滋賀 佐川美術館「歌川広重展」&「山下清の東海道五十三次」展
毎日、暑いですね~。
私は完全に夏バテです。
もうだるくて、だるくて
毎年言ってるかもしれませんが、今年も夏バテはしていますが、夏痩せはしていません。
私としては夏バテより夏痩せしたいのですが、痩せるどころか夏太りしてしまって「なんでやねん!」と1人ツッコミしています(苦笑)。

ところで、新型コロナの第2波が始まりだした頃、このまま感染拡大が進むと行けなくなるかもと思い、ちょっと無理して7月中に少し遠方の展覧会も含めていくつか行ってきました。
今回紹介するのは、滋賀県守山市にある佐川美術館です。
うちの職場はお盆休み制ではなく夏休み制なので、平日に休みを取って行ってきました。

こちらでは、「歌川広重展―東海道五拾三次と雪月花 叙情の世界―」展('20.7.4~8.30まで。入館料1000円)が開催されています。
この展覧会、すごい展示数で見応えありました。
保永堂版の東海道五拾三次55枚、五十三次名所図会55枚が全部揃って展示されています。
異版や普及版も数点あり、東海道五十三次関係だけで115点展示されています。
東海道五十三次と名所図会が並べて展示されているところが良いですね。
比較できます。
どちらも良いのですが、私は東海道五十三次の方が、雨や雪などのお天気の表現が多彩なので好みかな。
広重は季節や時刻の様子を描くのが上手いですね。
春、夏、秋、冬だけでなく、早朝、昼間、夕暮れ、晩などの時刻や、雨・雷などの天気も組み合わせて描くので、よりリアルに旅情が伝わってきます。
例えば「東海道五拾三次之内 蒲原 夜之雪」は、雪がしんしんと降っていて、灯が消えた家々にも雪が降り積もるなか、旅人が家路を急ぐ様子が描かれています。
これを見ると、『蒲原の冬はこんなに寒いんだ。冬は早めに宿に到着しないと大変だな。でも雪景色がきれいそう』というような感想が自然に湧き出てきます。
これは見ている人間から、「もし旅行に行ったら」という空想を引き出しているということでしょう。
そこが広重のすごいところですよね。
まぁ、この作品に関していえば、広重も「この風景が雪景色だったらもっときれいだろうなぁ」と空想を広げたみたいで、実際に広重が蒲原に行ったのは夏だったようで、しかも蒲原はこんなに雪が降り積もる地ではないんだそうです。
この他、風景画は「近江八景」や最晩年の「名所江戸百景」などがありました。

この名所江戸百景の中に、ゴッホが参考にした「亀戸梅屋舗」もあります(看板右図)。
ついつい面白い切り取り方をした梅の木に目が行きがちですが、よく見ると観梅している人もたくさん描かれています。
その人から見れば、梅の木の奥にいる私たちも一緒に見えているかもしれませんね(笑)。
このシリーズは構図が大胆で面白い作品が多いです。
看板左図の鯉のぼりの作品もシリーズの中の1枚で「水道橋駿河台」です。
シリーズは全部で119枚あるのですが、今回は9点の展示だったので、また今度「名所江戸百景」全部展示される展覧会を開いてくれると嬉しいな。
風景画だけでなく、武者絵や美人画、役者絵、肉筆画の展示もありました。
広重の武者絵は結構迫力がありましたし、美人画も良いです。
役者絵も粋で、やっぱり広重って何を描かせても上手いなと思いました。
他の絵師による「雪月花」の作品も展示されていましたが、この中では私は勝川春扇の作品がきれいで気に入りました。
計223点の展示、すごかったです

