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奈良県立美術館「不染鉄」展

 husenara1.jpg
 奈良県立美術館で開催されていた「漂泊の画家 不染鉄~理想郷を求めて」展('24.1.13~3.10まで。入館料1200円。会期は終了しました)に行ってきました。
 2017年に不染鉄展を観て感動したので、今回も絶対に観に行こうと思っていた展覧会です。
 ですが、ケガでしばらく遊びに行ける状態ではなかったので「行けるか!?」と気を揉んだのですが、会期終了ギリギリに行けました。
 とはいえ、記事の方は間に合いませんでした、スミマセン。
 でも、何年かに一度は開催されると思うので、今回の感想も書き残しておこうと思います。
 
 husenara2.jpg
 不染 鉄(ふせん てつ、1891-1976)は、大正から昭和にかけて活動した日本画家です。
 この画家の描く絵は能弁です。
 描きたいと思ったものを全て画布の中に収めたいという感じで、細かくぎっしり描かれていて、閉ざされた世界が完結しているように見えるのに閉塞感がなく、その温かい世界に入りたくなります。

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 能弁なのは絵だけでなく、絵の中に文章もいっぱい書いてあります。
 上の絵は「仙人掌」(チラシからの抜粋。ちなみに題名はサボテンと読みます)という作品で、写真ではわかりにくいですが、下に文章がびっしり書かれています。
 それも緑色で、絵の邪魔にならないように。

 文章が書いてある絵はたくさんあり、展覧会のキャプションには絵に書かれた文章が読みやすいように載せてあったのですが、絵のどこに文章が書かれているの?と探すぐらい目立たないように書かれています。
 文章も書きたいけれど、メインは絵だということなのでしょうね。
 その内容は、絵を描いた状況なり、心情なりというもので、絵日記みたいな感じのものが多かったです。
 
 前回の展覧会では、絵と文章から哀愁のようなものを感じました。
 ですが、今回の展覧会の解説で、不染鉄は寂しいこともあったでしょうが、決して孤独ではなかったとあり、それを知って私も安心したのか、今回は哀愁より時間の経過を感じました。

 husenara4.jpg
 こちらもチラシの抜粋ですが、左の絵が「南海之図」、右が「秋声」です。
 南海之図の場所が何枚も展示されていて、絶海の孤島だったようなところが、段々と拓けて景色が変わっていくのが見れました。
 また、秋声のような家の絵もたくさんあったのですが、家から漏れる灯りの色がだんだんと明るくなり、ランプや裸電球のような暗さから蛍光灯の明るさに変わったのだなということがわかります。

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 不染鉄の生きた時代は戦争もあり、暗い日々もあったのでしょうが、誰もが持っている古き時代の良き思い出をそっと思い起こさせてくれる、そんな展覧会でした。
 良かったです。
 
奈良県立美術館
 住所:奈良市登大路町10-6 TEL:0742-23-3968 
 開館時間:9時~17時(入館は閉館の30分前まで)
 休館日:月曜(祝日の場合は開館し、その翌平日休館)、年末年始(12/28~1/4)、展示替え期間


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No title

おはようございます^^

なんだかホッとする温かい絵を描かれる画家さん……
古民家好きとしましては…最後に掲載してくださった絵に
見入ってしまいました(^^)/
俳画というのは聞いた事がありますが
絵の中に文字を書かれたとは…なんとも斬新……
色々な意味で感性が豊かな方だったのですね!

Ms.れでぃさんの最後のコメントも心に響きました♡
古き良き時代……素敵です☆彡

ところで…怪我は重くて大変だったのですね……
貴重な展示会の記事をありがとうございました🎵
こちらで開催されたら絶対行きたいです(^^)/

No title

不染 鉄って画家さんのお名前でしたの。
無知なもので鉄の種類かと思いました。💦💦恥じだわぁ。。

絵の中に文字が書かれているなんて珍しいです。
同じ作家さんを年代で見るのも面白いですね。

ところでれでぃさんは絵画などに精通されてますが、学生の頃から美術がすきだったのですか?
ご自分でも描かれますか?

