奈良国立博物館①「毘沙門天」展

少し前に奈良国立博物館に行ってきました。
こちらでは「毘沙門天」展と「お水取り」展が開催されています。

今回は「毘沙門天 北方鎮護のカミ」展('20.2.4~3.22まで。観覧料1500円)の感想を記したいと思います。
この展覧会では、北方の守護神、毘沙門天(四天王時は多聞天)像35躰と1対の尼藍婆(にらんば)・毘藍婆(びらんば)像2組が展示されています。
この展覧会、かっこよかった~


各地の毘沙門天さまが、これだけ一堂に揃った展覧会って今までなかったのではないでしょうか。
内容は、第1章「独尊の毘沙門天像」、第2章「毘沙門三尊像」、第3章「双身毘沙門天像」、第4章「‵兜跋'形毘沙門天像」に分かれています。

第1章では、どれも良かったのですが、弘源寺の像はすごい躍動感で、「わー!」と声を上げてられるようでした。
東博所蔵の像は、東大寺戒壇堂の広目天像のような静かな威厳があり、美しくかっこよかったです。
高尾地蔵堂の像は、お顔小さめの八頭身で、スタイル抜群で長い指もきれいでした。
放光寺の像は、彩色は江戸時代の後補だそうですが、すごい色でお顔も人形みたいでした。トラのマントと靴で、初めて見ました。
東京芸大所蔵の定慶作の像は、力強い眼差しで、踏まれている邪鬼も玉眼で、蛇を持ちながらこちらを見ています。邪鬼、こわ~。
奈良博所蔵の像は、それほど大きくはありませんが気迫があり、邪鬼も目を血走らせながら逃れようとしているのを、ぐっと踏みしめています。
毘沙門天像も良いのですが、下に踏まれている邪鬼も喜んで踏まれているものもあれば、必死でのがれようとしているもの、自分も毘沙門天の一部ように思っていそうなものまでいろいろでした。
邪鬼に注目するのも面白いです

第2章では、毘沙門天を中尊として、吉祥天(毘沙門天の妃または妹)と善膩師童子(ぜんにしどうじ。毘沙門天の息子)を脇侍とする毘沙門三尊像の展示です。
鞍馬寺所蔵の三尊像と雪蹊寺所蔵の三尊像が向き合って展示されていたのですが、鞍馬寺の毘沙門像は左手を額に当てて雪蹊寺の三尊像をよく見ようとしているみたいでした。
雪蹊寺の方が少し若いように見えるので、皆若いなぁと思ってよく見ているのでしょうか。
第3章の双身毘沙門天像は、2体が背中で引っ付いているのですが、手が前と後ろでは違っており、1体は胸の前で手を合わせ、もう1体はお腹の辺りで下に向けて手を合わせています。
私は初めて見ました。
東大寺の勝敵(しょうじゃく)毘沙門天立像は赤黒いお顔で、ひげのような長い牙を生やした憤怒相で、悪を討つというすごい意思を感じました。

第4章の兜跋(とばつ)毘沙門天像は、地天女の両手に支えられて立ち、二鬼(尼藍婆・毘藍婆)を従える姿で表された像の名称です。
東寺の像は、カッとこちらを見てられます。
鎧や甲がきれいに彫られていました。尼藍婆・毘藍婆も力強かったです。
看板の尼藍婆・毘藍婆像は、仲良しそうでかわいいですね。
図録は2000円です。
いろんな毘沙門天さまにお会いできて、すごく良い機会でした

会期は3月22日までなので、早く新型コロナが終息してもう一度観に行きたいです。
奈良国立博物館
住所:奈良市登大路町50番地 TEL:050-5542-8600(ハローダイヤル)
開館時間:9時半~17時(金・土は19時まで。入館は各閉館の30分前まで) 休館日:月曜、2020年2/25

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