堺市立文化館「島成園と堺の日本画家」展('10.3.21 Sun)

おいしいランチを食べて、燃料を補充したところでやってきたのは、堺市立文化館です。
大阪市営地下鉄の駅に、島成園(しませいえん)没後40周年記念「島成園と堺の日本画家 美人画・花鳥画の粋」展のポスターが貼ってあり、それを見て是非観たいと思ってやってきたのです。
会期は、2010.2.26~3.22までだったので、ぎりぎり間に合いました。


この展覧会、面白い!

ポスターになっている「影絵」を含め島成園の作品だけでなく、師匠のような存在の北野恒富や同僚の中村貞以、女四人の会の木谷千種、門下生の岡本成薫、成園の作品を批判した石井柏亭など、成園に関する画家の作品などが多岐にわたって展示されてました。
それに、当時成園がマスメディアにどのように捉えられていたか、当時の新聞記事の展示にて紹介されていました。
新聞記事そのものの展示というのは、展覧会ではあまり見かけないので目新しかったのですが、こういうのも「有り」だなと思いました。
なかなかのアイデアだと思います。
それにしても、成園は情念を描く画家ですね。
美しいけれども、純真無垢で清楚なだけの美しさではなく、女性の少しドロっとしたものを感じさせ、ちょっと一筋縄ではいかないなと感じさせます。
甲斐荘楠音のようなデロリ系の作品にも興味を惹かれる私は、成園の作品はドロっとした部分も含めて「いいね」と思いますけどね

成園は、29歳ごろ結婚したのですが、大正時代の当時は晩婚とされ、それまで女性画家として活躍していたにもかかわらず結婚しないためか、かなりマスコミにたたかれていたみたいです。
成園の「無題」という作品は(チラシの写真の左上)、本人の自画像のような女性の顔に、成園の実際の顔にはない大きな青あざが描かれています。
成園は顔にあざがあっても強く生きる女性を描いたつもりだったようですが、「『無題』とは卑怯千万」と非難されたり、作品の後ろのついたての部分に求婚広告の文字を書いて掲載されたりしてる記事が展示されてました。
これは多分、女性は結婚し家庭におさまるのが良い、という当時の風潮をマスメディアが代弁した結果なんでしょうね。
成園はそんな因習に反発を感じたからこそ、心の中のドロっとしたものを絵に表出させたのだと思います。
どちらが卵か、にわとりかはわかりませんが。
自分の感じている澱を表に出させずにはいられない成園は、ある意味正直者なのかもしれないと、この展覧会を観て思いました。
島成園は堺市出身の画家ということで、成園を紹介した展覧会が開催されたのですが、堺市の収蔵品だけでなく「無題」など大阪市立美術館所蔵の作品や個人蔵の作品も展示されており、大変見応えのある展覧会でした。
良かったです!
これで入館料は無料だなんて、堺市は太っ腹

また、よろしくお願いしまーす

(この展覧会は、3月22日で終了しています)
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