奈良県立美術館「絵画のたのしみ」展
前回のブログ更新からずいぶん日が経ってしまいました。
12月は公私ともに忙しくて。
と言いながら、合間を縫って遊びには行っているのですけどね^^

先日、奈良県立美術館で開催されている「絵画のたのしみ」展('22.11.26~12.25まで。観覧料400円)を観に行ってきました。
この展覧会は、大橋化学工業という会社の創業者である大橋嘉一さんの集めた作品「大橋コレクション」を奈良県立美術館が寄贈を受け、そのコレクションを中心に1950年から1970年代の前衛芸術を紹介する内容でした。
大橋化学工業は塗料の会社であり、コレクターの大橋さんも化学者だったそうです。
展示会場は5室に分かれていて、各部屋でテーマが異なるのですが、第1室の白髪一雄の作品だけは写真撮影可だったので、白髪の作品を中心に記事にします。

まず最初の1枚はこちら。
1961年制作「作品」です。
絵具モリモリです。
白髪一雄(しらがかずお 1924-2008)は、兵庫県尼崎市出身の抽象画家で、アクションペインティング、この画家の場合は、ロープにぶらさがって足で描くフットペインティングが有名です。
「人の真似をするな。今までにないものをつくれ」という吉原治良のスローガンのもと結成された具体美術協会のメンバーでもあります。
この絵からも勢いが感じられました。

絵具隆々の激しい絵ばかりかと思えば、薄描きで色鮮やかなものも。
色彩感覚がヴラマンクにちょっと似ているかも。

こちらの作品は明るくシンプルでデザイン的です。

白髪は1971年に比叡山で得度を受けたそうで、これらの作品には宗教的なタイトル名がついてましたが、絵が抽象的すぎてタイトルと結びつきませんでした^^;

塗料関係の化学者の好みだけあり、こんなメタリックな作品もありましたよ。
第2室は、1950年~60年代の前衛芸術の紹介ということで、国内外の前衛画家の作品が並んでましたが、この中でダントツに良かったのが須田剋太(すだこくた 1906-1990)です。
ホワイト系のベージュの地の色や、黒っぽい作品が多いので暑苦しくなく見やすい。
モコモコとした感じの作品もあり良いなと思いました。
第3室は彫刻家が「描く」作品ということで、三重県立美術館に記念室がある柳原義達(やなぎはらよしたつ 1910-2004)のドローイング(素描)が展示されていました。
この人の彫刻は、鳩や鳥の作品をよく見るのですが、対象そのもののシャープな形ではなく、更に何かを表現するようなもやもやとしたものが彫られているのですが、ドローイングでももやもや感がより濃くでていました。
なんか良い感じでしたよ。
第4室は男性画家が多い中、女性の前衛画家も奮闘されたということで、女性画家の展示でした。
同じ女性として応援したいところではあるのですが、ちょっと好みが合いませんでした。
第5室は革新的な日本画家の作品を紹介。
こちらも私としては旧来の上品で優美な日本画の方が好みです。
よく見る前衛芸術は大きい作品が多く、画面から暑苦しいほどのパッションや激しさを感じて、あまり好きではないのですが、今回の展覧会はプライベートコレクションということもあり、壁に飾って楽しめるぐらいの大きさなので、ゆっくりじっくり落ち着いて楽しめました。
会場に章立ての解説はどこの美術館、博物館にもあるのですが、今回の展覧会では作品リストや会場案内図に作家紹介や各部屋の解説が書いてあり、とてもわかりやすかったです。
パッと読んだだけではすぐ忘れてしまいますが、リストになどに書いてあれば、必要時すぐに手元で読むことができますもんね^^
ありがたいサービスでした。
今回いろんな前衛画家の作品を観ることができましたが、色の配色に天賦の才が出るなと思いました。
様々な色が重なって何を描いているかわからない抽象画であっても、白髪一雄の作品には透明度があります。
須田剋太の渋さも目を惹きました。
なんか秩序ある混沌、化学反応の中で発するきらめきみたいなものが感じられて、良い意味で化学者の好みらしいなと思える展覧会でした。
楽しかったです^^
奈良県立美術館
住所:奈良市登大路町10-6 TEL:0742-23-3968
開館時間:9時~17時(入館は閉館の30分前まで)
休館日:月曜(祝日の場合は開館し、その翌平日休館)、年末年始(12/28~1/4)、展示替え期間
ポチポチっと押してもらえると励みになります。

