京都 嵐山「京のファンタジスタ」展③ 若冲編
今日は台風が温帯低気圧に変わったのですが、大阪ではすごい風でした。
皆さまのところは大丈夫でしたか?
まだ荒天の可能性があるとのことですので、お互い気をつけましょうね。
今回は「京のファンタジスタ」展の番外編です。
ちょっと文章多めですが、ご勘弁を。
今年(2021年)のお正月にNHKで「ライジング若冲」というドラマが放送されたことは、相国寺の承天閣美術館の記事でも書きましたが(その時の記事はこちら)、そのドラマは福田美術館も協力していたみたいで、福田美術館所蔵の作品が登場していました。

その作品がこちらの「蕪に双鶏図」です。
この作品は、若冲が30代初めに描いたのではないかと推測されている絵で、今回の展覧会の看板にも使われている作品です。
若冲は、40歳の時に家督を弟に譲って隠居し、絵師として自立していきますが、これだけの絵が描ければ家族も反対はできませんよね。
その若冲を支援したのが、相国寺の大典禅師(梅荘顕常)です。
この人は書や漢詩がかなり好きだったようで、病気を理由に僧としての仕事をおやすみして、そちらの道に邁進したようです。
それでも、僧として復帰後は相国寺の住持に推され、第113世になるのですから、すごく優秀な人だったのでしょうね。
承天閣美術館でも展示されていたように、詩文集なども書いており、筆まめだったと思われます。
大典禅師は若冲をはじめ、池大雅や円山応挙、売茶翁などの文化人と交流をもっていたことは、ライジング若冲の中でもありました。

こちらは若冲の「竹図」です。
賛を書いたのは大典禅師です。
写真ではわかりにくいですが、結構、細い字です。
他の大典禅師の賛を見ても、あまり目立つ字ではなく、もしかすると字そのものより、文章がすごいのかもしれないと思うのですが、漢詩が読めないのでわかりません T_T
ドラマの中でもう1人、若冲に影響を与えた人物が、売茶翁(ばいさおう)こと高遊外(こうゆうがい)です。
この人もかなり面白い経歴の人だったみたいで、11歳で出家し禅宗の僧として学んでいたのですが、57歳の時突然京都に上洛し、61歳で東山に茶亭を開いたり、茶道具を持って京の大通りに簡単な席を作っては煎茶を出して客と話をすることを好んでいたようです。
簡素な生活を続けて、段々汚れていくのも行だと考えていたところ、大典禅師にその内容を書き留めるように助言され、本人も始めてみたのですが、結局、売茶翁の代わりに大典禅師が書き残したそうです。
大典禅師、良い人~(笑)
70歳で還俗した後も、喫茶する為の煎茶を売り続けていましたが、81歳で売茶をやめ、揮毫で生計を立てたようです。

こちらは売茶翁の書簡です。
賛の依頼をされたのですが、断りの旨が書かれているとのことです。
年代がわからないのですが、老いていることや字があまりうまくないからと書いてあるそうなので、もしかすると晩年に近い手紙なのかもしれませんね。
ちなみに承天閣美術館の展覧会に、若冲の描いた売茶翁の肖像画が展示されていました。
賛はもちろん大典禅師です。
ドラマの売茶翁は、絵の雰囲気とそっくりでした。

宝蔵寺所蔵の若冲の「髑髏図」(嵯峨嵐山文華館で、この絵の展示は8/30まで)です。
この絵の賛は売茶翁です。
「一霊皮袋 皮袋一霊 古人之語 八十六翁 高遊外」と書いてあると宝蔵寺のHPに載っていました。
きれいな字です。
売茶翁は87歳で亡くなったそうなので、本当に晩年の作ですが、若冲の作品には年がいってても賛を書いたのですね。

こちらは嵯峨嵐山文華館で展示されている「群鶏図押絵貼屏風」です。
若冲は群鶏図をたくさん描いていますが、雄鶏の単独か、つがいの絵が多いです。

福田美術館の「群鶏図押絵貼屏風」(六曲一双のうちの一隻)は、ヒヨコも描いた鶏さん一家の屏風でした。

「どうだい、父さんはこんなところでも1本足で立てるんだよ」

「お父さん、すごーい」

「アナタ、またほうきの上なんかに乗って。子どもたちがマネするでしょ!」
という会話があったかどうか(笑)
このヒヨコがいる「群鶏図押絵貼屏風」は8/30までの前期展示ですのでご注意を。
これで「京のファンタジスタ」シリーズはおしまいです。
福田美術館と嵯峨嵐山文華館は共同開催ですが、若冲を知るには承天閣美術館も一緒に観ることをお勧めします。
承天閣美術館だけ離れていますが、バスを乗り換えて1時間ぐらいで行けます。
私は3館を同じ日に行きました。
新型コロナ感染予防のためにもまとめて行って、できるだけ外出日を減らさないとね。
あっ、これらの展覧会は緊急事態宣言が出る前に行ってます。
8月に入ってから遊びのおでかけはしてませんが、どんどん感染者数が増えています。
緊急事態宣言の期限は8月末までですが、8月中に収まるでしょうか?
収まって欲しいなぁ。
お付き合い、ありがとうございました。
福田美術館
住所:京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町3-16 TEL:075-863-0606
開館時間:10時~17時(入館は閉館30分前まで)休館日:火曜日(祝日の場合は翌日)、展示替え期間、年末年始(12/29~1/1)
嵯峨嵐山文華館
住所:京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町11 TEL:075-882-1111
開館時間:10時~17時(入館は16時30分まで) 休館日:火曜(祝日の場合は翌日)、年末年始(12/29~1/1)、展示替期間
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まだ荒天の可能性があるとのことですので、お互い気をつけましょうね。
今回は「京のファンタジスタ」展の番外編です。
ちょっと文章多めですが、ご勘弁を。
今年(2021年)のお正月にNHKで「ライジング若冲」というドラマが放送されたことは、相国寺の承天閣美術館の記事でも書きましたが(その時の記事はこちら)、そのドラマは福田美術館も協力していたみたいで、福田美術館所蔵の作品が登場していました。

