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奈良国立博物館 「第75回正倉院展」

 奈良国立博物館で開催されている「第74回正倉院展」('23.10.28~11.13まで。観覧料2000円)を観てきました。
 展覧会は今年も前売日時指定制です。
 毎年のことながら、今年もすごい人でした。

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 正倉院って、1棟が3戸1のような建物で、北倉(ほくそう)・中倉(ちゅうそう)・南倉(なんそう)と名付けられています。
 北倉には、光明皇后による東大寺への献納品(聖武天皇の愛用品など)
 中倉には、造東大寺司(東大寺の造営に携わった役所部門)関連品や文書など
 南倉には、仏具や東大寺の法要(大仏開眼会など)の関連品など

が収蔵されています。
 正倉院展では、元は尊勝院所蔵だったが、明治26年に皇室に献納され、正倉院が管理することになった、聖語蔵(しょうごぞう)の経巻も加え、約9000件の中から約60点が展示されます。
 
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 私が勝手に名付けた今年のテーマは「海と半貴石」
 会場では写真撮影不可なので、チラシに載っている宝物を中心にいくつか紹介します。

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 まず最初は、楓蘇芳染螺鈿槽琵琶(かえですおうぞめらでんのそうのびわ)です。
 日本で採れない紫檀の木に似せるため、楓の木を蘇芳で染めて作った琵琶で、日本製のようです。
 この琵琶の真ん中に中国風の絵が描かれています。

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 こちらが絵のアップ
 琵琶の中の絵なので実際は小さく見えにくいので、拡大写真がパネル展示されていました。
 チラシに載っているのも、その写真だと思います。

 図案は、山中で白象の上に乗った4人の人物が遊んでいます。
 今年は時間がなくて図録を買いそびれたので、絵の意味はわかりませんが、白象は神聖な動物で、その上で踊っているので、もしかすると花祭りなどのお祭りに関係しているのかもしれません。
 白象は「背の上で踊るな」と言いたそうですけどね(笑)
 山の上の方には、小さな鳥が群れで飛んでいるところが描かれています。
 小さな場面なのに、細かく描かれていてすごいなと思いました。

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 琵琶の裏面がこちら。
 ヤコウ貝やアワビなどで作られた螺鈿細工で装飾され豪華。
 貝の部分には線刻もされています。
 琵琶の縁など細い部分にも螺鈿飾りが施され、凝ったつくりになっていました。
 南倉に収蔵されているので、東大寺の法要関係の品みたいですね。
 会場ではこの琵琶の音が流れていましたが、宝物を弾くからか、ちょっと遠慮がちに聞こえました。

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 次は、同じく南倉収蔵の平螺鈿背円鏡(へいらでんはいのえんきょう)です。
 大ぶりの鏡の背面に、螺鈿などの装飾がびっしり施され、花の文様になっています。
 赤い部分は琥珀で、この文様の隙間には、青や白のトルコ石の小さな細片で埋めつくされています。
 あまりに細かすぎて、トルコ石の効果はわかりませんでしたが、もしかすると光を当てると輝き方が違って見えるのかもしれません。
 こちらも上記の琵琶と同じように貝の部分は線刻がされ、より植物らしく見せています。

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 ちょっと変わっていたのは、こちらの青斑石鼈合子(せいはんせきのべつごうす)です。
 手のひらサイズのスッポンをかたどった入れ物です。
 目の部分には、小さな琥珀が埋め込まれていました。
 中倉収蔵なので、東大寺の役所関係で使われていたということでしょう。

 写真はありませんが、私が気に入ったのは、斑犀如意(はんさいのにょい)です。
 如意とは僧侶が説法の時などに持つ道具で、孫の手みたいな形をしていました。
 正倉院宝物の如意は、上部に大きなラピスラズリをつけ、本体はサイの角でできています。
 そこに半貴石が4弁の小さな花びら模様に嵌め込まれ、規則正しく配置させていて、豪華なのに愛らしい印象を持ちました。

 あとは気に入ったのではありませんが、布作面(ふさくめん)という布で作った簡単な仮面の展示があり、白川紺子さんの「後宮の烏」というラノベ小説の一部を思い出しました。
 笛を吹くために口の近くに切れ込みが入っており、小説の中に出てくる布作面はこういう面のことかと思いました。
 ちょっとコワくて顔につける気がしませんけどね^^;

 今回の北倉の展示品のメインは、聖武天皇が身に着けたかもしれないといわれる九条刺納樹皮色袈裟(くじょうしのうじゅひしょくのけさ)です。
 わざとあまりきれいに見えない袈裟にしていますが、実は手が込んでいるという品です。
 聖武天皇愛用品リストである「国家珍宝帳」の最初に記されている品で、絹織物を不定形に裁ったものを、ツギハギしているのですが、単眼鏡で見てもその縫い目がきれいで1枚物の布のようでした。

 犀角杯(さいかくのつき)という品は、北倉に収蔵されていますが、聖武天皇の遺愛品の犀角杯は売られたという記述がある文書があるそうで、今回展示の杯は天皇のゆかりの品ではない可能性が大だそうです。
 私はこれが天皇ゆかりの品かどうかより、正倉院の宝物が売却されることがあるということに驚きました。

 そういえば、展示されていた中倉の文書の中に、石山寺の造営に関する文書があり、そこには物資も食料も不足しているので、どうにかしてもらわないと職人が逃げてしまうと書かれていたり、実際に逃亡してしまった人について書かれていたものがありました。
 こうした窮状の折、正倉院の宝物がもしかすると売られることがあったのかもしれませんね。

 今年は、南倉に収蔵された、大ぶりの螺鈿細工や細かく半貴石が嵌め込まれた宝物が目を惹き、東大寺の法要が華やかだったことがうかがえる展覧会でした。

 奈良国立博物館
 住所:奈良市登大路町50番地 TEL:050-5542-8600(ハローダイヤル)
 開館時間:8時~18時(金・土・日、祝日は20時まで。入館は各閉館の30分前まで) 休館日:会期中は無休

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