奈良国立博物館① 「聖林寺十一面観音」展

奈良国立博物館では「聖林寺十一面観音」展と「お水取り」展が開催されています。
昨日(3/26)、お水取り展の現地解説会に当たったので、両方の展覧会を観てきました。
会期がどちらも今日までなので、昨日のうちに記事にできれば良かったのですが、朝から晩まで見学したので昨日は力尽きてダウン。
今朝も寝坊してなんやかやしていたら、あっという間に1日も終わりかけ。
ということで、間に合いませんでした-_-;
でも、せっかく観てきましたし、興味深かったので、2回に分けて記事します。

お水取り展は毎年開催されるので、先に「国宝 聖林寺(しょうりんじ)十一面観音 三輪山信仰のみほとけ」展('22.2.5~3.27まで。観覧料1400円)から紹介しますね。
奈良時代以降、有力な神社は仏教寺院を付随させており、そういった寺院を神宮寺(別当寺など他の呼称もあり)と呼そうです。
ちなみにお寺に付随する神社は鎮守社です。
奈良の大神(おおみわ)神社も大御輪寺という神宮寺をもち、そこでは多くの仏像がまつられていたのですが、明治新政府の神仏分離令から仏像を守ろうとして、大御輪寺の仏像を他の寺院に預けたそうです。
預け先は、十一面観音立像は聖林寺、地蔵菩薩立像は法隆寺、日光・月光菩薩立像は正暦寺でしたが、大御輪寺は廃寺となってしまい、仏さまたちは預け先がそのまま永住の地となってしまいました。
今回の展覧会では、その仏さまたちが150年ぶりに再会する展覧会です。

左が聖林寺の国宝十一面観音立像です。
お堂では高い台座の上に立ってられるので、十一面の上の方の仏さまのお顔はよく見えなかったのですが、少し私たちのところまで下りてきていただき、後ろ姿も見せて下さったので、じっくりと拝ませていただくことができました。
見る角度によっては、微笑んでくださったり、話しかけて下さっているようにも見え、嬉しい気分になりました。
前から見るお姿と後ろから見るお姿では、全く印象が違います。
プロポーションはどこから見ても良いのですが、前から見ると安定感があります。
でも後ろ姿は、ウエストがくびれて、ヒップはハリがあり、めちゃスタイルが良かったです。
そして指がきれいなんですよね。
指には鉄芯が入っているため、優美な形が可能なんですって。
正暦寺の日光・月光菩薩立像もスタイル良かったですよ。
こちらも後ろ姿が特に美しかったです。
仏さまには申し訳ないのですが、後ろ姿まで見せていただけるというのは展覧会ならではですよね。

法隆寺の国宝・地蔵菩薩立像は、ふくよかで安定感があります。

ぐるりとまわってみていたら、左側にはほくろのようなものがありましたし、左目にはまるで涙のあとのような。
チラシの写真では、微笑んでらっしゃるように見えるので、再会のうれし涙だったら良いですね^^
以前、聖林寺に行った時、十一面観音様のいらっしゃる観音堂が本堂から離れているし、十一面観音さまが御本尊じゃないのだなと思ったのですが、明治以降に来られたからだったのですね。
明治の廃仏毀釈政策で翻弄されたお寺や神社は大変だったと思います。
文書も含め、一度失くしてしまった文化財や文化は取り戻すことが難しいのですから、理由の如何によらず簡単に排除してはいけないと強く思った展覧会でした。
そうそう、「新たに修理された文化財」の特集展示もされていましたが、修復には何年もの年月とスポンサーがつかないと修理ができないほどの費用がかかっていることがわかりました。
奈良国立博物館
住所:奈良市登大路町50番地 TEL:050-5542-8600(ハローダイヤル)
開館時間:9時半~17時(土曜は19時まで。入館は各閉館の30分前まで)
休館日:月曜(月曜祝日の場合は開館し、翌日休館)
ポチポチっと押して励ましたいただけるとうれしいです。

にほんブログ村
↑
ありがとうございます!
↓
スポンサーサイト