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大阪市立美術館「島成園」展

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 大阪市立美術館で開催されている「没後50年 浪華の女性画家 島成園」展('20.9.5~10.11まで。観覧料300円)を観てきました。
 この展覧会、良かったです

 島 成園(しま せいえん)は、大正から昭和にかけて活躍した堺市出身の日本画家で、大阪の島成園、京都の上村松園、東京の池田蕉園とともに「三都三園」と称されていた女性画家です。
 今回は没後50年を記念しての展覧会です。

 10年前は没後40年記念として、生誕地である堺で島成園展が開催されました(その時の記事はこちら)。
 今回は、島成園の内弟子で、成園の死後に森本家の養女にもなった岡本成薫(森本美津子氏)が、大阪市立美術館に寄贈した成園の遺作85点を中心に、成園の師匠のような存在の北野恒富や同僚の中村貞以など成園に関わりのあった画家の作品も含めた展覧会になっていました。

 島成園の作品といえば、顔に痣を描いた「無題」のように、女性の情念のような少しドロリとしたものが絵に含まれているように感じていたのですが、今回の展示作品はほとんどが美しい美人画です。
 鏑木清方や伊東深水の描く女性に似て、表面的に美しい女性が多くて、あれ?と少し思いました。

 その中で「自画像」は、目の下にクマができており、いかにも疲れているという表情なのですが、着物の描き込みはやけに丁寧で、目を引きました。
 制作年は大正13年となっており、調べてみると、夫の森本豊次郎氏が上海に転勤になる年で、成園は経済的には問題がなくても精神的にも身体的にも疲れていて、それを描かずにはいられなかったのかなと想像しました。

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 夫の豊次郎氏が転勤になると、成園も上海と大阪を往復する生活を送ったそうですが、その時に描かれたのが今回看板になっている「上海にて」です。
 この作品も、成園らしいデロリさが出ていますね。

 ですが、それら以外はほとんどが美しい女性のオンパレード。
 戦後はほとんどアクのない女性像を描いており、若い時の沸々と心の中に湧き上がっていた言葉に表せない不条理さや闘志が、年齢がいくことにより折り合いをつけることができ、穏やかに美のみを追求できるようになったのかなと思いました。

 10年前の展覧会は、成園が世の中の不条理さと戦っている作品が中心でしたが、今回は社会も落ち着き、その後の成園がどうなったかという、10年前の続きのような展覧会でした。
 観に行って良かったなとしみじみ思いました

 300円で島成園展だけでなく、仏像などのコレクション展も一緒に観れるものすごくオトクな展覧会でしたよ。
 オススメです

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 この美術館も、京都市美術館に負けないぐらい重厚感のある建物です。
 寄贈してくれた当時の住友家の想いも含めて、これからも大切にしていかなければならないと思います。
 
大阪市立美術館
 住所:大阪市天王寺区茶臼山町1-82 TEL:06-6771-4874
 開館時間:9時半~17時(入館は30分前まで) 休館日:月曜日(月曜が祝日の場合、翌日休館、年末年始、展示替え期間、災害などにより臨時休館あり)

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