大阪市立美術館 「歌川国芳展」

最近、今時子どもでもこんなに早くに寝ないだろうという時間に寝るか、徹夜に近いような状態の繰り返しで、時間と気力があまりなくブログ更新がおろそかになって紹介するのが遅くなってしまいましたが


中に入ると、写真撮影可能な大きな看板があります


そして、会場には猫好きの国芳らしく、猫が案内板になっています

会場に入ってみると、国芳ワールド炸裂です!
前期と後期に分かれているのですが、ほぼ総替えですごい量の作品が並んでました。
合計400点余りですって。
これは見応えがあります


第1会場は武者絵、役者絵、美人画がメインなんですが、国芳の浮世絵は線が多く描き込みが細かい

描き込みが多すぎて、下手すると、人なのか着物なのか背景なのかわからなくなるところを、絶妙なバランスで劇的な作品に仕上げており、スゴイ!と思わずつぶやいてしまいました。
でも、国芳もすごいですが、彫師や摺師もすごいですよね

あまりに描き込みが多かったので、彫師・摺師の技術力に目がいってしまいました。
なのに、彼らの名前はそれほどクローズアップされることはなく、ちょっと気の毒に思いました。
以前、版元の蔦屋重三郎の展覧会がありましたが、彫師や摺師をメインにした展覧会も面白いかもしれませんね。
国芳の話に戻りますが、国芳の絵はドラマティックで漫画チックです。
それも劇画調の漫画です。
国芳は、私の好きな月岡芳年の師匠で、芳年もドラマティックで漫画チックな画を描くのですが、国芳の方が力強いですね。
その分芳年は、国芳より洗練した作品を描くのですけどね


上記の骸骨の絵、「相馬の古内裏」は、残念ながら前期展示の作品なのですが、どれだけ大きい骸骨なんでしょう(笑)。
3枚つづりで堂々2枚を占めています。
人間なんか丸呑みでしょうね(笑)。
この他にも、人間より大きな魚と格闘する「讃岐院眷属をして為朝をすくふ図」など、人間と同等かそれ以上の大きさの生き物と格闘する作品が目白押し

このように、難敵を力でねじ伏せる迫力と構図の面白さが国芳の作品の魅力なんだと思います。
そして、その構図の面白さは、芳年にしっかり受け継がれています。
「讃岐院眷属をして為朝をすくふ図」は、後期の出展です。
カラス天狗が影だけとか、白ぬ衣姫が「アレ~」と流されたりと、ちょっと面白い作品ですので、観てみてくださいね。


第1会場だけでも見応えがあったのですが、会場を出るとにゃんこの足跡が第2会場へと誘い、またまた猫さんが第2会場の前で待ってくれてます


第2会場は、人間を組合わせて1つの顔にした有名な「みかけハこハゐがとんだいヽ人だ」や、チラシの猫の作品「其まヽ地口猫飼好五十三疋」など、ユーモアのある楽しい作品がいっぱいでした。
このコーナーの私のおススメは、「福禄寿あたまのたわむれ」です。
福禄寿さんがちょっとかわいそうなんですが、思わず笑ってしまいます。
ぜひ、チェックしてみてくださいね

歌川芳富(後期)や落合芳幾(前期)の描いた国芳の死絵があったのですが、それを見て懐の大きそうな親分気質の人だなと思いました。。
ちょっと頑固そうですが人の良さも感じられ、いかにも江戸っ子という感じですね。
そうそう第2会場で忘れてならないのが、摺物のコーナーです。
摺物は、趣味人たちの配り物として注文制作された非売品なので、凝ってる作品が多いのですが、その中でも「おぉ~!」と思ったのが、柴田是真との合作の「瓢箪に画帳」です。
国芳と是真って、同じ時代で仲が良かったのですね。
瓢箪部分はまさしく是真、人物は国芳なのですが、全体で見ると調和の取れた上品な作品になっています

しぶくてかっこいいので是非観てみてくださいね。

展覧会の図録は2500円でした。
ちょと高かったのですが、分厚いですし、これは買って良かったなと思いました。
展覧会は明日(6/5)までですが、前期・後期とを観て、私は後期の方が好きでした。
おススメですので、ぜひ観に行ってくださいね。
そして、大阪での展覧会の後は、静岡市美術館('11.7.9~8.21まで)、森アーツセンターギャラリー('11.12.17~'12.2.12まで)と巡回します。
静岡県民さん、東京都民さん、もうすぐですので楽しみに待っていてくださいね



こんなところにも国芳のにゃんこさんが。
地下鉄から天王寺公園に行く時に見つけました。
また、探してみてくださいね

大阪市立美術館
住所:大阪市天王寺区茶臼山町1-82 TEL:06-6771-4874
開館時間:9時半~17時(入館は30分前まで) 休館日:月曜日(月曜が祝日の場合、翌日休館)、年末年始、展示替え期間
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