とある婦人の忘備目録

展覧会、映画、お寺などを観ること、食べることを中心に感想を綴っていきます。

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京都国立近代美術館 上村松園展

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 昨日の予告どおり、今日は松園展を紹介することにします。

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 やってきたのは京都国立近代美術館です。
 前述しましたように、こちらでは「上村松園」展('10.11.2~12.12まで。観覧料1300円)が開催されています。

 上村松園は、京都が誇る美人画の大家で、関西にも多くの作品があることから、今までも数多く作品を観てきましたが、今回は過去最大規模の回顧展だということで、楽しみにして行きました。

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 うん!やっぱり松園の絵は良いですね

 松園の絵は好きで、展覧会の度に足を運んだだけのことがあってか、ほとんどの作品は観たことがあるため今回それほど大きな感動はなかったのですが、この展覧会では初期から絶筆まで年代を追って作品が紹介されているため、松園の画業の変化が見て取れるところが面白かったです。

 やっぱり、初期には浮世絵や大和絵の影響を受けているなと思うような作品が多いですね。
 同じく美人画で有名な鏑木清方の前期の作品とも似ているような印象を持ちました。
 どちらも、北斎や歌麿など、参考にしている絵が似ているからではないでしょうか。
 一度、松園と清方を並べて観ることができるような展覧会を開いて欲しいですね。

 また、初期には同じ主題で何枚もの絵が描かれています。
 「人生の花」は3枚描いているのですが、そのうちの2枚が今回展示されており、色や、帯の柄、手の位置などいろいろ試しているのがわかります。
 今回の展覧会では写生なども展示されていますが、松園の勉強熱心さがここでも見て取れます。
 2枚並べて展示されると比較できますので、面白いですね

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 中期になると、単なるかわいい美しさだけでなく、女性の内面の暗い熱情みたいなものが描かれます。
 それが「焔」や「花がたみ」です。
 今現在の私から見るとまだどこか上品で、内面のドロッとしたものが表面にほんの少し滲み出ている程度にしか思えませんが、そこが松園の美意識のスタンスであり、時代背景であったのではないかと思います。
 
 この時代、職業画家のほとんどが男性で、男性による女性像は自分の印象どおり好きに描いてましたが、その結果、とても美しいと言えない女性像も描かれています。
 松園は、それを女性への蔑視と捉え、自分の描く女性はどんな場面でも気品が感じられるように描きたいと常々思っていたのだと思います。
 それと同時に、女性は奥ゆかしいのが美徳という、その時代の教えの中で育ってきたであろうことから、自分の強い思いを表面に出すことに対して無意識のうちに抵抗感を感じていたのではないかとも思います。
 それでもこのような絵を描いたというのは、単なる試み以上に、自分の中で抱え込んでおくには重すぎるような何かがあったのではないでしょうか。

 これらの作品を描いて以降は、また穏やかで美しい作品に戻っていきます。
 何か吹っ切れた感じで、ひたすら美しい絵を描いています。
 着物や帯の柄などは、ものすごく細かい描き込みで目が釘付けになるほど美しいですよ
 ただ表情から甘さがなくなり、すっきりとした落ち着きのある大人の女性に変化していますが。
 「砧」など、もう少し寂しいという感情を描いてもいいように思うのですけどね。
 
 この展覧会を観ていると、松園の少女から大人への成長の過程そのものが展示されているような気がします。
 でも、老いた印象の作品はないので、松園自身も老いることはなかったのかもしれませんね。
 そして、それが松園の矜持でもあるのだと感じました

 図録は2300円でした。
 会場では大きな章立てのところに大まかな解説があるだけで、個々の作品にキャプションはありません。
 無料で配っている展示目録の後ろに少し解説が載っていますが、詳しく知りたい方は図録をオススメします。
 絵もちょうどいい大きさで載ってますよ

 あっ、そうだ!
 展示品の中には掛軸も多かったのですが、表装が絵にマッチしてすごく良かったのです。
 行かれる方は、表装も是非見てみてくださいね。
 いい仕事されてますよ

 常設展では、ミニ企画として松園ゆかりの作家の展示がされていました。
 同時代や後の画家たちがどのような絵を描いていたかを知ることができ、なかなか面白いです。

 同じ女性画家でも、もう少し後の時代になると、梶原緋佐子やこの展覧会では展示されてませんでしたが島成園などが思いっきり女性の情念などを表現していきます。
 そして、広田多津などはそんなことからも開放されて、堂々とした女性像を描いていきます。
 その辺の変遷は、以前、京都市美術館で「京の閨秀・女流・女性画家ー担ったもの/担わされたものー」展という展覧会で紹介されていました(その時の拙ブログ記事はこちら)。

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 描かれる女性像は時代によって変わっているかもしれませんが、上村松園の描く女性像は、時代が変わっても格調高く美しいです。
 良い展覧会でした
 
京都国立近代美術館
 住所:京都市左京区岡崎円勝寺町 TEL:075-761-4111
 開館時間:9時30分~17時(入館は16時30分まで)休館日:月曜
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  1. 2010.12.10 (金) 13:56
  2. URL
  3. NANTEI
  4. [ edit ]

たびたび、すみません。

毎日のようで、少々うるさいかな、とも思ったのですが、今日の上村松園の記事を拝読して、非常に感心したものですから、つい書き込んでしまいました。
簡潔でとても判りやすい文章でした。しっかりした鑑賞眼をお持ちの方だということが伝わってきました。寺社の案内と同じく、これからも楽しみにしております。
  1. 2010.12.11 (土) 01:33
  2. URL
  3. Ms.れでぃ
  4. [ edit ]

コメント、いつもありがとうございます。

松園の記事、長々と書いてしまいましたのに、読んでくださってありがとうございます。
鑑賞眼もまだまだですので、ちょっと気恥ずかしいですが、うれしいコメントをありがとうございました。

大したことを書いてない記事もあると思いますが、これからも気楽に楽しんでいただければ幸いです。

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