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大阪 国立国際美術館「久保田成子/鷹野隆大」展

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 行ったのはだいぶん前になりますが、どう感想を書けばいいか思いあぐねて放っておいた展覧会、いよいよ会期終了となりますので、行った記録として記しておくことにします。

 大阪国立国際美術館では2つの展覧会が開かれています。

 1つは「Viva Video!久保田成子」展'21.6.29~9.23まで。観覧料1200円)です。
 
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 こちらは新潟生まれでニューヨークを拠点に活躍したヴィデオ・アートのパイオニア久保田成子(1937-2015)さんの個展です。

 私はこの方のお名前も作品も今回初めて知りました。
 1960年代の前半、女性が海外で注目を集めるには、ここまでしなければならなかったのかと少々ショックを受けましたが、なにがなんでも注目を浴びなければという強い決意があったのだろうなということはわかりました。
 同じ女性として、そこまでしたことにある種の嫌悪感を持ちましたけどね。

 初めは写真を作品の媒体にしていましたが、そのうちビデオが安価になり、ビデオの映像と彫刻を組み合わせる「ヴィデオ彫刻」の制作がされます。
 その頃の作品になると、誰にでも受け入れやすくなり、普通に見てまわれました。
 
 映像も光を放ちますから、その移り行く映像の光を配置された水や鏡に反射させるといった作品が多かったように思います。
 写真OKの作品もあったのですが、撮った写真はほとんどブレブレ ^^;)
 まだマシなものを1枚だけ載せておきますね。

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 こちらは「スケート選手」という作品です。
 時間になると動くようですが、タイミングが合わず動いているところは見れませんでした。
 時間になると、この人形の胴体のところのビデオから映像が流れ、下のプリズムのような反射板に反射して、壁に映ったスペクトルの変化を楽しむのでしょうか?
 よくわかりませんが、動いてなくてもスペクトルはきれいでした。

 久保田さんの展覧会はこういった作品でした。

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 もう1つの展覧会は「鷹野隆大|毎日写真1999-2021」展'21.6.29~9.23まで。観覧料1200円)です。
 この展覧会も私は何も刺さらなかったですね。

 「毎日撮るから[毎日写真]。それ以外に特段のテーマはない。むしろテーマやコンセプトといったものから離れて、無目的に撮ってみたいと思っていた。(-以後、略-)」そうです。
 この行為によって、写真家本人は得たもの、わかったことが多かったようですが、ただ写されたものを見せられても、こちらとしてはなんの感想も湧いてこなかったですねぇ。

 写真を「撮る」ことって、自分が興味を持ったものに対して残しておきたいという欲求によるものだと思うのです。
 その興味を持つ動機というのは、愛情のような愛着であったり、面白いと思った好奇心であったり、不思議さへの探求心であったりするわけですが、写真を「見る」ことで起こる感情は、動物や植物のようにパッと見て「きれい」だとか、「かわいい」などのわかりやすいものの他には、自分の過去の記憶に起因してることが多いのではないかと思っています。
 動植物のきれいやカワイイでさえ、記憶と結びついている可能性があります。
 多くの人がカワイイと思うものでも、嫌な記憶と結びついている人にはカワイイと思えませんものね。
 
 写真を撮る人がどんなことに興味をもっているのかは人それぞれですが、その興味の対象が狭ければ狭いほど、細かければ細かいほど、見る方の記憶との一致点が少なくて、見る側としては感想を抱きにくい。
 (それでも興味がドンピシャの人は必ずいますので、そういった人はコアなファンになってくれるでしょうけどね)
 記憶だけが全てではなく、なんの記憶や予備知識がなくても、バーンと人に衝撃を与える写真もたまーにありますが、それはもう別格といえるでしょう。
 
 写真の被写体には、多少たりとも写真家のそういった「思い入れ」のようなのが写っていると思うのです。
 見る方はそれを受け止めて、感想が出てくると思うのですが、そういったものをできるだけ入れないよう意識された写真というのはどうなのでしょう?

 たくさんのいろんなものを写した写真なので、中には記憶と一致させている人もいるかもしれません。
 毎日写真の他に、木村伊兵衛写真賞を受賞した作品も展示されていたみたいですが、私はどれもあまり興味も感想もわきませんでした。

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 ただこの作品は面白いなと思いました。
 「2017.12.2.♯a14」です
 これ、私が上下ひっくり返したのではないですよ。
 この状態で展示されていたのです。
 人ではなく影が主人公ですね (^^)

 あまりたいした感想もないと言いながら、つらつらと長文を書いてしまいました。
 多分私は、納得がいかないと怒っているのでしょう(苦笑)
 私はもっと単純にきれいだと思える、素直な写真が好きだわと思った展覧会でした。
 (あ~、ほったらかしにしていた記事がやっと書けた~。ホッ)
 
国立国際美術館
 住所:大阪市北区中之島4-2-55 TEL:06-6447-4680
 開館時間:10時~17時(金・土は~20時まで。入館は閉館30分前まで)
 休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)、展示替え期間、年末年始
 
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Ms.れでぃ様

久保田成子/鷹野隆大さん 名前を聴いたことがありません。
写真や現代アートには全く疎いので、当たり前なのですが・・・


写真は報道写真と鉄道写真しか美術展に行ったことがありません。
京都岡崎にある「京都写真美術館 ギャラリー・ジャパネスク」に一度立ち寄ってみます。

No title

こんばんは^^

ヴィデオ彫刻ですか?初めて聞きました
スケート選手という作品は…シャボン玉のようで素敵です☆彡
↑変な感想ですみません💧

写真を撮影する意義のお話…興味深く読ませていただきました!
同じ風景や被写体でも撮影する人によって全く異なり…
見る側の感情移入も…人それぞれなのでしょうね

影が主人公の最後のお写真…本当にユニークです^^
芸術家って…発想が豊かですね!

捨楽斎人さま

こんばんは。
コメントをありがとうございます。

友の会に入っていて、無料で観れたのでこの展覧会に行っただけで、
私もお2人の名前も作品も今回初めて知りました。

「京都写真美術館 ギャラリー・ジャパネスク」という美術館名も
初めて聞きました。
でも写真の良さがわかるのは難しいと今回痛感しましたので、
写真の展覧会は更に縁遠くなりそうです ^^;)

Comodoさま

こんばんは。
コメントをありがとうございます。

ヴィデオ彫刻、私も今回初めて知りました。
立体物にモニターを埋め込み映像を流すという感じで、
作品自体はそんなに難しいものではないのですが、
当初はその発想自体が新しかったのでしょうね。

スケート選手という作品は、言われてみればシャボン玉のようにも
見えますね。
全然変な感想ではないですよ、拍手です。
写真を写した角度を変えれば、また違った見え方になりますし、
光を変化させると壁に映る光線も変わります。
こういった変化を作家さんが意図して作ったのかもしれませんね。

写真展の方は難しかったです。
目が泳いで終わりました(苦笑)
私は写真も絵画も、パッと見て美しいと思えるものが好きです(笑)
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Ms.れでぃ

Author:Ms.れでぃ
主に関西で開催されている展覧会を観に行っています。
ゆるゆる感想を書いていきたいと思います。
ローカルネタになりますが、訪問していただけるとうれしいです。

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