大阪 enoco 「須田剋太展 抽象|具象」展

大阪府立江之子島文化芸術創造センター(enoco)では、「大阪府20世紀美術コレクション 須田剋太展 抽象|具象」展('20.2.28~2.29まで。入場料無料)が開催されていました。
今年は、須田剋太の没後30年にあたるため、関西では3か所展覧会が開かれていました。
須田剋太は、埼玉出身の画家で、はじめは独学で絵を描いていましたが、画家としての才能を見出され、具象画家として次第に画壇に認められていきます。
京都や奈良の文化に触れ、30代半ばで関西に移り住み制作を続けますが、1949年に抽象画の旗手であった長谷川三郎に出会い、抽象画に傾倒していきます。
犬養道子の本の挿絵を描いたことから、司馬遼太郎の「街道をゆく」の連載挿絵を引き受け、再び具象絵画を描きはじめ、その後は具象と抽象の両方、晩年には陶芸や書なども制作しました。
亡くなる前に、埼玉県立近代美術館に抽象の油彩画、グワッシュの合計293点を寄贈し、大阪府にも油彩画45点、グワッシュ320点、挿絵1858点の計2223点が寄贈されています。
今回は、大阪府に寄贈された作品のうち、司馬遼太郎の「街道をゆく」の挿絵と抽象画の紹介で、どちらもグワッシュによるものです。
具象画である「街道をゆく」の挿絵は、「湖西の道」から「大徳寺散歩」までの近畿を中心とした22の街道を、制作年代順に展示してありました。

須田さんの作品の魅力は、骨太のタッチではないかと思われます。
線が大胆で、仮に失敗の線があったとしても、それをものともせずに描き続け、最終的には力強い作品に完成させます。
具象画でも抽象画でも、あまり細かいことにこだわっていません。
ですが、形の捉え方がしっかりしているので、大胆に、骨太に描かれていても具象画はきちんとそれらしく見えます。
例えば、奈良の談山神社の十三重塔を描いた作品は、本当に十三も描いているのかわかりませんが、なんとなくそれらしく見えるところがすごいと思いました。
新型コロナのせいで臨時休館になり、開催してわずか2日間で会期が終了になってしまいました。
展覧会を企画し、準備をされたスタッフの皆さんは本当にがっかりされたと思いますが、良い展覧会だったので、落ち着いたら再開してもらって、また観たいなと思いました。
大阪府立江之子島文化芸術創造センター(enoco)
住所:大阪府大阪市西区江之子島2-1-34 TEL:06-6441-8050
開館時間:10時~19時 休館日:月曜日

にほんブログ村
スポンサーサイト