広重を満喫しました。

広重の東海道五十三次を見ていると、自分も行ってみたい気になります。
広重の作品を見たからかはわかりませんが、山下清も「ゆっくり旅ができるならやってもいいな」と、5年間かけて旅をして東海道五十三次を描きました。
本来は貼り絵にするつもりだったそうですが、遺作となってしまったため、素描画のままだそうです。
その素描55点を版画にした「山下清の東海道五十三次」展('20.7.4~8.30まで)も同時開催されていました。
絵はすごく細かい描写なのですが、余白もしっかり取ってあるので、目がちかちかすることもなく見やすいです。
東海道五十三次といえば富士山が描かれていることが多いのですが、富士山が描かれているのは「吉原」の1枚ぐらいしかなかったような。
三保の松原を描いた「清水」でさえ、羽衣の松を描いて、富士山がありませんでした。
確かに羽衣の松からは富士山は見えにくいかもしれないけど。
「袋井」は、この前お雛さまを見に行った可睡斎が描かれていて、「こんな感じだった!」と顔がほころびました
絵もすごいのですが、絵と一緒に書かれている山下清のコメントが味があります。
例えば「もやってるから東京タワーにのぼっても、海の景色が半分しかきれいでないな。タワーにのぼった人、そんするな」とあり、『うん、うん。曇りの時は私も東京タワーにのぼらないわ。やっぱりお天気の良い時でないとね』と心の中で山下清と会話しました
熱田神宮では、「あまりに立派なお宮なので寝るところがないな。伊勢神宮や熱田神宮は寝るところではなく見るところだな、と言ったら、よその人に見るところではなく拝むところだと言われた」と書いてあり、思わず地元の人の言う通りだと笑ってしまいました。

山下清の率直な感想に、山下清の今までの経験や思いが滲み出ていて、この作品ができた晩年には人々から認められる存在になっていますが、それまではいろいろ苦労したんだろうなと思いました。
そんな苦労の中からでも、楽しいこと、面白いと感じれる感受性を育んていけたのが山下清の強みであり、たくましさなんだろうなと思えた展覧会でした
常設展では、平山郁夫コーナー、楽家15代吉左衛門コーナー、佐藤忠良とてんこ盛りの内容で大満足でした
展覧会は良かったのですが、新型コロナの感染予防のため、ベンチが全部使用不可になっていたのには困りました。
他の美術館では、ベンチの真ん中は使用不可ですが、両端は座れるようになっています。
私が行った時は今ほど暑くはなかったですが、それでも30度以上でしたし、美術館の中でも少しベンチで休憩した方が良い人もたくさんいると思います。
それでなくても、ここの美術館は少し辺鄙なところにあるので、行くだけでも公共交通機関だと大変なのですから。
今は改善されて、ベンチに座れるようになっていることを願います。
佐川美術館
住所:滋賀県守山市水保町北川2891 TEL:077-585-7800
開館時間:9時30分~17時(入館は閉館の30分前まで) 休館日:月曜

にほんブログ村
私は完全に夏バテです。
もうだるくて、だるくて

毎年言ってるかもしれませんが、今年も夏バテはしていますが、夏痩せはしていません。
私としては夏バテより夏痩せしたいのですが、痩せるどころか夏太りしてしまって「なんでやねん!」と1人ツッコミしています(苦笑)。

ところで、新型コロナの第2波が始まりだした頃、このまま感染拡大が進むと行けなくなるかもと思い、ちょっと無理して7月中に少し遠方の展覧会も含めていくつか行ってきました。
今回紹介するのは、滋賀県守山市にある佐川美術館です。
うちの職場はお盆休み制ではなく夏休み制なので、平日に休みを取って行ってきました。

こちらでは、「歌川広重展―東海道五拾三次と雪月花 叙情の世界―」展('20.7.4~8.30まで。入館料1000円)が開催されています。
この展覧会、すごい展示数で見応えありました。
保永堂版の東海道五拾三次55枚、五十三次名所図会55枚が全部揃って展示されています。
異版や普及版も数点あり、東海道五十三次関係だけで115点展示されています。
東海道五十三次と名所図会が並べて展示されているところが良いですね。
比較できます。
どちらも良いのですが、私は東海道五十三次の方が、雨や雪などのお天気の表現が多彩なので好みかな。
広重は季節や時刻の様子を描くのが上手いですね。
春、夏、秋、冬だけでなく、早朝、昼間、夕暮れ、晩などの時刻や、雨・雷などの天気も組み合わせて描くので、よりリアルに旅情が伝わってきます。
例えば「東海道五拾三次之内 蒲原 夜之雪」は、雪がしんしんと降っていて、灯が消えた家々にも雪が降り積もるなか、旅人が家路を急ぐ様子が描かれています。
これを見ると、『蒲原の冬はこんなに寒いんだ。冬は早めに宿に到着しないと大変だな。でも雪景色がきれいそう』というような感想が自然に湧き出てきます。
これは見ている人間から、「もし旅行に行ったら」という空想を引き出しているということでしょう。
そこが広重のすごいところですよね。
まぁ、この作品に関していえば、広重も「この風景が雪景色だったらもっときれいだろうなぁ」と空想を広げたみたいで、実際に広重が蒲原に行ったのは夏だったようで、しかも蒲原はこんなに雪が降り積もる地ではないんだそうです。
この他、風景画は「近江八景」や最晩年の「名所江戸百景」などがありました。

