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京都 清水三年坂美術館「京薩摩」展

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 京都の清水三年坂美術館で開催されている「京薩摩」展('20.8.22~11.8まで。入館料800円)を観てきました。

 「薩摩焼」とは鹿児島県で作られる焼物の総称で、桃山時代に創始されました。
 幕末に日本の開国後、金彩色絵の絢爛豪華な薩摩焼が輸出され、欧米で人気を博したそうです。
 その評判を知った京都の窯元が同様の方法で、より伝統的な日本のデザインで制作したのが「京薩摩」です。
 それに倣って、京都以外の地で「大阪薩摩」「神戸薩摩」「横浜薩摩」等も作られたそうです。
 欧米では、一緒くたに「SATSUMA」と称されたみたいですけどね。

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 今回の展覧会では、京薩摩を中心に、大阪薩摩、神戸薩摩の作品も併せて展示されていましたが、どれもきらびやかで美しかった~

 まずは、京薩摩で有名な錦光山(きんこうざん)の作品から展示されていました。
 「花鳥図花瓶」は朱に近いピンク地に、花や鳥がいっぱいで、花瓶の上部にも細かい蝶が満載です。
 きれいですね~
 錦光山造之の「騎龍観音図花瓶」も金の龍に乗った観音さまが美しかったです
 「花見図花瓶」は、絵付けも美しかったですが、形もアールヌーヴォーの影響を受けているのか、少し凝っていました。

 大阪薩摩で有名なのは藪明山(やぶめいざん)で、ここの作品は、ものすごく細かくて精緻です
 それでいてゴテゴテした感じはなく、パッと見て美しいと思えます。
 チラシの茶碗も薮明山ですし、「菊尽し茶碗」など、小さな茶碗の中によくぞここまでというぐらい、色もきれいな菊に埋め尽くされています
 全てを文様で覆うような作品ばかりかと思えば、「紅葉に小禽図花瓶」は白地の余白の部分が多くて、紅葉と鳥がひきたってシンプルに美しい作品もあります

 京薩摩は、茶碗や皿などの形を800度で焼いた素焼きの後、1250度で本焼きし、墨などで輪郭線を描く骨描きの後、色絵付けをして780度で焼成し、更に24金を使って金彩絵付けをして620度で焼き上げて完成だそうです
 大阪の藪明山の工房では、土台となる茶碗や皿などの素地は、本家薩摩焼の沈壽官(ちんじゅかん)窯等から取り寄せて、上絵付けのみを行っていたんですって。
 大阪では適した土が取れないというのも理由でしょうが、やっぱり素地がしっかりしていてきれいなものでないと、細かくて美しい絵付けはできないのでしょうね。

 神戸薩摩の精巧山(せいこうざん)もすごかったです
 「風俗図茶碗」は小さな茶碗の中に絵と字まで絵付けされていました
 「花蝶宝尽し輪花鉢」は、色が少し濃くてきれいでした
 同じく神戸薩摩の司山(しざん)の「組輪文茶碗」も細かい文様がきれいだったなぁ

 他にも美しい作品がいっぱい。
 いや~、どれも本当にきれいで、目がキラキラになりました
 美術館に至るまでの坂がちょっとしんどくて、最近はこの美術館はご無沙汰していましたが、良い目の保養になりました。
 良かったです
 
清水三年坂美術館
 住所:京都市東山区清水3-337-1 TEL:075-532-4270
 開館時間:10時~17時(入館16時半まで) 休館日:月・火(祝日開館)、展示替期間、臨時休館あり

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