3つの展覧会 in 京都
前回の桜の記事は、京都で開催されている3つの展覧会を観に行った時に見たものです。
今回はその展覧会の感想です。

まず1つ目は、福田美術館で開催されている「日本画革命 魁夷・又造ら近代日本画の旗手 旧山本憲治コレクション」展('23.1.28~4.9まで。入館料1300円)です。
この展覧会は、山本憲治さんという方が蒐集された美術品約200点が福田美術館のコレクションに新たに加わり、その中から近代日本画の作品を紹介したものです。
京都の美術館が所蔵している日本画の近代絵画は京都画壇の画家の作品が多いのですが、今回は横山大観、菱田春草、川合玉堂など東京画壇の作品がたくさん観れたのが良かったです。
展覧会のタイトルにもあるように、東山魁夷と加山又造の作品がとりわけ多かったです。
東山魁夷は大好きな画家の1人なので、私的にはとくに嬉しかったです^^

こちらは東山魁夷の「緑の朝」という作品です。
東山魁夷の絵は、美しい色彩で自然をより美しく見せてくれるので、気持ちを落ち着かせてくれます。

こちらは加山又造の「日輪」です。
今まであまり思わなかったのですが、今回展示されていた加山又造の作品は、有機的というか、なんか少し臓器のような生々しさを感じました。
この作品も血管みたいに見えて、ちょっとぞわっとしました。
魁夷の作品を観た後だから、特にそう感じたのかも^^;
加山又造の作品からは、隔絶した自然の美しさだけではない、生きている自然の内部を垣間見たような印象を受けました。
面白い表現だとは思いますが、私はやっぱり魁夷の作品の方が好きです。
全体的に見応えのある展覧会で、良かったです^^

次は嵯峨嵐山文華館で開催されている「絵で知る百人一首と伊勢物語」展('23.1.28~4.9まで。入館料900円)です。
百人一首に出てくる歌人たちを描いた作品と、六歌仙の1人である在原業平をモデルにした伊勢物語のお話にちなんだ日本画を紹介する展覧会です。
いろんな作品が観れて楽しかったのですが、とくに菊池契月の作品が良かったです。

こちらは菊池契月の「在五中将」です。
在五中将とは、在原氏の5男で、中将であったことからついた在原業平の別称です。
業平は平城天皇の孫で、平城天皇の第一皇子である阿保親王の5男なのですが、臣籍降下され在原姓になったそうです。
絵でも気品のある美しさですよね~♡
展覧会では、絵だけでなく部分的にですが伊勢物語も現代語訳をつけて展示されています。
伊勢物語って、高校の時、古文に少し載っていた程度で、内容はほとんど覚えてなかったので、お話を読むのも面白かったです。
絵と文章、両方楽しめる展覧会でした^^
最後は京都国立近代美術館で開催されている「甲斐荘楠音の全貌」展('23.2.11~4.9まで。観覧料1800円)です。

この展覧会は、大正から昭和にかけて京都で活躍した日本画家、甲斐荘楠音(かいのしょうただおと1894-1978)について紹介した展覧会です。
甲斐荘楠音はもともと好きな画家でして、楽しみに行ってきました。

甲斐荘楠音の作品は、岸田劉生に「デロリとした絵」と評されたのですが、その表現はピッタリで私も何も考えずにデロリ系という言葉を使っていたのですが、甲斐荘楠音のデロリの正体は肌の質感だったのだと
展覧会のキャプションを読んで思いました。
楠音自身は「肌香」と呼んでいたそうですが、皮の下の肉が溶け出しているかのような熟れた肌の質感を感じるのです。
ドロドロとまではいきませんが、トロリとしだした感じ、その弛緩した状態を岸田劉生は「デロリ」と表現したのではないかと思いました。
そして、土田麦僊はそれを他に影響を及ぼすほど「穢い絵」と感じた。
感じ方は人それぞれですし、美的感覚はその人の主義や生い立ちにも関係してくるのではないかと思いますが、私は楠音の「母の像」を見て、楠音がこだわった「肌香」のルーツはお母さんだったのではないかと思いました。
それはそうと、この人はポーズのデッサンを数多く描いてるのです。
根は真面目で凝り性だったのでしょうね。
映画の衣装や美術担当をしていたというのは知っていましたが、時代考証までしているとは知りませんでした。
楠音が関わった映画の数はわかっているだけで236本。
すごい本数ですよね。
会場では手掛けた衣装がずらりと並んでいて圧巻でした。
着物だけ見るとなんか陳腐な印象が、実際に役者さんが着ている映画を見ると、派手過ぎず地味過ぎずで絶妙です。
すごいな~と思いました。
タイトル通り、まさしく全貌展という内容の展覧会でした。
面白かったです^^
福田美術館
住所:京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町3-16 TEL:075-863-0606
開館時間:10時~17時(入館は16時30分まで)休館日:火曜日(祝日の場合は翌日)、展示替え期間、年末年始(12/29~1/1)
嵯峨嵐山文華館
住所:京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町11 TEL:075-882-1111
開館時間:10時~17時(入館は16時30分まで) 休館日:火曜(祝日の場合は翌日)、年末年始(12/29~1/1)、展示替期間
京都国立近代美術館
住所:京都市左京区岡崎円勝寺町 TEL:075-761-4111
開館時間:10時~18時(金曜は20時まで。入館は各閉館の30分前まで)
休館日:月曜(月曜日が休日にあたる場合は開館し、翌日休館)、年末・年始、展示替え期間
ポチポチっと押して励ましてくださるとうれしいです。

