京都国立近代美術館 「ドレスコード?」展

京都国立近代美術館で開催されている「ドレス・コード?―着る人たちのゲーム」展('19.8.9~10.14まで。入場料1300円)をちょっと前、いや、結構前に観てきました。
内容はだいぶん忘れてしまったのですが、少し記事にしておきたいと思います。

この展覧会を観るには、先に「ドレスコード」とは何かについて押さえておいた方が良いと思います。
ドレスコードとは、日本語では「服装規定」と訳され、意味としては大まかには場やシチュエーションに合わせた服装といったところでしょうか。
場に合った服装などというのは絶対的な定義ではなく、その時の時代や社会背景にも影響されやすい上、個人の主観に基づくものなので、制服や喪服というような、ほぼ誰もが一定の共通認識のものでなければ極めて曖昧なものと言えます。
ですが、人間は排除に関するアンテナは敏感なので、場や社会的状況にそぐわない服装では過度の注目や非難を浴びてしまいがちです。
その中で、自己主張という個性をいかに出していくかは、ファッションの命題なのでしょう。
その時代のドレスコードとは、「流行」とも捉えることができると思います。
時代背景を流行ごとにジャンル分けして見ることにより、私たちはどこから来てどこに向かうのかをファッションを通して考えるのが今回のテーマのように思えました。
テーマは12章から成り立っていまして、まず最初(0章)はビーナス像からですが、服の山の中からさてどんな服を着ようかという風情です。

それから一気に時代が進んで、中世の豪華なドレスです。
一部写真撮影がOKだったので少し載せておきます。
きらびやかですがコルセットでギューギュー締め付けて苦しかったという話は有名ですよね。
それから更に時代が進んで、スーツや制服の章になります。
アルマーニやモンタナ、ポール・スミスなどのブランド物のスーツがずらっと並んでいて壮観です。
カチッとしたクラシカルなスーツは今見てもステキですね。
その中でも、ポケットの位置や色遣いなど個性が見えます。
制服は「ビーパップ・ハイスクール」や「スケバン刑事」などの映画のポスターが多数貼られているのが面白い。
次はデニムの時代です。
労働着として始まったデニムもジーンズだけでなく素材として扱われ、ドレスやコートに変身してオシャレ着になっていきます。
4章は迷彩服です。
戦争のための迷彩服が、色だけ取り上げられいろんな服に取り入れられます。
5章はディオールやフェンディなどのブランドデザイナー物ですが、素材が化繊や綿など安価なもの。
この時代は、人は何に価値を置いたのかを示しています。

6章はDCブランドの時代。
川久保玲はアルチンボルドの絵をドレスに仕立てました。

看板やチラシにもなっている高橋真琴の絵のドレスも川久保玲です。
この他、雪村の絵もドレスにしてましたよ。
7章も同じくブランド物ですが、写真の展示もありました。
8章は写真の展示です。
9章以降はファッションはなんでもありと、ツッパリファッションやゴスロリ、究極は裸体など写真などで展示されています。
ファッションの多様化は、それだけ「個」が主張され「全体」としてのまとまりが弱まっていることを意味するとも考えられます。
その良し悪しは別にして、暗黙の了解が通じにくい現状と合致しているようにも思えました。
ファッションはこれから更に先鋭化していくのか、ある程度まとまっていくのかはわかりませんが、注目していくのも面白いなと思った展覧会でした。

コレクション展では、和装の女性のコーナーが良かったです。
ドレスコード展は思っていたより小難しかったので、美しい日本画の女性を観て癒されました。
(写真は甲斐庄楠音の「秋心」の一部分)
私は気持ちのリフレッシュのために展覧会を観に行っているので、単純に観て美しいと思える方が好みかな。
コレクション展もオススメですよ。
京都国立近代美術館
住所:京都市左京区岡崎円勝寺町 TEL:075-761-4111
開館時間:9時30分~17時(金・土は21時まで。入館は各閉館30分前まで)休館日:月曜(月曜日が休日にあたる場合は、翌日が休館)、年末・年始、展示替え期間

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