その作品がこちらの「蕪に双鶏図」です。
この作品は、若冲が30代初めに描いたのではないかと推測されている絵で、今回の展覧会の看板にも使われている作品です。
若冲は、40歳の時に家督を弟に譲って隠居し、絵師として自立していきますが、これだけの絵が描ければ家族も反対はできませんよね。
その若冲を支援したのが、相国寺の大典禅師(梅荘顕常)です。
この人は書や漢詩がかなり好きだったようで、病気を理由に僧としての仕事をおやすみして、そちらの道に邁進したようです。
それでも、僧として復帰後は相国寺の住持に推され、第113世になるのですから、すごく優秀な人だったのでしょうね。
承天閣美術館でも展示されていたように、詩文集なども書いており、筆まめだったと思われます。
大典禅師は若冲をはじめ、池大雅や円山応挙、売茶翁などの文化人と交流をもっていたことは、ライジング若冲の中でもありました。


こちらは若冲の「竹図」です。
賛を書いたのは大典禅師です。
写真ではわかりにくいですが、結構、細い字です。
他の大典禅師の賛を見ても、あまり目立つ字ではなく、もしかすると字そのものより、文章がすごいのかもしれないと思うのですが、漢詩が読めないのでわかりません T_T
ドラマの中でもう1人、若冲に影響を与えた人物が、売茶翁(ばいさおう)こと高遊外(こうゆうがい)です。
この人もかなり面白い経歴の人だったみたいで、11歳で出家し禅宗の僧として学んでいたのですが、57歳の時突然京都に上洛し、61歳で東山に茶亭を開いたり、茶道具を持って京の大通りに簡単な席を作っては煎茶を出して客と話をすることを好んでいたようです。
簡素な生活を続けて、段々汚れていくのも行だと考えていたところ、大典禅師にその内容を書き留めるように助言され、本人も始めてみたのですが、結局、売茶翁の代わりに大典禅師が書き残したそうです。
大典禅師、良い人~(笑)
70歳で還俗した後も、喫茶する為の煎茶を売り続けていましたが、81歳で売茶をやめ、揮毫で生計を立てたようです。

こちらは売茶翁の書簡です。
賛の依頼をされたのですが、断りの旨が書かれているとのことです。
年代がわからないのですが、老いていることや字があまりうまくないからと書いてあるそうなので、もしかすると晩年に近い手紙なのかもしれませんね。
ちなみに承天閣美術館の展覧会に、若冲の描いた売茶翁の肖像画が展示されていました。
賛はもちろん大典禅師です。
ドラマの売茶翁は、絵の雰囲気とそっくりでした。

宝蔵寺所蔵の若冲の「髑髏図」(嵯峨嵐山文華館で、この絵の展示は8/30まで)です。
この絵の賛は売茶翁です。
「一霊皮袋 皮袋一霊 古人之語 八十六翁 高遊外」と書いてあると宝蔵寺のHPに載っていました。
きれいな字です。
売茶翁は87歳で亡くなったそうなので、本当に晩年の作ですが、若冲の作品には年がいってても賛を書いたのですね。

こちらは嵯峨嵐山文華館で展示されている「群鶏図押絵貼屏風」です。
若冲は群鶏図をたくさん描いていますが、雄鶏の単独か、つがいの絵が多いです。

福田美術館の「群鶏図押絵貼屏風」(六曲一双のうちの一隻)は、ヒヨコも描いた鶏さん一家の屏風でした。

「どうだい、父さんはこんなところでも1本足で立てるんだよ」

「お父さん、すごーい」

「アナタ、またほうきの上なんかに乗って。子どもたちがマネするでしょ!」
という会話があったかどうか(笑)
このヒヨコがいる「群鶏図押絵貼屏風」は8/30までの前期展示ですのでご注意を。
これで「京のファンタジスタ」シリーズはおしまいです。
福田美術館と嵯峨嵐山文華館は共同開催ですが、若冲を知るには承天閣美術館も一緒に観ることをお勧めします。
承天閣美術館だけ離れていますが、バスを乗り換えて1時間ぐらいで行けます。
私は3館を同じ日に行きました。
新型コロナ感染予防のためにもまとめて行って、できるだけ外出日を減らさないとね。
あっ、これらの展覧会は緊急事態宣言が出る前に行ってます。
8月に入ってから遊びのおでかけはしてませんが、どんどん感染者数が増えています。
緊急事態宣言の期限は8月末までですが、8月中に収まるでしょうか?
収まって欲しいなぁ。
お付き合い、ありがとうございました。
福田美術館
住所:京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町3-16 TEL:075-863-0606
開館時間:10時~17時(入館は閉館30分前まで)休館日:火曜日(祝日の場合は翌日)、展示替え期間、年末年始(12/29~1/1)
嵯峨嵐山文華館
住所:京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町11 TEL:075-882-1111
開館時間:10時~17時(入館は16時30分まで) 休館日:火曜(祝日の場合は翌日)、年末年始(12/29~1/1)、展示替期間
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