にほんブログ村
↑
ありがとうございます。
↓
今回はその展覧会の感想です。

まず1つ目は、福田美術館で開催されている「日本画革命 魁夷・又造ら近代日本画の旗手 旧山本憲治コレクション」展('23.1.28~4.9まで。入館料1300円)です。
この展覧会は、山本憲治さんという方が蒐集された美術品約200点が福田美術館のコレクションに新たに加わり、その中から近代日本画の作品を紹介したものです。
京都の美術館が所蔵している日本画の近代絵画は京都画壇の画家の作品が多いのですが、今回は横山大観、菱田春草、川合玉堂など東京画壇の作品がたくさん観れたのが良かったです。
展覧会のタイトルにもあるように、東山魁夷と加山又造の作品がとりわけ多かったです。
東山魁夷は大好きな画家の1人なので、私的にはとくに嬉しかったです^^

こちらは東山魁夷の「緑の朝」という作品です。
東山魁夷の絵は、美しい色彩で自然をより美しく見せてくれるので、気持ちを落ち着かせてくれます。

こちらは加山又造の「日輪」です。
今まであまり思わなかったのですが、今回展示されていた加山又造の作品は、有機的というか、なんか少し臓器のような生々しさを感じました。
この作品も血管みたいに見えて、ちょっとぞわっとしました。
魁夷の作品を観た後だから、特にそう感じたのかも^^;
加山又造の作品からは、隔絶した自然の美しさだけではない、生きている自然の内部を垣間見たような印象を受けました。
面白い表現だとは思いますが、私はやっぱり魁夷の作品の方が好きです。
全体的に見応えのある展覧会で、良かったです^^

次は嵯峨嵐山文華館で開催されている「絵で知る百人一首と伊勢物語」展('23.1.28~4.9まで。入館料900円)です。
百人一首に出てくる歌人たちを描いた作品と、六歌仙の1人である在原業平をモデルにした伊勢物語のお話にちなんだ日本画を紹介する展覧会です。
いろんな作品が観れて楽しかったのですが、とくに菊池契月の作品が良かったです。

こちらは菊池契月の「在五中将」です。
在五中将とは、在原氏の5男で、中将であったことからついた在原業平の別称です。
業平は平城天皇の孫で、平城天皇の第一皇子である阿保親王の5男なのですが、臣籍降下され在原姓になったそうです。
絵でも気品のある美しさですよね~♡
展覧会では、絵だけでなく部分的にですが伊勢物語も現代語訳をつけて展示されています。
伊勢物語って、高校の時、古文に少し載っていた程度で、内容はほとんど覚えてなかったので、お話を読むのも面白かったです。
絵と文章、両方楽しめる展覧会でした^^
最後は京都国立近代美術館で開催されている「甲斐荘楠音の全貌」展('23.2.11~4.9まで。観覧料1800円)です。

この展覧会は、大正から昭和にかけて京都で活躍した日本画家、甲斐荘楠音(かいのしょうただおと1894-1978)について紹介した展覧会です。
甲斐荘楠音はもともと好きな画家でして、楽しみに行ってきました。

甲斐荘楠音の作品は、岸田劉生に「デロリとした絵」と評されたのですが、その表現はピッタリで私も何も考えずにデロリ系という言葉を使っていたのですが、甲斐荘楠音のデロリの正体は肌の質感だったのだと
展覧会のキャプションを読んで思いました。
楠音自身は「肌香」と呼んでいたそうですが、皮の下の肉が溶け出しているかのような熟れた肌の質感を感じるのです。
ドロドロとまではいきませんが、トロリとしだした感じ、その弛緩した状態を岸田劉生は「デロリ」と表現したのではないかと思いました。
そして、土田麦僊はそれを他に影響を及ぼすほど「穢い絵」と感じた。
感じ方は人それぞれですし、美的感覚はその人の主義や生い立ちにも関係してくるのではないかと思いますが、私は楠音の「母の像」を見て、楠音がこだわった「肌香」のルーツはお母さんだったのではないかと思いました。
それはそうと、この人はポーズのデッサンを数多く描いてるのです。
根は真面目で凝り性だったのでしょうね。
映画の衣装や美術担当をしていたというのは知っていましたが、時代考証までしているとは知りませんでした。
楠音が関わった映画の数はわかっているだけで236本。
すごい本数ですよね。
会場では手掛けた衣装がずらりと並んでいて圧巻でした。
着物だけ見るとなんか陳腐な印象が、実際に役者さんが着ている映画を見ると、派手過ぎず地味過ぎずで絶妙です。
すごいな~と思いました。
タイトル通り、まさしく全貌展という内容の展覧会でした。
面白かったです^^
福田美術館
住所:京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町3-16 TEL:075-863-0606
開館時間:10時~17時(入館は16時30分まで)休館日:火曜日(祝日の場合は翌日)、展示替え期間、年末年始(12/29~1/1)
嵯峨嵐山文華館
住所:京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町11 TEL:075-882-1111
開館時間:10時~17時(入館は16時30分まで) 休館日:火曜(祝日の場合は翌日)、年末年始(12/29~1/1)、展示替期間
京都国立近代美術館
住所:京都市左京区岡崎円勝寺町 TEL:075-761-4111
開館時間:10時~18時(金曜は20時まで。入館は各閉館の30分前まで)
休館日:月曜(月曜日が休日にあたる場合は開館し、翌日休館)、年末・年始、展示替え期間
ポチポチっと押して励ましてくださるとうれしいです。

にほんブログ村
↑
ありがとうございます。
↓
- 関連記事
スポンサーサイト