姫路市立美術館 「福田眉仙」展

姫路市立美術館に行ってきました。

こちらでは「日本画家 福田眉仙展」('20.10.10~11.15まで。観覧料800円)が開催されています。
福田眉仙という画家はあまり知らなかったのですが、すごく絵が上手い画家だったのですね。
福田家の菩提寺の住職さんに、わずか14歳でお寺の襖絵を依頼され、5面にわたって広がりを感じる「蓮花図」を描いています

歴史画も端正で美しい

ですが、ことさら風景画が良いです。
すごく目立つというわけではないのですが、広大な風景を威圧感をもたせず、押し付けることもなく、素直に気持ちよく見せてくれます。
兵庫県の相生市に生まれ、久保田米僊や橋本雅邦に学び、橋本雅邦について東京に出た眉仙ですが、日本美術院で岡倉天心には南画に向いているのではと言われ、中国に行って勉強することを勧められました。
実際に中国に行ってみると、南画に描かれている風景は想像上のものであると感じ、南画の勉強ではなく、かなりのスケッチを描いて帰ってきたそうです。
そのスケッチを見せると、天心からは褒められ更に勉強を続けるように言われましたが、先輩の横山大観からはスケッチを焼き捨てて抽象的に描かねばならないと言われます。
眉仙は大観の言葉に、自分の求めている写実主義とは違うと感じ、中央画壇から距離を置き、西宮市の苦楽園(現在高級住宅街。その後、芦屋市の六麓荘に自宅建設。現在超高級住宅街)に転居したそうです。
そして、そのまま関西で画業を続け、皇室への献上画や寺社の襖絵の依頼などを受け活躍していったそうです。

巻子には巻子に合う小さな風情を、掛軸には縦に合う険しい山の風景を、屏風であれば金屏風で迫力のある山脈をと、それぞれに合ったものをさらりと描き分けられるところが上手いなぁと思いました。
私は六曲一双の「富士五湖図」、とくに左隻の山脈が金地に映えてきれいだなぁと思い、気に入りました

「名勝帝釈新緑図」も海の色がきれいだったなぁ

「醍醐の桜」は、桜と五七桐のついた赤い陣幕(?)が描かれているのですが、陣幕の方が桜より目立っていて、人物が描かれていなくてもこれが秀吉の醍醐の花見であることがわかります。
それも所々に陣幕に亀裂まで描かれていて、意味を考えると面白いですよね(醍醐の花見は秀吉最晩年に実施)

図録は1000円です(税込み)。
パンフレットみたいな薄さでしたが、今回私が書いた記事の眉仙の略歴部分は、図録に掲載されていた「福田眉仙の生涯」(高瀬晴之著)を参照して書いてます。
図録にはもっと詳しく書いてあり、いろいろ知ることができ興味深かったです


「あぁ、良かったな~」と、最後まで気持ち良く観れた展覧会でした

姫路市立美術館
住所:姫路市本町68-25 TEL:079-222-2288
開館時間:10時~17時(入場は16時半まで)
休館日:月曜(月曜日が祝日・休日の場合は翌平日休館)、年末年始(12月25日~1月5日)、展示替えなどで臨時休館あり

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