清水三年坂美術館 「明治の万国博覧会の再現美術展」('10.5.3 Mon)

京都の清水寺の近くの三年坂(産寧坂)にあるこちらの美術館は、幕末・明治の七宝、金工、蒔絵、京薩摩の工芸品を常設展示している美術館なのですが、本当にここの工芸品は名品が揃っていて、いつもいいものを見せてくれます



美術館に入ると、七宝などを売ってるミュージアムショップになり、美術館はその奥になります。
ポスターは、金工家 正阿弥勝義(しょうあみかつよし)の「柘榴に蝉蓋付飾器」です。
蝉がめちゃリアルですし、中から虫が出てきたりして凄いでしょ?


今回は企画展示で、「明治の万国博覧会の再現美術展」('10.2.26~5.23 日曜まで。入館料500円)をやっていました。
明治期、万博に出品する日本の展示品って、日本の文化は決して西洋文化に劣るものではないということを見せつける意図もあったので、かなり気合の入ったものを出品してたと聞いています。
それらの展示物は、海外で大絶賛され、多くの日本の工芸品が海外に輸出されました。
実際、海外で日本の工芸品をお城などでよく見かけるのですが、それらの元となった万博に出品された工芸品をぜひ観てみたかったので、この展覧会は大変楽しみにしていました。
観てみると、
凄い!!!
もうこの一言しか出ません。
超絶技巧のオンパレードで、どれももちろん美しさも兼ね備えているのですが、それよりも表現の精緻さ、技巧の巧みさが際立っており、これらは「素」の状態からどうやって作られたのだろう?と不思議に思うほどで、鳥肌ものの凄さでした。
これらを見た西洋の人々が驚嘆するのも無理はありませんし、今、私たちが見ても、現在このような作品を作れる人がいるのだろうかと思ってしまうほどです(私は工芸には疎いので、明治のスーパー職人を上回る作品を作ってられる職人さんがいらっしゃったら、すみません)。
金工は、冒頭のポスターの正阿弥勝義(しょうあみ・かつよし)や、海野勝珉(うんの・しょうみん)などが素晴らしかったです。
工芸品って、ちょっと自分でも欲しいなと思うことが多いのですが、これらの金工作品は飾ることすら恐れ多くて、箱の中に大事にしまってしまいそうです(笑)。
蒔絵は、承天閣美術館で観てきた柴田是真など渋い美しさでした。
七宝は、有線七宝の並河靖之や無線七宝の濤川惣助などが展示されてました。
並河靖之の七宝は、小さい器の中に美が凝縮されているという感じです。
並河の七宝なら、手元に置いていつも眺めていたいという気になります

そして、今回私がもっとも気に入ったのは、京薩摩の焼きものです。
ものすごく細かい模様でびっしりうまってるのですが、きれいな色使いで焼き上げられているのです。
上品で明るい器は、見る者を華やかな気持ちにさせてくれます

京薩摩も自分で持ってみたいなと思いますが、やっぱりこちらも観賞用ですね。
あまりの美しさに、もったいなくて使えません(笑)。
図録は2100円でした。
今回の展覧会は、美と技の競演という感じで大変良かったです。
この良さは実際に見ないとわからないものだと思います。
この展覧会を500円で観れるというのは、大変お値打ちで、うれしいかぎりです。
明治の名人芸術品を心ゆくまで堪能できる大変良い展覧会ですので、皆さんも実際に超絶技巧の数々を見てみてくださいね

清水三年坂美術館
住所:京都市東山区清水3-337-1 TEL:075-532-4270
開館時間:10時~17時(入館16時半まで) 休館日:月・火(祝日開館)、展示替期間(2010年2/22 月~25 木、5/24 月~27 木、8/23 月~26 木)、臨時休館あり
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