この名所江戸百景の中に、ゴッホが参考にした「亀戸梅屋舗」もあります(看板右図)。
ついつい面白い切り取り方をした梅の木に目が行きがちですが、よく見ると観梅している人もたくさん描かれています。
その人から見れば、梅の木の奥にいる私たちも一緒に見えているかもしれませんね(笑)。
このシリーズは構図が大胆で面白い作品が多いです。
看板左図の鯉のぼりの作品もシリーズの中の1枚で「水道橋駿河台」です。
シリーズは全部で119枚あるのですが、今回は9点の展示だったので、また今度「名所江戸百景」全部展示される展覧会を開いてくれると嬉しいな。
風景画だけでなく、武者絵や美人画、役者絵、肉筆画の展示もありました。
広重の武者絵は結構迫力がありましたし、美人画も良いです。
役者絵も粋で、やっぱり広重って何を描かせても上手いなと思いました。
他の絵師による「雪月花」の作品も展示されていましたが、この中では私は勝川春扇の作品がきれいで気に入りました。
計223点の展示、すごかったです


広重を満喫しました。

広重の東海道五十三次を見ていると、自分も行ってみたい気になります。
広重の作品を見たからかはわかりませんが、山下清も「ゆっくり旅ができるならやってもいいな」と、5年間かけて旅をして東海道五十三次を描きました。
本来は貼り絵にするつもりだったそうですが、遺作となってしまったため、素描画のままだそうです。
その素描55点を版画にした「山下清の東海道五十三次」展('20.7.4~8.30まで)も同時開催されていました。
絵はすごく細かい描写なのですが、余白もしっかり取ってあるので、目がちかちかすることもなく見やすいです。
東海道五十三次といえば富士山が描かれていることが多いのですが、富士山が描かれているのは「吉原」の1枚ぐらいしかなかったような。
三保の松原を描いた「清水」でさえ、羽衣の松を描いて、富士山がありませんでした。
確かに羽衣の松からは富士山は見えにくいかもしれないけど。
「袋井」は、この前お雛さまを見に行った可睡斎が描かれていて、「こんな感じだった!」と顔がほころびました

絵もすごいのですが、絵と一緒に書かれている山下清のコメントが味があります。
例えば「もやってるから東京タワーにのぼっても、海の景色が半分しかきれいでないな。タワーにのぼった人、そんするな」とあり、『うん、うん。曇りの時は私も東京タワーにのぼらないわ。やっぱりお天気の良い時でないとね』と心の中で山下清と会話しました

熱田神宮では、「あまりに立派なお宮なので寝るところがないな。伊勢神宮や熱田神宮は寝るところではなく見るところだな、と言ったら、よその人に見るところではなく拝むところだと言われた」と書いてあり、思わず地元の人の言う通りだと笑ってしまいました。

山下清の率直な感想に、山下清の今までの経験や思いが滲み出ていて、この作品ができた晩年には人々から認められる存在になっていますが、それまではいろいろ苦労したんだろうなと思いました。
そんな苦労の中からでも、楽しいこと、面白いと感じれる感受性を育んていけたのが山下清の強みであり、たくましさなんだろうなと思えた展覧会でした

常設展では、平山郁夫コーナー、楽家15代吉左衛門コーナー、佐藤忠良とてんこ盛りの内容で大満足でした

展覧会は良かったのですが、新型コロナの感染予防のため、ベンチが全部使用不可になっていたのには困りました。
他の美術館では、ベンチの真ん中は使用不可ですが、両端は座れるようになっています。
私が行った時は今ほど暑くはなかったですが、それでも30度以上でしたし、美術館の中でも少しベンチで休憩した方が良い人もたくさんいると思います。
それでなくても、ここの美術館は少し辺鄙なところにあるので、行くだけでも公共交通機関だと大変なのですから。
今は改善されて、ベンチに座れるようになっていることを願います。
佐川美術館
住所:滋賀県守山市水保町北川2891 TEL:077-585-7800
開館時間:9時30分~17時(入館は閉館の30分前まで) 休館日:月曜

にほんブログ村
スポンサーサイト