奈良特別御開帳巡り⑥元興寺禅室&屋根裏探検('10.10.23 Sat)

2つのお寺を周るといい時間になってきましたので、急いで元興寺(がんこうじ)に戻ってきました。
まだ時間が少しありましたので、先にお寺の中を拝観させていただきます('10.10.1~11.30までは拝観料600円)。
元興寺は、蘇我馬子が飛鳥に建立した日本最古の本格的仏教寺院である法興寺(飛鳥寺)が前身で、平城京遷都に伴って飛鳥から新都へ移転した折、名称を元興寺としたそうです。
奈良時代には東大寺、興福寺と並ぶ大寺院だったそうですが、中世以降次第に衰退して現在残っている建物は、極楽堂(本堂)、禅室、東大塔跡、西小塔院跡しかないそうです。
現在の宗教は真言律宗で、御本尊は智光曼荼羅です。

本堂である極楽坊(国宝)です。
奈良時代に創建されましたが、鎌倉時代に改築されたそうです。
藤原時代の阿弥陀如来坐像(重文)、鎌倉時代の薬師如来坐像、南北朝時代の如意輪観音坐像などが安置されています。
どの仏さまもどっしり落ち着きがあり、なんでも受け止めてくれそうな感じがします

聖徳太子の像も、南無仏太子像と孝養像の2体がありましたが(いずれも重文)、さすが聖徳太子さま、どちらの像も賢そう~。
とくに南無仏太子像は、普通は2歳の時の像として作られていますが、まるで大人のような沈着で思慮深いお顔をされています。
すごいですね~。

収蔵庫では、秋季特別展として「元興寺之七不思議」展('10.10.24~11.7まで)が開催されています。
板絵の智光曼荼羅(重文)、元興寺五重大塔部材で製作された阿弥陀如来座像と一刀彫大黒天像、如意輪観音摺仏などが展示されています。
なかなか興味深く見学できました



本堂や禅室と収蔵庫の間には、石仏や五輪塔などがたくさん並んでいます。
かわいい鬼さんもいました。
なぜか前には銀杏が(笑)。

今回特別公開の禅室('10.10.1~11.30まで)にも入らせてもらいます。
中は須田剋太の12面の衝立が立てられています。
須田剋太は濃い絵を描く洋画家ですが、こちらの衝立は字がメインです。
須田剋太って、字も絵と同じように濃いのですね(笑)。

本堂の屋根を見ると、赤や白の屋根瓦が見えます。
赤い瓦は飛鳥時代、白いのは奈良時代の瓦だそうです。
そんな古い時代の瓦が現役で頑張っているのだなということに少し感動しました。

さて、禅室の屋根裏探検('10.10.17~11.13まで。別途1000円)の受付時間になりました。


受付を済ませると、ヘルメットと懐中電灯を身に着けて出発です。


ガイドさんの説明を受けながら見学していきます。
奈良時代に造られた建物ですが、鎌倉時代に改築されていますので、建材も奈良時代や鎌倉時代のものが混在しています。

私は建築は全くわからないのですが、しっかりした造りであるように思われました。


改修工事をするのは大変だったのでしょう。
昭和の職人さんの落書きも見つかってます。

お寺の屋根裏に上るなんて滅多にないことなので貴重な経験でした。
修理をするということは、前の時代の技術が伝承されるということだと思います。
奈良時代、鎌倉時代の技術が昭和に伝承され、それが現在、未来へとつながっていくのですね。
技術は一部の人にしか伝わりませんが、仏像やお寺を大切にしてきた古人の想いは私にも伝わりました

元興寺
住所:奈良市中院町11番地 TEL:0742-23-1377
拝観時間:9時~17時(受付16時半まで)
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