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大阪市立美術館 「メアリー・エインズワース浮世絵コレクション」展

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 大阪市立美術館で開催されている「メアリー・エインズワース浮世絵コレクション 初期浮世絵から北斎・広重まで」展('19.8.10~9.29まで。観覧料1400円)を観てきました。

 今まで浮世絵の展覧会はかなり観てきて、正直最近はあまり新鮮味を感じず、今回の展覧会もパスしようと思っていたのですが、モロー展を観に天王寺まで行ったので一緒に観てきました。
 ですが、この浮世絵展はものすごく良かったです

 この展覧会は、アメリカ人のメアリー・エインズワースさんという方のコレクション1500点の中から200点をお借りしての展示になっていますが、エインズワースさんは死後、母校であるオーバリン大学のアレン・メモリアル美術館にコレクションを寄贈され、以後そのコレクションは学生たちの教材にもなったみたいです。
 そのせいか、作品はかなりきちんと整理されており、今回の展覧会でも浮世絵の変遷がわかるようになっていました。 
 もちろん今までも浮世絵の年代を追った展覧会はたくさんあったのですが、今回は浮世絵初期の作品が充実しており、とくに色の変遷がよくわかりました。

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 浮世絵の最初は、菱川師宣による1枚摺の墨一色の版画である墨摺絵です。
 今回の展覧会の最初の1枚は墨一色ではありませんでしたが、菱川師宣の作品(無款)から始まります。
 女性か男性かよくわからない美男美女のちょっとアブナさが漂う作品でした。
 
 墨摺絵にオレンジ色のような丹の彩色を加えた丹絵、紅い色の彩色を加えた紅絵、墨に膠を混ぜて漆のように見せた漆絵などが続きます。
 丹絵や紅絵の作品は色が褪せてしまっていることが多く、保存状態が良く黒が鮮明な黒一色の墨摺の作品の方が美しく感じることもありましたが、それでも奥村政信の「鏡を見る美人」は画面全体が明るい印象に見えました。
 
 墨摺絵に直接彩色の次は、紅摺絵と呼ばれる版による彩色が始まります。
 はじめは黒に紅・緑・黄色を加えた4色ぐらいですが、緑が入るとグッと画面が引き締まりますね。
 石川重信の「二代目坂東菊松の春駒」は、菊の描きこみも細かい上に色の配置も良く華やかでした。

 その後、益々色数の多いものを求められてできたのが錦絵です。
 初期の錦絵の代表絵師といえば、鈴木春信です。
 今回春信の作品は14点ほど展示されていたのですが、今までに観た記憶がない作品が揃っていて嬉しい驚きでした。
 それも、どれも状態が良い
 春信の版画は、一般的に退色が激しいことが多いのですが、今回は退色していても美しいと思える作品が多かったです。
 水絵と呼ばれる手法で描かれた作品は、退色による淡さが良い感じでした。
 キャプションを読むと、世界で1点物と書かれている作品が数点あり、春信の作品群はこの展覧会の目玉の1つだと思います

 春信の後は、色を自在に使って役者絵や美人画を描く時代になり、喜多川歌麿や東洲斎写楽の浮世絵を展示するのが一般的なのですが、今回の展覧会では写楽や歌麿はそれほど多くなく、鳥居清長の作品が多かったのも面白かったです。
 エインズワースさんはプロマイド的な大首絵より、日常生活を描いた美しい風俗画の方がお好きだったのでしょうね。

 色的には、紅嫌いの作品として鳥文斎栄之の「風流やつし源氏 朝顔」がありました。
 黒が利いていてシブくてこれはこれでよいのですが、やっぱり明るい色の方がきれいですね。

 そして葛飾北斎、歌川国芳、歌川広重がよく使った藍色が活躍する時代になります。
 北斎の「諸国名橋奇覧」が11図中5図も観れたのが嬉しかったですね。
 「詩歌写真鏡」は10図中9図も展示されていました。
 どれも色鮮やかできれいでした。
 国芳の今回来た作品は風景画が主でしたが、ドラマチックな「大物浦平家の亡霊」が一番国芳らしい作品でした。
 広重は、エインズワースさんが最も好んだ絵師とのことで、集め方にも気合が入っているように思えます。
 今回の展示も数点ですが、初摺と後摺の作品を並べて展示してあり比較することができました。
 今までは後摺の方が手抜きになっていると思っていたのですが、広重の場合はいろいろ効果を試すためわざと版を変えていることもあり、「名所江戸百景 両国花火」は打ちあがった瞬間の初摺より、花火の余韻の状態である後摺の方が私は面白いと思いました

 額はアレン・メモリアル美術館の学芸員さんのお手製みたいで、作っているところがビデオで流されていました。
 200個も作るのは大変だったと思います。
 オーバリン大学や地元の人たちのコレクションへの思いも撮られており、日本の浮世絵が海外で大事にされ、親しまれていることが伝わりました。
 そんな熱い思いをのせて里帰りした浮世絵のコレクションを見逃さずに観れて良かったです
 どの作品も魅力的で、かなり見応えのある展覧会でした。

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 そうそう、広重のこの猫の作品「名所江戸百景 浅草田甫酉の町詣」、この前の大阪歴史博物館で開催されていた「ニャンダフル浮世絵ねこの世界展」でも出ていましたし、次回書く予定の京都文化博物館での展覧会でも展示されていましたが、こちらの作品が一番状態が良くきれいだったように思います。
 ネコの浮世絵は、当時も今も大人気なのですね
 
大阪市立美術館
 住所:大阪市天王寺区茶臼山町1-82 TEL:06-6771-4874
 開館時間:9時半~17時(入館は30分前まで) 休館日:月曜日(月曜が祝日の場合、翌日休館、年末年始、展示替え期間、災害などにより臨時休館あり)

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