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奈良県立美術館 「野田弘志」展

 最近、遊びも含めて忙しくてブログ更新をサボってしまいました。
 まだしばらくはこの忙しさが続きそうで、ブログも滞りがちになるかもしれませんが、見捨てずにいただければ有難いです。

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 今回は奈良県立美術館で開催されている「野田弘志―真理のリアリズム」展('22.9.17~11.6まで。観覧料1200円)の感想です。

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 奈良県立美術館は外装工事をしていました。
 中は改装済なので問題ありません。
 実はこの展覧会、今日(11/6)までなのです。
 つい先日行ったばかりなので、記事が間に合わなくてスミマセン。

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 さて、野田弘志さん(1936ー)は日本の写実画家です。
 若い頃は雑誌の表紙や挿絵などのイラストレーターとして活躍し、その後、リアリズムの画家として自身の画風を確立されていきます。
 展覧会では、初期の仕事内容に関する作品から現在の作品まで、野田弘志さんの画業を網羅する内容になっていました。
 若い頃の作品を見ていると、アールヌーヴォーや分離派の作品に興味があることが見て取れました。

 画業に専念してからは「(物事の)事実ではなく真理を見つめるために絵を描いている。真理を描き切りたい」という想いで制作をされているそうです。
 
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 写実絵画って、画家本人の死生観や意識が投影されやすいように思います。
 物の本質って、究極的には有る・無し、生きる・死ぬにつながるように思います。
 そうすると、物事の真理を描こうとすると、その画家の根本的な意識が表出してしまうというか、そんな感じがしました。

 今まで現代の写実の日本人画家の個展を観たのは、今回を含めて4人だけなのですが、磯江毅は死の深淵を覗いているような冷たい感じ、吉村芳生は時間を凝縮させたような濃密な感じ、犬塚勉は自然の一端を描いているのにもかかわらず無限の広がりを感じるような作品でした。
 そして今回の野田弘志さんは、からっと乾燥している感じです。
 「死」とは風化していくだけというような印象を持ちます。

 「生」に関しては、体を縮こませているポーズの女性のヌードの作品から、無防備な状態であっても身を守る生物の本能のようなものに目を向けているように思いました。

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 こちらはチラシからの抜粋の「聖なるもの THE-Ⅳ」ですが、この作品も孵化する前の卵を守り抜こうとする巣に生を感じます。
 
 また、白い背景にロープだけが描かれている作品があったのですが、それを見て私は束縛と自由を連想したのですが、それはちょっと考えすぎ?(笑)

 この他にも肖像画の作品などがありました。
 詩人の谷川俊太郎さんの等身大クラスの肖像画もありましたが、そっくりでしたよ。
 
 加賀乙彦新聞小説「湿原」の挿絵を描かれていて、その原画約150点の展示は圧巻。
 原画のサイズも小さいのにものすごく細かい。
 男性の手の指に生えている毛まで描いているのですよ。
 はじめは毎日描くのは大変なのでと断ったようなのですが、だんだんと慣れて描くのが面白くなっていったのではないかと作品を見ていて思いました。

 大きい作品から小さな作品まで、どれもすごく細かいところまで描かれています。
 近づいて細部までじっくり観て、少し距離をとって全体を見るとまた違った印象を受けます。
 いろいろな見方ができる展覧会でした。

奈良県立美術館
 住所:奈良市登大路町10-6 TEL:0742-23-3968 
 開館時間:9時~17時(入館は閉館の30分前まで)
 休館日:月曜(祝日の場合は開館し、その翌平日休館)、年末年始(12/28~1/4)、展示替え期間

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