大阪市立美術館 「岸田劉生展」('11.10.29 Sat)

この日は、天王寺にある大阪市立美術館で開催されている「生誕120周年記念岸田劉生展」('11.9.17~11.23まで。観覧料1300円)に行ってきました。
岸田劉生は結構好きな画家でして、楽しみにしていた展覧会です。
麗子像もいろいろありますが、私はだいたいにおいてはかわいいと思っています。

今回の展覧会のキャッチコピーは、「お待たせしました 麗子です。」、「麗子、いっぱい」ですからね。
期待でワクワクします

行ってみたら、麗子もいっぱいでしたが、劉生もいっぱいでした(笑)。
自画像だけでなく、肖像画が多いのですけどね。
その自画像も肖像画もすごい!!
「武者小路実篤像」は、本人によく似ていますね~

「高須光治君之肖像」は肖像画そのものだけでなく、画面向かって左側にモノグラム、右側に制作年月日などの字が書いてあるところが、デューラーの「1500年の自画像」の影響を受けていることがありありです。
岸田劉生という人は、マメな人だったのでしょうね。
作品に制作年だけでなく、月まで書いていることが多いのですが、それを見てみると、自画像なら1~2週間で描き上げていることから、速筆の画家であったことがわかります。
自画像は、1914年1月26日、同じく1914年10月2日の自画像が好きかな。

自画像の後は、静物画になり、これも写実的ですごく良いですね!
そして有名な重文の「道路と土手と塀(切通之写生)」があります。
道を書いた絵は何枚かあるのですが、やっぱりこの絵が一番ですね。

いよいよ麗子さんのお出ましです(笑)。
麗子像のコーナーは、「麗子の部屋」と書かれています。
チラシに麗子像がまとまって載っていましたので、載せておきますね。


一番かわいい「麗子5歳之像」(左のチラシ、下段中央)は、前期出展だったので今回は見れなくて残念。
でも、他の麗子像も、着物の描き込みなどすごいですよ!
これは、会場に行ってすぐ傍で見ないと。
「麗子坐像」(左のチラシ下段左)はキャプションに、麗子著書の『父岸田劉生』からの抜粋で、麗子は「足の痛さに涙がこぼれそうになったが、父の仕事を中断させまいと必死に我慢した。だが、父はそんなことを知らなかった」というような内容のことが載せてあったのですが、絵にはちゃんと麗子の涙が描かれています。
劉生は麗子の涙に気付いていたのですね。
そんな優しい麗子をモデルに劉生は様々な絵を描いていきます。
あんまりだなと思ったのは、「寒山風麗子像」。
麗子は実際には美人さんだったみたいなのに、劉生は何を考えたのやらという感じですね

それでも良い作品をいっぱい描いていたのですが、京都で遊びすぎて鎌倉に戻ってからの作品は、これが劉生か!?と思うほど鈍重な絵になっており、びっくりしました。
劉生の良い作品は、高い精神性があって描かれていたのだなということがよくわかりました。
劉生は38歳の若さで亡くなりましたが、もう少し長生きしてもらって、復帰の過程も見てみたかったような気もします。
図録は2300円です。
最近は、どこでも会期を数回に分けて展示する展覧会が増えていて辟易していたのですが、今回は多少前・後期に分かれているものの、ほとんど1回で200点前後の作品が一堂に観れて、すごく見応えがあり良かったです

劉生の生涯をたどるこの大回顧展は、大阪のみの展覧会だそうです。
劉生の精神性に触れるチャンスで、美術ファンの方ならこれを見逃す手はないですよ

おススメです

大阪市立美術館
住所:大阪市天王寺区茶臼山町1-82 TEL:06-6771-4874
開館時間:9時半~17時(入館は30分前まで) 休館日:月曜日(月曜が祝日の場合、翌日休館)、年末年始、展示替え期間
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