にほんブログ村
↑
ありがとうございます。
↓
12月は公私ともに忙しくて。
と言いながら、合間を縫って遊びには行っているのですけどね^^

先日、奈良県立美術館で開催されている「絵画のたのしみ」展('22.11.26~12.25まで。観覧料400円)を観に行ってきました。
この展覧会は、大橋化学工業という会社の創業者である大橋嘉一さんの集めた作品「大橋コレクション」を奈良県立美術館が寄贈を受け、そのコレクションを中心に1950年から1970年代の前衛芸術を紹介する内容でした。
大橋化学工業は塗料の会社であり、コレクターの大橋さんも化学者だったそうです。
展示会場は5室に分かれていて、各部屋でテーマが異なるのですが、第1室の白髪一雄の作品だけは写真撮影可だったので、白髪の作品を中心に記事にします。

まず最初の1枚はこちら。
1961年制作「作品」です。
絵具モリモリです。
白髪一雄(しらがかずお 1924-2008)は、兵庫県尼崎市出身の抽象画家で、アクションペインティング、この画家の場合は、ロープにぶらさがって足で描くフットペインティングが有名です。
「人の真似をするな。今までにないものをつくれ」という吉原治良のスローガンのもと結成された具体美術協会のメンバーでもあります。
この絵からも勢いが感じられました。

絵具隆々の激しい絵ばかりかと思えば、薄描きで色鮮やかなものも。
色彩感覚がヴラマンクにちょっと似ているかも。

こちらの作品は明るくシンプルでデザイン的です。

白髪は1971年に比叡山で得度を受けたそうで、これらの作品には宗教的なタイトル名がついてましたが、絵が抽象的すぎてタイトルと結びつきませんでした^^;

塗料関係の化学者の好みだけあり、こんなメタリックな作品もありましたよ。
第2室は、1950年~60年代の前衛芸術の紹介ということで、国内外の前衛画家の作品が並んでましたが、この中でダントツに良かったのが須田剋太(すだこくた 1906-1990)です。
ホワイト系のベージュの地の色や、黒っぽい作品が多いので暑苦しくなく見やすい。
モコモコとした感じの作品もあり良いなと思いました。
第3室は彫刻家が「描く」作品ということで、三重県立美術館に記念室がある柳原義達(やなぎはらよしたつ 1910-2004)のドローイング(素描)が展示されていました。
この人の彫刻は、鳩や鳥の作品をよく見るのですが、対象そのもののシャープな形ではなく、更に何かを表現するようなもやもやとしたものが彫られているのですが、ドローイングでももやもや感がより濃くでていました。
なんか良い感じでしたよ。
第4室は男性画家が多い中、女性の前衛画家も奮闘されたということで、女性画家の展示でした。
同じ女性として応援したいところではあるのですが、ちょっと好みが合いませんでした。
第5室は革新的な日本画家の作品を紹介。
こちらも私としては旧来の上品で優美な日本画の方が好みです。
よく見る前衛芸術は大きい作品が多く、画面から暑苦しいほどのパッションや激しさを感じて、あまり好きではないのですが、今回の展覧会はプライベートコレクションということもあり、壁に飾って楽しめるぐらいの大きさなので、ゆっくりじっくり落ち着いて楽しめました。
会場に章立ての解説はどこの美術館、博物館にもあるのですが、今回の展覧会では作品リストや会場案内図に作家紹介や各部屋の解説が書いてあり、とてもわかりやすかったです。
パッと読んだだけではすぐ忘れてしまいますが、リストになどに書いてあれば、必要時すぐに手元で読むことができますもんね^^
ありがたいサービスでした。
今回いろんな前衛画家の作品を観ることができましたが、色の配色に天賦の才が出るなと思いました。
様々な色が重なって何を描いているかわからない抽象画であっても、白髪一雄の作品には透明度があります。
須田剋太の渋さも目を惹きました。
なんか秩序ある混沌、化学反応の中で発するきらめきみたいなものが感じられて、良い意味で化学者の好みらしいなと思える展覧会でした。
楽しかったです^^
奈良県立美術館
住所:奈良市登大路町10-6 TEL:0742-23-3968
開館時間:9時~17時(入館は閉館の30分前まで)
休館日:月曜(祝日の場合は開館し、その翌平日休館)、年末年始(12/28~1/4)、展示替え期間
ポチポチっと押してもらえると励みになります。

にほんブログ村
↑
ありがとうございます。
↓
スポンサーサイト