東洋美術史の苦い思い出
奈良国立博物館や泉屋博古館には、日本でも有数の中国の古代青銅器のコレクションがあります。

奈良国立博物館の坂本コレクションは、坂本五郎さんという古美術商の方より寄贈されたものだそうです。

私もこの坂本コレクションや泉屋の住友コレクションを何度も見ているのですが、見るたびに過去の苦い思い出が甦ってきます・・・。
それは大学2年の時のことでした。
美術に興味のあった私は、学科の必須科目ではなかったのですが、日本美術史、西洋美術史、そして東洋美術史の講義を受講しました。
東洋美術史のシラバスには「中国の青銅器、仏像などの変遷を画像を見ながら学ぶ」というようなことが書かれており、面白そうと思ったのです。
講師は、今回初めて講義をする外部の若い先生でした。
講義内容は、レジュメも教科書もなく、90分間ひたすらスライドを見せて特徴を口頭で説明。
それも早い!
1回の授業で何十枚スライドを見たことか。
私もはじめは一生懸命メモを取ろうとしていたんですよ。
ですが、手元に画像がなく特徴だけのメモでは、後でそのメモを見ても何のことやらさっぱり。
早い段階で、メモをとることをきっぱり諦めました。
スライドを見やすくするため部屋は暗いし、似たようなスライドが大量にあるわで、毎回巨大な睡魔に襲われそうになりながら必死でボーっとスライドだけを見て全講義が終了。
なのに先生は無情にも「この講義はテストにします。今までに見たスライドから問題がでます。皆さん、頑張ってくださいね」とのこと。
『えっ、スライドって、何百枚も見たんですけど・・・。その中からって、ヒントにもなってませんよ・・・』
それでも、選択方式だろうと甘く見ていたのが大間違い。
答案用紙を見て、血の気が引きました。
問題文は「各時代と名称を漢字で記入しなさい」とだけで、あとは25問もの( )( )が並んでいたのです。

テストでは、上の写真のようなスライドが次々と出てきます。
『いん(私の時はまだ「商」ではなく「殷」だった)って漢字どうやったっけ?』『なんやこれ?曲線文・・・壺』
『・・・ちょっと待って、まだ書いてる最中なのに次行くの?』
試験時間は60分で、問題は25問なので、スライド1枚の時間はほぼ2分。

『鳳凰文って漢字の画数多いのに、そんなに早く次に行ったら書かれへんやん。ゆう(卣)って、漢字がわからん!』

『こんなん漢字で書いてたら、間に合わんし、よぉ書かん。もうええわ。「とうてつ文大てい」(饕餮文大鼎)』
・・・
気分はぜーぜー言いながらできた答案は、小学校低学年が書くようなひらがな交じりの単語の羅列。
『私、この科目の単位、大丈夫か!?』
教室を出ると、ユラユラと知人が2~3人集まってきて、「・・・20番の釈迦如来像、時代何にした?・・・」
「・・・東魏」
「えっ、西魏じゃないの?」
「北魏やろう?」
「・・・」
何問かお互いに聞き合ったのですが、答え合わせにもならず、皆フラフラ~と解散。
でも、私は肝心なことを聞けなかったのです。
「古代中国の青銅器名、みんなは漢字で書けたのか!?スライド早すぎ、とワタワタしてたのは私だけ!?」
古代中国の青銅器を見ると、あの時の焦りの気持ちを思い出します
えっ?それで単位は取れたのかって?
おかけさまでどうにか
ですが、試験前に何とか詰め込んだことも、試験後にはきれいに忘れてしまいましたけどね
講義の内容は忘れてしまったのに、「京都の藤井有鄰館の中国コレクションもすごいよ~」という言葉は、藤井有鄰館の前を通るたびに思い出しますが、今もまだ行ってません。
記憶のブラックボックスからこれ以上何か引き出されたら大変(笑)。
奈良博で坂本コレクションを見て、つい昔の思い出語りをしちゃいました。
おつきあい、感謝です。
※写真は奈良国立博物館青銅器館(坂本コレクション)所蔵のものです。
奈良国立博物館 青銅器館
住所:奈良市登大路町50番地 TEL:050-5542-8600(ハローダイヤル)
開館時間:9時半~17時(金曜は19時まで。入館は各閉館の30分前まで) 休館日:月曜(月曜祝日の場合は開館し、翌日休館)

