兵庫陶芸美術館 「パリに咲いた古伊万里の華」展('11.1.10 Mon)
昨日は予告編だけで失礼しました。
今日は兵庫陶芸美術館を紹介しますね。
昨日も少しお話しましたが、京都の「えき」美術館で「海を渡った古伊万里展」が開催されているのですが(拙ブログ記事はこちら)、この兵庫陶芸美術館でも 「パリに咲いた古伊万里の華」展が開催されていました。
現在はもう終わっているのですが、「えき」美術館の展覧会が良かったので、こちらの展覧会にも最終日に行ってきました。

場所は、JR福知山線の「相野」駅から神姫グリーンバスに乗って約15分、「兵庫陶芸美術館」で下車して到着です。
この日も寒くて、相野駅に着くと雪景色です。
駅では雪は止んでいたのですが、美術館に着いた時は雪が舞ってました。
バスは建物のすぐ近くまで行ってくれます。
美術館の外観全部が写るポイントまで行きたかったのですが、もう寒くて写真どころではなかったので、エントランスから山の方に向けての1枚です(笑)。

この見取り図からもわかるように、敷地内は結構広いです。
まずはエントランス棟でチケットを購入し、展示棟まで歩いていきます。

展示棟に入ると展覧会の看板がありました。
「日本磁器ヨーロッパ輸出350周年記念 パリに咲いた古伊万里の華」展('10.10.26~'11.1.10まで。観覧料1000円)です。
この展覧会、面白かったです!
前にも書きましたが、私は陶芸の方はよく知らなくて知識は皆無に近いのですが、この展覧会ではそういう人のためにか、小学生でもわかるようなやさしい解説のパネルが貼ってあったのです。
陶芸に詳しい人にとっては常識かもしれないのですが、私は鑑賞に大いに役立ちました。
読んでいくと、伊万里焼の歴史から始まって、見方までがわかるように書かれています。
中国の陶磁器はヨーロッパで大人気だったのですが、中国の内乱により手に入れることが困難になったため、日本の有田の磁器に目をつけたオランダ東インド会社の注文によりどんどん生産されていき、17世紀にヨーロッパへの輸出が始まります。

日本の磁器ははじめ、韓国経由だったためと、日本国内での需要が主に染付(青色単色)技法だったため、染付中心の中国磁器の意匠を真似したものが多かったそうです。
それが中国の内乱により、中国人の技術者も日本に流入し、色絵(多色)技術が有田に伝わり、染付、色絵を含めて美しい有田焼(伊万里焼)が作られるようになっていきます。
ヨーロッパのお城に行った時、古伊万里と書かれた陶磁器なのに、なんか中国っぽい絵付けが多く、これ日本製?と思ったのはこういう理由だったのかと得心しました。
はじめは中国のものを参考にしていた意匠も、だんだんと日本独自の絵に変わっていったのですが、中国の内乱が収まり価格供給に敗れたのと、自分たちの国内で陶磁器を作りたいという思いからできたマイセンなどの生産拡大により、18世紀日本の陶磁器の輸出は終了していくのですが、その変遷がわかるような展示内容になっていました。
中国の物真似でぎこちなかった日本の陶磁器が、どんどん変化して独自の美を確立していく変遷を見るのはひじょうに楽しかったです。
とくに色絵は、赤・青・金で花や風景が裏表に細かく描写され、ものすごく豪華で美しかったです。
また、お皿や壷に模様として透かし彫りみたいな細工や、陶器の小花などを貼り付けて立体的造形にしたり、陶器に漆芸が施したりといろいろ工夫がされ、凝った作りになっていき、やっぱり日本の工芸品はすごいわと感心しました。
そして、さらにヨーロッパで金細工などで加工され、新たな美に作りかえられるのを見るのも面白かったです。

写真は蓋付の鉢なのですが、蓋と容器の間に金細工を施し、わざと蓋を閉まらなくして中にポプリを入れていたそうです。
発想の転換が面白いですよね。
他にもインク壷やひげそり皿みたいなのもあり、造形は西洋風なのもたくさんありました。
ピッチャーなどもありましたし、輸出する時にトランクなどに詰めやすいように、アルコール入れとして角瓶もありましたよ。
角瓶は、旅行の携帯用だったのですね
普段使いの日常品(といっても高価なものですので、使っていたのは王侯貴族だと思います)から、完全に観賞用のものまでさまざまな伊万里焼が輸出されたみたいですが、ヨーロッパで日本の伊万里焼が人気があったのも納得です。
伊万里焼に金ぴか細工を施しても、金ぴかに決して負けていないのですから
図録2000円で、なかなか良かったですよ。
作品のほとんどにキャプションがついていましたし、伊万里焼の名品の数々を楽しめるだけでなく、伊万里焼の歴史、ヨーロッパ磁器への影響など、いろいろ知ることができ勉強になった展覧会でした。
良かったです
この展覧会を観て、はじめお手本にした景徳鎮や影響を与えたマイセンをまとめて見たいと思っていたら、マイセンの巡回展覧会があるみたいです。
楽しみです
兵庫陶芸美術館
住所:兵庫県篠山市今田町上立杭4 TEL:079-597-3961
開館時間:4月~10月は10時~19時、11月~3月は10時~18時(7~8月の特別展開催中の金・土、4/29~5/5のGW期間は21時まで開館。いずれも入館は閉館の30分前まで) 休館日:月(月曜日が祝休日の場合は翌平日)、年末年始(12月31日と1月1日)
今日は兵庫陶芸美術館を紹介しますね。
昨日も少しお話しましたが、京都の「えき」美術館で「海を渡った古伊万里展」が開催されているのですが(拙ブログ記事はこちら)、この兵庫陶芸美術館でも 「パリに咲いた古伊万里の華」展が開催されていました。
現在はもう終わっているのですが、「えき」美術館の展覧会が良かったので、こちらの展覧会にも最終日に行ってきました。

