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京都 泉屋博古館 「板谷波山の陶芸」展

 最近忙しくて、ちょっとブログをサボっている内に季節が進んでしまって急に寒くなってしまいました。
 ですが、私はポカポカ。
 寒くなってくると、うちのニャンコが膝の上でくつろいでくるので^^
 重みで足が痺れているのですが、熟睡している様子を見ていると動けない・・・^^;

 hazansen1.jpg
 話は変わりますが、泉屋博古館で開催されている「生誕150年記念 板谷波山の陶芸 近代陶芸の巨匠、その麗しき作品と生涯」展('22.9.3~10.23まで。入館料1000円)を観てきました。

 この展覧会、良かった~!

 板谷波山(いたや はざん 1872-1963)は、明治の後期から昭和の中期にかけて活躍した茨城県出身の陶芸家で、「波山」という号は「筑波山」からつけたそうです。
 帝室技芸員に任命され、陶芸部門では初めての文化勲章を受章されています。

 hazansen2.jpg
 この人の作品は、例えば壺に絵付けをするだけでなく、そこに彫刻し、色付けし、葆光彩磁(ほこうさいじ)という新しい釉薬を使った技法まで発明し、全部1人でしているところがすごいです。
 東京美術学校(現在の東京藝大)彫刻科に入学し、岡倉天心や高村光雲の指導を受け、彫刻だけでなく絵画なども学び、陶芸における完璧な美を求めたようです。
 ただ、形の成型は轆轤(ろくろ)師の現田市松という人に頼んでいました。
 より完璧なものを作るためだそうです。

 作品を観ると、それはもう感嘆のため息が出るほど美しい!

 hazansen3.jpg
 こちらはチラシからの抜粋ですが「葆光彩磁葵模様鉢」という鉢で、柔らかいパステル調の色が美しく、手にとって愛でてみたくなります^^

 hazansen4.jpg
 私がとくに気に入ったのが、右の方の「彩磁蕗葉文大花瓶」です。
 大きな花瓶に蕗の葉の大きな文様は、明治に作られたものだとは思えないぐらいモダンでオシャレです。

 どれも素晴らしく美しかったのですが、これらの完璧な作品を作るために板谷波山という人は一切の妥協をしなかったため、貧困との戦いだったようです。

 会場にエピソードが書いてあったのですが、作品を窯入れし、これが完成すると餓死の危機から離れられるという時に地震がおこり、窯に入れた作品すべてに傷が入ったそうです。
 もう家にはお米もなかったので、波山の奥さんが傷の上から絵を塗ってごまかしてはどうかと提案したところ、波山は「お金より名の方が惜しい。後で苦痛になるから」と言って拒否。
 でも、家族に食べさせるものもないので奥さんも折れずにケンカになり、波山は近所から借金し、そのお金で奥さんを買物に行かした隙に、傷の入った作品全部を割ってしまったそうです。

 妻や子どもを飢えさせても、完璧な作品でなければ世に出したくないというのは、家族の立場からすると疑問がでますが、ものすごい完璧主義者だということがわかります。
 いくつかの美術館で、波山の作品の破片を何回か見たことがあり、破片だけでもきれいだなとは思ったのですが、なぜ本体がないのに破片は多いのだろうとも思っていたのです。
 出来上がった作品より割られた作品の方が多かったからだと、今回の展覧会でわかりました。
 
 野良の子犬や子猫を拾ってきてはかわいがり、故郷の人には80歳以上の人に記念品を作って渡したりする優しい人なのに、作品に関してだけは絶対に譲らない。
 「板谷波山」の名前で出す作品に妥協は許せない、波山のプライドが見れた展覧会でした。
 素晴らしかったです。
 オススメですよ。 

泉屋博古館
 住所:京都市左京区鹿ヶ谷下宮ノ前町24 TEL:075-771-6411
 開館時間:10時~17時(入館は16時30分まで)
 休館日:月曜(祝日の場合は開館、翌日代替休)、展示替期間
 
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No title

こんばんは^^

2枚目のお写真を拝見した時…右から2番目の上下の作品が気になり
説明書きも興味深く読ませて頂きました^^

完璧主義な人というのはあまり好きではないのですが…
Ms.れでぃさんのお話が上手なのもあって…好感を持ちました
妥協を許さなかったご本人も
喧嘩をしながら支えたご家族も素晴らしいと思います

捨てられた動物を保護する方は心も美しいので
その心が作品にも反映されていような気がしました
このお茶碗で…ご飯を食べたいです(^-^;

Comodoさん

こんばんは。
Comodoさんも葵模様の鉢と蕗模様の花瓶が気になられましたか。
私も気に入って、アップ写真にしました^^

作品に関しては、なかなかこだわりの強い人だったみたいです。
一方、人間的には優しい人だったようです。
でも、いつも経済的なことを考えなければいけない奥さんは大変だった
ろうなと思います。
奥さんも陶芸を習われていたようで、夫婦合作の作品も展示されてました。
あの奥さんだからこそ、波山の妻が務まったのだと思いました。
芸術家の妻というのは大変そうです。

いつもコメントをありがとうございます。
そしてたくさんの拍手コメントもありがとうございます^^


Ms.れでぃ様

板谷波山 私も感動しました。
押さえられた色合いや形 品を感じさせてくれます。
Ms.れでぃ様の感想は的確ですね!

明治・大正時代の芸術作品にはいつも感動させられます。

捨楽斎人さん

こんばんは。
お褒めの言葉をありがとうございます。
捨楽斎人さんから褒めていただけるなんて、すごく嬉しいです^^

明治の美術・工芸品は、世界に打って出ようとする気概が満ち溢れて
いた時代なので、お金に糸目をつけずすごい物を作っていましたものね。
さすがに長続きはできない。
でも、現代でも伝統工芸品展などを見ていると、創意工夫をされて
素晴らしい作品を作られている人がたくさんいらっしゃって、
伝統と気概は受け継がれているんだなと嬉しくなりました^^

コメントをありがとうございました。

こんにちは♪

何でもとことんこだわって自分でやってしまう。天才肌の芸術家はそんな人が多いですね。
家族は苦労だったと思います。この方は存命中に有名になられたのですか?でなければ苦労の連続ですよね。
作品はどれも繊細で優しいトーンですね。
蕗の葉の花瓶素敵ですね~♪

美風さん

こんばんは。
板谷波山は30代で数々の賞を取ったので、若いうちから注目された
陶芸家でした。
高値でも欲しがる人はたくさんいたと思いますが、なんせ完成作品が少ない。
成形したものに色絵付けをして焼くだけでも、思った通りにできない
場合があるのに、彫刻して、新しい釉薬を試したりすると、
傷やヒビも入りやすいと思います。
それらを全部壊していたら、作るための費用がかさむばかりです。
子どもも多かったですし、育ち盛りの子を食べさせないといけない
奥さんは本当に大変だったと思います。
奥さんにも賞をあげたいぐらいですよね(笑)
コメントをありがとうございました^^


おっしゃる通り、天才肌で
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Ms.れでぃ

Author:Ms.れでぃ
主に関西で開催されている展覧会を観に行っています。
ゆるゆる感想を書いていきたいと思います。
ローカルネタになりますが、訪問していただけるとうれしいです。

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