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奈良国立博物館の坂本コレクションは、坂本五郎さんという古美術商の方より寄贈されたものだそうです。

私もこの坂本コレクションや泉屋の住友コレクションを何度も見ているのですが、見るたびに過去の苦い思い出が甦ってきます・・・。
それは大学2年の時のことでした。
美術に興味のあった私は、学科の必須科目ではなかったのですが、日本美術史、西洋美術史、そして東洋美術史の講義を受講しました。
東洋美術史のシラバスには「中国の青銅器、仏像などの変遷を画像を見ながら学ぶ」というようなことが書かれており、面白そうと思ったのです。
講師は、今回初めて講義をする外部の若い先生でした。
講義内容は、レジュメも教科書もなく、90分間ひたすらスライドを見せて特徴を口頭で説明。
それも早い!
1回の授業で何十枚スライドを見たことか。
私もはじめは一生懸命メモを取ろうとしていたんですよ。
ですが、手元に画像がなく特徴だけのメモでは、後でそのメモを見ても何のことやらさっぱり。
早い段階で、メモをとることをきっぱり諦めました。
スライドを見やすくするため部屋は暗いし、似たようなスライドが大量にあるわで、毎回巨大な睡魔に襲われそうになりながら必死でボーっとスライドだけを見て全講義が終了。
なのに先生は無情にも「この講義はテストにします。今までに見たスライドから問題がでます。皆さん、頑張ってくださいね」とのこと。
『えっ、スライドって、何百枚も見たんですけど・・・。その中からって、ヒントにもなってませんよ・・・』
それでも、選択方式だろうと甘く見ていたのが大間違い。
答案用紙を見て、血の気が引きました。
問題文は「各時代と名称を漢字で記入しなさい」とだけで、あとは25問もの( )( )が並んでいたのです。

テストでは、上の写真のようなスライドが次々と出てきます。
『いん(私の時はまだ「商」ではなく「殷」だった)って漢字どうやったっけ?』『なんやこれ?曲線文・・・壺』
『・・・ちょっと待って、まだ書いてる最中なのに次行くの?』
試験時間は60分で、問題は25問なので、スライド1枚の時間はほぼ2分。

『鳳凰文って漢字の画数多いのに、そんなに早く次に行ったら書かれへんやん。ゆう(卣)って、漢字がわからん!』

『こんなん漢字で書いてたら、間に合わんし、よぉ書かん。もうええわ。「とうてつ文大てい」(饕餮文大鼎)』
・・・
気分はぜーぜー言いながらできた答案は、小学校低学年が書くようなひらがな交じりの単語の羅列。
『私、この科目の単位、大丈夫か!?』

教室を出ると、ユラユラと知人が2~3人集まってきて、「・・・20番の釈迦如来像、時代何にした?・・・」
「・・・東魏」
「えっ、西魏じゃないの?」
「北魏やろう?」
「・・・」
何問かお互いに聞き合ったのですが、答え合わせにもならず、皆フラフラ~と解散。
でも、私は肝心なことを聞けなかったのです。
「古代中国の青銅器名、みんなは漢字で書けたのか!?スライド早すぎ、とワタワタしてたのは私だけ!?」
古代中国の青銅器を見ると、あの時の焦りの気持ちを思い出します

えっ?それで単位は取れたのかって?
おかけさまでどうにか

ですが、試験前に何とか詰め込んだことも、試験後にはきれいに忘れてしまいましたけどね

講義の内容は忘れてしまったのに、「京都の藤井有鄰館の中国コレクションもすごいよ~」という言葉は、藤井有鄰館の前を通るたびに思い出しますが、今もまだ行ってません。
記憶のブラックボックスからこれ以上何か引き出されたら大変(笑)。
奈良博で坂本コレクションを見て、つい昔の思い出語りをしちゃいました。
おつきあい、感謝です。
※写真は奈良国立博物館青銅器館(坂本コレクション)所蔵のものです。
奈良国立博物館 青銅器館
住所:奈良市登大路町50番地 TEL:050-5542-8600(ハローダイヤル)
開館時間:9時半~17時(金曜は19時まで。入館は各閉館の30分前まで) 休館日:月曜(月曜祝日の場合は開館し、翌日休館)

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