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奈良県立美術館 「森川杜園」展

 正倉院展を観た後に行った展覧会ですが、会期の関係上、先に紹介しますね。

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 奈良県立美術館では「生誕200周年記念 森川杜園展」('21.9.23~11.14まで。観覧料800円)が開催されています。
 この展覧会、めちゃ良かったです。

 森川杜園(もりかわとえん)って、名前だけは知っていたのですが、内容はほとんど知りませんでした。
 ですが、今回200点以上の作品を一挙に見て、森川杜園のすごさに圧倒されました。

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 森川杜園は、幕末から明治にかけて奈良人形(一刀彫)を軸に活躍した奈良県出身の彫刻家です。
 この人は本当に多彩で、奈良人形師であり、絵師でもあり、そして狂言師でもあったようです。
 とくに狂言は好きだったようで、体調が悪く医師に止められたのに招かれて狂言を演じ、それが元で亡くなったとか。

 奈良人形は奈良の伝統工芸で、簡素な造形に彩色が施された木彫りの人形だそうです。

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 これはチラシに載っていた「立鹿」という作品ですが、力強くシンプルですがすごく生気が感じられる作品でした。
 春日大社の摂社の春日若宮の祭礼で奈良人形はよく用いられていたせいか、鹿の奈良人形が多数展示されていました。
 どれも目が大きく、かわいかったですよ。

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 杜園は狂言師でもあったせいか、能や狂言の人形の衣装の彩色が細かくて美しい!
 粗い彫りの顔に繊細な色の衣、このギャップがすごく魅力的でした。

 ちっちゃい根付などもたくさん作っていて、器用な人だったんだろうなと思います。

 明治維新の後、廃仏毀釈が起こったことでお寺が衰退し、寺の仏像や宝物などの文化財がが破壊されたり海外に流出することが増え、明治政府がそれを危惧し、全国の府県に対し管内の社寺などから宝物の目録を作成するように通達が出されました。
 これを壬申検査(明治5年)といいますが、この時、正倉院も開封され詳しい調査がされました。
 こういった調査を機に、関西の寺社の宝物を展示する奈良博覧会を開催する動きが起こり、明治8年に開催されます。
 正倉院の宝物も公開され、現在の正倉院展のはしりは奈良博覧会だったのですね。

 壬申検査のような文化財の調査で、半官半民による文化財の模写・模造事業が始まります。
 森川杜園はそういった模写・模造作成にも携わったようで、正倉院の宝物の模写や模造も行っています。
 正倉院展で展示されていた宝物の模写なども展示されていて、正倉院展を観た後だったので面白く見れました。

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 こちらは東京国立博物館所蔵なのですが、杜園が作った九面観音立像の模造です。
 この作品だけが写真撮影OKだったのですが、ガラスケースが反射して正面ではボケボケでしたので、やむなく斜めからの写真になってしまいました ^^;)
 本物を見ていませんが、優しそうな観音さまで、御前立として十分通用しそうな出来栄えでした。

 それほどメジャーな人ではないかもしれませんが、絵も上手、彫刻も上手、字も達筆な明治のマルチアーティストの力量を見せつけられたような展覧会でした。
 良かったです。
 正倉院展と一緒に観ると更に面白いと思いますので、正倉院展の帰りに寄られることをオススメします ^^) 

奈良県立美術館
 住所:奈良市登大路町10-6 TEL:0742-23-3968 
 開館時間:9時~17時(入館は閉館の30分前まで)
 休館日:月曜(祝日の場合は開館し、その翌平日休館)、年末年始(12/28~1/4)、展示替え期間

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