兵庫 西宮市大谷記念美術館 「山下摩起をめぐる画家たち」展

西安曹家餃子坊でのランチでお腹いっぱいになったところで、西宮市大谷記念美術館に向かいました

こちらでは「生誕130年記念 山下摩起をめぐる画家たち」展('20.1.2~2.11まで。入館料500円)が開催されています。

写真は今回の展覧会の展示リストに載っていたものからの引用ですが、山下摩起は1890(明治43)年に兵庫県の有馬で生まれた日本画家です。
京都市立絵画専門学校(現京都市立芸術大学)で山元春挙や菊池契月、竹内栖鳳らの指導を受けています。
卒業後は洋画にも興味を持ちフランス留学に行き、帰国後は洋画を描いていたのですが、やがて日本画の制作を再開させ、1960(昭和35)年には大阪にある四天王寺の五重塔の壁画を完成させています。

私は写真上部の「雪」という作品を数年前にこちらの美術館で観て、一気に山下摩起に興味を持ちました。
竹の上に積もっている雪の表現が本当に見事で、一目で惹かれたのです。
ですが、私も今回初めて知ったのですが、この作品は第20回再興院展出品し、右隻のみ入選だったそうです。
今見ても一双で完璧と思うので、右隻のみの入選だなんて私でも嘘でしょうと思ったほどなので、画家本人もショックだったと思います。
結局これ以後は公募展への出品を取りやめたそうです。
結果、画壇に縛られることなく自由に制作されたそうで、今回の展覧会では「画壇から解き放たれて 自由闊達 筆を揮った絵描きがいた」というキャッチフレーズがついていました。
今回初めて山下摩起の作品をまとまって観たのですが、すごくキュビズムに影響を受けたのだなという印象です。
曲線を直線に変えるため線の省略をしたり、いろいろ研究をされていたのだなと思いました。
前述の「雪」も、以前に観た時は気付かなかったのですが、今回よく見ると竹も雪もキュビっていました。
それなのに雪の柔らかい重さが感じられ、改めてすごいなと思いました。

こちらは浮世絵風の絵ですが、背景は新聞を貼ったコラージュですし、右手に持っているのは新聞を丸めたもののようにも見えます。
当時としては新しいなぁと思いました。
本当に自由に創作されていたのでしょうね。
面白かったのは、外孫に向けた絵手紙です。
写真では頑固な職人さんというような風貌ですが、とってもかわいい絵手紙を描かれてました。
お孫さんに対しては、おちゃめで優しいおじいさんだったのでしょうね。
ちなみに元宝塚スターの榛名由梨さんは、お孫さん(多分内孫)だそうですよ。
展覧会では、画学校時代の教師である竹内栖鳳、菊池契月、山元春挙の作品、山下摩起の周囲にいた富田渓仙、榊原紫峰、入江波光、村上華岳の作品も展示されていました。
どれも素晴らしかったのですが、私は山元春挙の「雪渓遊鹿図」がすごく美しくて気に入りました。
果てなく降り続く雪の山中を、左下で小さく走っている鹿の群れは、とても遊んでいるようには見えませんけどね(笑)。
山下摩起の展覧会だけでなく、常設展示のコ―ナーも良かったですよ。
上村松園の「蛍」は闊達そうな粋な美人が描かれていました。
表装の一文字と風帯のブルーがきれいで、夏らしさがでてました。
伊東深水の「吹雪」も上品な美人画で良かったです。
山下摩起の展覧会なんてそう開催されるものではないので、今回の展覧会はすごく貴重でした。
良かったです。

こちらの美術館にはお庭もあります。
蠟梅(ロウバイ)が咲きかけていました。

君子蘭(クンシラン)の実もかわいいですね。

柊南天(ヒイラギナンテン)も蕾がいっぱい。
春の準備は着々と進んでいるのを感じました。
山下摩起の展覧会も常設展示もお庭も良く、1度で3つ味わえるおいしい美術館でした

西宮市大谷記念美術館
住所:兵庫県西宮市中浜町4番38号 TEL:0798-33-0164
開館時間:10時~17時(入館は16時半まで) 休館日:水曜日(ただし祝日の場合は開館し翌日休館)、展示入替期間

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