の摩多羅神像は、歯がスゴイ。笑顔なんですよ。
この像は、なんと、チラシと図録では左手の向きが違うのです。
チラシは上向き、図録は下向き、実際にも下向きでした。
よくわかりませんが、上向きは仏像の印なので、神像なら下向きが正しいだろうということです。
寄木で手首をはずせるのでしょうね。
鰐淵寺の観音菩薩立像は、台座の銘文に「出雲国」と書かれていました。
飛鳥時代の作で、現在のところ7世紀に遡る出雲国という文字は他になく貴重だそうです。
九条袈裟という展示品は、木綿製の袈裟は珍しいそうですよ。
最後のコーナーは、出雲の神宝ということで、美しい工芸品の数々の展示です。
「葡萄蒔絵旅櫛笥」はデザイン的にも美しい蒔絵箱でした。
柿本人麻呂像はえらく上手い絵だなと思ったら、狩野探幽筆でした。
そりゃ、上手いはずですよね(笑)。
土佐光起の三十六歌仙図額は美男美女といわれている、小野小町、藤原業平ともに美男美女でした(笑)。
分厚い図録は2300円です。
この厚さならお値打ちです。

帰り、出口では優しいお姉さんがこんな団扇もくれました(笑)
出雲といえば神話の世界で古代のものだと思っていましたが、各時代の中でしっかり息づき出雲の歴史・文化が連綿と伝えられていることがわかる展覧会でした。
良かったです

京都でのこの展覧会、いよいよ今日(9/9)でラストです。
東京国立博物館でも2012.10.10~11.25日まで開催されるそうですが、内容も少し違い、出展数などの規模も京都に比べ小さくなると聞いています。
これだけの展覧会、島根県以外ではなかなか見れないと思います。
今日の予定が決まってない方は、行かれてはいかがでしょう。
おススメの展覧会ですよ


京都国立博物館
住所:京都市東山区茶屋町527 TEL:075-525-24738(テレホンサービス)
開館時間:9時半~18時(金曜は20時まで。入館は各30分前まで) 休館日:月曜(月曜が休日の場合は、翌火曜日休館)、平常展示館が建替工事中のため展覧会開催期間以外は全館休館
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