お怪我全開でよかったことです。どんなにしんどい思いをされたことでしょう。
私も気をつけるようにしなくては・・家の中でもよく躓きますものねぇ(>_<)

Comodoさん

こんばんは。
この画家さんは、多分、こころの中に想いがあふれでるほどあって、
それを皆に伝えたい人だったのだろうなぁと思います。
幼い頃の家庭環境が少し複雑だったみたいで、それが嫌で身を
持ち崩すようなことがあったり、またその状況から脱却するためか、
伊豆諸島で漁師をしたり。
その後入学した絵画専門学校の在学中に特待生になり、学校の先生や校長に
までなっている起伏のある人生を送ったようです。
その中でいろんなことを学び、愛しく感じたことを絵に表し、絵だけでは
伝わらないかもと字まで書いたのだそうです。
すごいですよね。
今のところこの展覧会は巡回するかわからないのですが、再来年が
没後50年にあたるので、もしかするとその時に東京で展覧会がある
かもしれないので、機会があれば観に行ってくださいね。
いつも嬉しいコメントをありがとうございました^^

美風さん

こんばんは。
いえいえ、私も初めてこの画家の展覧会を観た時は、人の名前だとは
思いませんでした。
変わってますよね。
この画家は僧侶のこどもで、不染はお父さんが名乗った苗字で、
名前の本名は哲治、不染哲治が生まれた時の名前です。
その後、自分で哲爾や鉄二に改め、最終的には不染鉄になったみたいです。
会場に、学校の特待生決定書や美術展入賞の賞状などが展示されていた
のですが、哲治や鉄二などバラバラの名前になっていて、私もどれが本名?と
思いました(笑)

私が絵にしっかり興味を持ちだしたのは、20代初めに友人がくれた
平山郁夫の展覧会のチケットがきっかけです。
それまでも少しは絵は見ていたのですが、展覧会に行きだしたのはそれからです。
でも、見る方専門で描く方は全くダメなんです(泣)
なんせ中学の時の美術の成績は2を取ったことがありましたからね(笑)
美術史でどうにか点を取って3になったというありさまで^^;
なので絵が描ける人が本当に羨ましいです。

ケガの方は顔に傷が残るか心配だったのですが、きれい治ってホッとしました。
私は元々すり足気味に歩く癖があるのですが、しっかり足をあげて
歩かなければと思いました。
ご心配を含めて、いろいろとコメントをありがとうございました^^

Ms.れでぃ 様

今晩は

体調戻られたようですね。

不染鉄 哀愁と懐かしさを感じます。
坊様ですので、達観した絵もありますが、物凄く人間味をかんじます。
美術館ボランティア仲間に不染鉄を知っている方は居ませんでしたので
勉強会で話をしようと思っています。
前回も 木田安彦の話をし、興味を持ってもらえました。

私は最近、音楽の方に興味を持ち、無料コンサートに出かけています。
先週は ブラスのクラッシック、4月はエレキ、とびわ湖ホールのクラッシック。無料の物ばかりです。
美術館も無料で行ける京博・中信美術館・画廊が多くなってきました。

名なし様

こんばんは。
おかげさまで、無事治りました。
お気遣い、ありがとうございます。

不染鉄、おっしゃるとおり、絵からも文章からも人間味や温かみを感じます。
勉強会で不染鉄を取り上げられるなんて面白そう!
私も聴きに行きたいぐらいです^^
それにしても、勉強会までボランティアが担当するのですね。
学芸員も参加されるのでしょ?
そちらの美術館は、ボランティアさんが勉強熱心なのですね。

無料のコンサートなんて良いですね。
音楽を聴くのも楽しいですものね^^

展覧会は観覧料が高くなりすぎて、私もだいぶんセーブするようになりました。
4月から京都のバスの1日券がなくなるので、更に行くことが減るかもしれません。
誰でも気軽に文化を楽しめる時代ではなくなってきているのが寂しいですね。
コメントをありがとうございました^^
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Ms.れでぃ

Author:Ms.れでぃ
主に関西で開催されている展覧会を観に行っています。
ゆるゆる感想を書いていきたいと思います。
ローカルネタになりますが、訪問していただけるとうれしいです。

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