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愛知 岡崎市美術博物館「キスリング」展

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 岡崎市美術博物館で開催されている「キスリング エコール・ド・パリの煌めき」展('19.7.27~9.16まで。観覧料1000円)を観てきました。
 以前からキスリングが好きなのですが、この展覧会は関西には巡回してこないと知って岡崎まで行ってきました
 この展覧会、良かった~

 モイーズ・キスリングはポーランド出身のユダヤ人ですが、裕福な家に生まれたようで、19歳でパリに出て、ピカソたちのいたモンマルトルの洗濯船(バトー・ラヴォワール)に移り住みました。
 20代で画家として成功をおさめ、他の画家達の面倒もよくみていたようです。
 モリディアーニの葬儀費用の負担をしたのもキスリングです。
 2度の世界大戦に志願して従軍しますが、ユダヤ人であるため身の危険を感じたのか、第二次世界大戦でフランス降伏後にアメリカに亡命し、終戦後フランスに戻っています。
 この展覧会では、キスリングの作品を年代を追って紹介していました。

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 キスリングは、フランス時代もアメリカ時代も民衆から受け入れられ、生前から画家として成功した人です。
 初期の作品はキュビズムに影響され、形や構図にこだわっていたみたいでしたが、この画家の良さは天性の明るい色彩感覚だと私は思います。
 キスリングは、色使いがすごくきれいなのです
 きつくなりがちな補色の色使いも、他の色と上手に組み合わせて華やかに見せています。
 おまけに肖像画は愛らしくきれいに描くので、当時から人気があったのも当然でしょう。
 目に光を描いている作品は生き生きとした表情、光が描かれていない大きな目でも吸い込まれそうな魅力があります。
 今回のチラシの少女も、実物はもっときれいでしたよ。

 そしてキスリングの花!
 たっぷりとした量感で、花瓶に飾られていても花束!という感じで、絵が掛けられているだけでも花束をプレゼントされたような気分になります
 ミモザの花の絵は、ミモザの小花を絵具を盛り上げて描いていたので、プチプチした感じが良く出ていてきれいだったなぁ~
 今回の展覧会では、花の絵ばかりを並べたコーナーがあり、観ていて幸せな気分になりました

 観ていて気付いたのですが、キスリングの花や肖像画は、対象物やモデルを部屋の角に持ってくる構図で描いていることが多いなと思いました。
 キスリングの絵は背景はあまり描かれていないのですが、縦に線が入れて微妙に色を変えています。
 そのせいで、遠近感がでて対象物が前面に見え存在感が増します。
 でもその線は、中央ではなく少しずらしてあるので、それほど前に出ているという感じでもなく、更にオーラのような影で対象を囲って背景となじませているので自然な形で目を惹きます。
 その辺も巧いなと思いました

 パリに来て最初の頃のピカソやセザンヌに似た作品以外は、フランス時代でもアメリカ時代でも一貫して一目見てキスリングとわかるような作品ばかりで、なんと果物の静物画でさえキスリングでした

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 写真は右端がキスリング、その横がフジタです。
 独自画風を一早く完成させ、人のためにも労を惜しまないキスリングは、画家としても人間としてもエコール・ド・パリでリーダー的存在であったのも納得です

 初夏のような明るさの色彩に、パッと気持ちが引き立ちました
 遠かったですが、頑張って観に行って良かったです。
 オススメの展覧会でした

岡崎市美術博物館
 住所:愛知県岡崎市高隆寺町字峠1番地岡崎中央総合公園内 TEL:0564-28-5000
 開館時間:10時~17時(入館は16時半まで) 休館日:月曜(月曜が祝日の場合は翌日休館)

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