岡山 笠岡市立竹喬美術館 「葉 祥明」展

3月の下旬に笠岡に行ってきました。
行った時は大阪の緊急事態宣言が解除されてまもなくだったので、本来なら泊りで行くところを今回は青春18きっぷを使って日帰り旅行です。
乗車時間片道約5時間。
予想していたとはいえハードでした(苦笑)。
JR笠岡駅からは、レンタサイクルを借りての移動です。

今回の日帰り旅行の目的の1つが笠岡市立竹喬美術館です。
こちらでは「絵本作家 葉祥明-風景に託すはるかな想い-」展('21.3.20~5.9まで。入館料800円)が開催されています。
私が葉 祥明(よう しょうめい)さんのことを知ったのは、小学生頃だったと思います。
きれいな青紫の平地と水色の青空の地平線上に小さな家が1軒描かれたレターセットを自分で買ったか、親に買ってもらったかしたのですが、その便せんの絵が葉祥明さんのだったのです。
私はその絵が大好きで、大事に大事に使っていたのを覚えています。
今回は、たまたま竹喬美術館で開催される葉祥明展のチラシを見つけ、絶対に行こうと決めていたのです。

この展覧会、良かった~!
葉祥明さんの作品をまとめて観たのは初めてだったのですが、色彩がすごくきれいです。

景色の中にある家や人物などの対象物が小さいので、見ている自分が美しい景色の一部に入り込み、遠くの家や人に向かっているような気持ちになり、爽快な開放感が味わえます。
葉祥明さんは絵本でデビューした後、絵画作品をやなせたかし責任編集の月刊誌「詩とメルヘン」に掲載され、メルヘン作家として広く知られるようになったそうです。
葉さんはそんなつもりでなかったのに、やなせさんが強引に「詩とメルヘン」に載せることを決められたみたいなエピソードが披露されていました。
ですが、葉さんはメルヘン作家としてのご自分に誇りを持ってらっしゃるように思えました。

明るい色彩の絵が多いのですが、寒色の色遣いの絵は、深く深く奥の方に沈潜するような気になります。
こちらの絵は「Blue Horizon」という油彩画ですが、実物は印刷では表しきれないほど深い色です。
背景に小さな対象物という明快な構図は同じなのに、色によってこれほど受ける印象が違うのかと思います。
色のパワーというものを実感しました。

葉祥明さんは、平和や環境問題にも関心をもたれていて、願いを込めた絵本も出されています。
優しい絵柄にわかりやすいメッセージは、こころにスッと染み込んでいきます。
とても素敵な展覧会でした。

常設展示は、小野竹喬と一人息子の春男の作品が展示されてました。
昨年、堂本印象美術館で開催されていた「小野竹喬・春男」展で観た作品をもう一度見ることができました。
常設展の写真等がないので、堂本印象美術館の展覧会の記事を良かったら参考にしてください(その時の記事はこちら)。
竹喬の故郷である笠岡の地にある竹喬美術館で、親子の作品が並んで展示されるのは、この父子にとって最も望んでいたことだと思います。

過去の展覧会の欲しい図録がいっぱいあったのですが、重いので2冊だけ購入。
右の入江波光の図録を見つけた時は小躍りしそうになりました。
左の「画家の絵手紙」という図録には、竹喬が息子の春男の戦死の報を竹喬の兄の竹桃に知らせる手紙も載っていたのですが、淡々と報告する竹喬に対して、弟(竹喬)の代わりに嘆き悲しむような竹桃の手紙に涙が溢れそうになりました。
この手紙を読んで、尚更父子の作品が揃って展示されて良かったなと思いました。
竹喬美術館、今回で2回目なのですが、近かったら絶対もっと通っていると思います。
葉祥明展も常設展もすごく良かったです。
遠かったですが、頑張って行った甲斐がありました。
笠岡市立竹喬美術館
住所:岡山県笠岡市六番町1-17 TEL:0865-63-3967
開館時間:9時30分~17時(入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)、展示替え期間、年末年始(12/29~1/3)
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