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京都国立博物館「聖地をたずねて」展

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 京都国立博物館で開催されている「西国三十三所 草創千三百年記念 聖地をたずねて-西国三十三所の信仰と至宝-」展('20.7.23~9.13まで。観覧料1600円)を観てきました。

 この展覧会は、日本最古の巡礼路・西国三十三所について、各寺院の様々な寺宝などによって紹介したものです。

 西国三十三所とは、奈良の長谷寺の徳道上人が病気になって生死の境目にいた時(718年)、閻魔大王から「世の悩み苦しむ人々を救うために、三十三の観音霊場を開き、観音菩薩の慈悲の心に触れる巡礼を人々に勧めなさい」というお告げを受け、起請文と三十三の宝印を授かったそうです。
 病気回復後、徳道上人がお告げの通り、三十三の観音霊場の礎を築いたのが西国三十三所の始まりです。
 その当時は人々に広まらなかったようですが、約270年後、花山法皇(968-1008)が観音霊場を巡礼し修行され、西国三十三所観音巡礼を再興されました。
 西国三十三所は、和歌山、大阪、兵庫、京都、奈良、滋賀、岐阜と2府5県にまたがっているのですが、当時の都・京都に約3分の1の寺院が集中していたため、中世の頃から憬れの巡礼路として人気が全国に広がったそうです。

 参拝の証となる御朱印は、徳道上人が閻魔大王から授かった三十三の宝印が起源といわれているそうです。
 法華経に観音菩薩は三十三の姿に変身して人々を救うと書かれており、閻魔大王の約束の証である宝印を三十三所すべての寺院で集めると、極楽浄土への通行手形となるそうです。
 御朱印は札所御本尊の分身になるので、大切にもっておく必要があるみたいです。

 展覧会は、7章からなっているのですが、まず最初は観音さまについてでした。
 7~8世紀の古い時代の観音像で比較的小さな像が多かったです。
 観音さまについて書かれた法華経の展示もありました。
 刺繍で書かれた繍字法華経や光子内親王筆の法華経が美しかったです。

 2章は閻魔さまからのお告げということからか、六道絵などで地獄の様子について紹介しています。

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 3章は聖地巡礼の始まりにかかわった長谷寺の徳道上人や花山法皇、助力をした僧侶などの肖像画や縁起絵巻の紹介。
 姫路の書写山圓教寺の性空上人の肖像画は、ちょっと他の上人像とは違うので要チェックです。

 4章は三十三所各所の曼荼羅など、6章は巡礼札や納経帳など巡礼の足跡の遺物、7章は各寺院の寺宝などの紹介でした。

 どれもそれぞれ良かったのですが、やっぱり見応えがあるのは5章の祈りと信仰のかたちです。
 フロアいっぱいに仏さまがいらっしゃいます。
 六道世界の衆生を救うとされる七観音さまや、六角堂(頂法寺)の秘仏などが勢揃いです。

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 写真は左から、京都・六角堂(頂法寺)の秘仏「如意輪観音座像」(天道)、兵庫・圓教寺の「如意輪観音座像」(天道)、京都・醍醐寺の「十一面観音立像」(修羅道)です。
 圓教寺の如意輪観音さまは、少し小さめですが、お顔もお姿も美しかったです。
 それに衣の截金文様がきれいに残っていました。

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 こちらは左から、京都・松尾寺の「馬頭観音座像」(畜生道)、和歌山・粉河寺の「千手観音立像」(餓鬼道)、滋賀・宝厳寺の「聖観音立像」(地獄道)です。
 馬頭観音さまは、玉眼なのでライトに照らされて目が光ってすごい迫力です。
 京都の松尾寺は、駅やバス停から40~50分歩かないと行けない公共交通で巡拝するには大変なお寺だったので、ここで再度じっくりお会いできて良かったです。
 粉河寺の千手観音さまは、後期(8/18~9/13)の展示なので、私は今回はお会いできませんでしたが、粉河寺でお目にかかってます。
 こちらの御本尊は絶対秘仏で、今回の仏さまは本堂後戸に安置されている千手観音さまです。
 そうそう、今回の展覧会の3章に、国宝「粉河寺縁起絵巻」の展示(前期7/23~8/16)もありましたよ。
 字はたおやかで、絵もきれいでしたので、前期に行かれる方はチェックしてくださいね。
 
 写真にはありませんが、七観音のうち人間道の衆生を助けて下さる、京都・醍醐寺の准胝観音さま(清瀧本地両尊像・絵画)や京博所蔵の不空羂索観音さまもいらっしゃいましたので、七観音様そろい踏みです。

 この他に、京都・清水寺の「伝観音菩薩・勢至菩薩立像」は端正で美しかったですし、滋賀・長命寺の「七観音像厨子」も小さいですが、手が込んでいて豪華でした。

 図録は2700円です。

 巡拝地が三十三所もあるのでそれほど深くではありませんが、この展覧会を見ると西国三十三所について一通り学べる内容になっていました。
 楽しかったです。

 そうそう、写真の2枚目は五叟鐵太郎さんのイラストで、西国三十三所全ての寺院が描かれています。
 どこもきれいでしたよ。
 
京都国立博物館
 住所:京都市東山区茶屋町527 TEL:075-525-2473(テレホンサービス)
 開館時間:9時30分~18時(入館は閉館30分前まで)休館日:月曜日(8/10は開館)、展示替え期間、年末年始

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