場所は、JR福知山線の「相野」駅から神姫グリーンバスに乗って約15分、「兵庫陶芸美術館」で下車して到着です。
この日も寒くて、相野駅に着くと雪景色です。
駅では雪は止んでいたのですが、美術館に着いた時は雪が舞ってました。
バスは建物のすぐ近くまで行ってくれます。
美術館の外観全部が写るポイントまで行きたかったのですが、もう寒くて写真どころではなかったので、エントランスから山の方に向けての1枚です(笑)。


この見取り図からもわかるように、敷地内は結構広いです。
まずはエントランス棟でチケットを購入し、展示棟まで歩いていきます。

展示棟に入ると展覧会の看板がありました。
「日本磁器ヨーロッパ輸出350周年記念 パリに咲いた古伊万里の華」展('10.10.26~'11.1.10まで。観覧料1000円)です。
この展覧会、面白かったです!
前にも書きましたが、私は陶芸の方はよく知らなくて知識は皆無に近いのですが、この展覧会ではそういう人のためにか、小学生でもわかるようなやさしい解説のパネルが貼ってあったのです。
陶芸に詳しい人にとっては常識かもしれないのですが、私は鑑賞に大いに役立ちました。
読んでいくと、伊万里焼の歴史から始まって、見方までがわかるように書かれています。
中国の陶磁器はヨーロッパで大人気だったのですが、中国の内乱により手に入れることが困難になったため、日本の有田の磁器に目をつけたオランダ東インド会社の注文によりどんどん生産されていき、17世紀にヨーロッパへの輸出が始まります。

日本の磁器ははじめ、韓国経由だったためと、日本国内での需要が主に染付(青色単色)技法だったため、染付中心の中国磁器の意匠を真似したものが多かったそうです。
それが中国の内乱により、中国人の技術者も日本に流入し、色絵(多色)技術が有田に伝わり、染付、色絵を含めて美しい有田焼(伊万里焼)が作られるようになっていきます。
ヨーロッパのお城に行った時、古伊万里と書かれた陶磁器なのに、なんか中国っぽい絵付けが多く、これ日本製?と思ったのはこういう理由だったのかと得心しました。
はじめは中国のものを参考にしていた意匠も、だんだんと日本独自の絵に変わっていったのですが、中国の内乱が収まり価格供給に敗れたのと、自分たちの国内で陶磁器を作りたいという思いからできたマイセンなどの生産拡大により、18世紀日本の陶磁器の輸出は終了していくのですが、その変遷がわかるような展示内容になっていました。
中国の物真似でぎこちなかった日本の陶磁器が、どんどん変化して独自の美を確立していく変遷を見るのはひじょうに楽しかったです。
とくに色絵は、赤・青・金で花や風景が裏表に細かく描写され、ものすごく豪華で美しかったです。
また、お皿や壷に模様として透かし彫りみたいな細工や、陶器の小花などを貼り付けて立体的造形にしたり、陶器に漆芸が施したりといろいろ工夫がされ、凝った作りになっていき、やっぱり日本の工芸品はすごいわと感心しました。
そして、さらにヨーロッパで金細工などで加工され、新たな美に作りかえられるのを見るのも面白かったです。

写真は蓋付の鉢なのですが、蓋と容器の間に金細工を施し、わざと蓋を閉まらなくして中にポプリを入れていたそうです。
発想の転換が面白いですよね。
他にもインク壷やひげそり皿みたいなのもあり、造形は西洋風なのもたくさんありました。
ピッチャーなどもありましたし、輸出する時にトランクなどに詰めやすいように、アルコール入れとして角瓶もありましたよ。
角瓶は、旅行の携帯用だったのですね

普段使いの日常品(といっても高価なものですので、使っていたのは王侯貴族だと思います)から、完全に観賞用のものまでさまざまな伊万里焼が輸出されたみたいですが、ヨーロッパで日本の伊万里焼が人気があったのも納得です。
伊万里焼に金ぴか細工を施しても、金ぴかに決して負けていないのですから

図録2000円で、なかなか良かったですよ。
作品のほとんどにキャプションがついていましたし、伊万里焼の名品の数々を楽しめるだけでなく、伊万里焼の歴史、ヨーロッパ磁器への影響など、いろいろ知ることができ勉強になった展覧会でした。
良かったです

この展覧会を観て、はじめお手本にした景徳鎮や影響を与えたマイセンをまとめて見たいと思っていたら、マイセンの巡回展覧会があるみたいです。
楽しみです

兵庫陶芸美術館
住所:兵庫県篠山市今田町上立杭4 TEL:079-597-3961
開館時間:4月~10月は10時~19時、11月~3月は10時~18時(7~8月の特別展開催中の金・土、4/29~5/5のGW期間は21時まで開館。いずれも入館は閉館の30分前まで) 休館日:月(月曜日が祝休日の場合は翌平日)、年末年始(12月31日と1月1日)
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