京都国立近代美術館 「トルコ至宝展」

京都国立近代美術館で開催されている「トルコ文化年2019 トルコ至宝展 チュ-リップの宮殿トプカプの美」展('19.6.14~7.28まで。観覧料1500円)を観てきました。

この展覧会は、オスマン・トルコ時代の宝物を中心に、約170点が展示されていました。
オスマン帝国の象徴として大切にされた花が、トルコ語で「ラーレ」と呼ばれるチューリップで、トプカプ宮殿の数ある宝物の中でとくにラーレ文様のあしらわれた品々が来ているということで、漫画チックなスルタンと女性の立て看板が飾ってありました

会場に入ると、まぁなんと煌びやかなこと!


大きな宝石を磨いてしまうと輝きは増しますが削られて小さくなってしまうので、できるだけ原石そのままの大きさで装飾品に使おうとしたのか、どれも宝石が大きい

メフメト4世の宝飾短剣は、柄の部分のほとんどがエメラルドでダイヤもごろごろ。
大胆で豪華な短剣に比して、鞘は金や七宝にダイヤという細かい細工が施され美しかったです

玉座用の吊るし飾りやターバン飾りにも大きなエメラルドが使われていました。
会場はトプカプ宮殿の雰囲気に似せた空間作りをされていました。
宮殿にはスルタンの子孫を増やすため、いろんな国から女性(奴隷)が連れてこられ、その女性たちが住む6層約300室からなるハレム(後宮)があるそうです。
その女性たちの世話をする宦官もおり、ハレムには最大時約2000人が住んでいたそうです。
スルタンは基本結婚はせず(1人だけ例外有り)、スルタンの母が女主人だったそうですが、基本構造がなんか日本の大奥に似てますね。
トプカプ宮殿には最大時6000人が住んでおり、そのうち1200人が料理人だったそうで、ハレムの女性とその関係者、料理人だけで宮殿の住民の約半分だったかもしれません。
徳川幕府時代に江戸城に住んでいた人の割合も、それぐらいだったかもと想像してしまいました。
財政引き締めのため、大奥を縮小した徳川吉宗の施策が実感できました

逆にいうと、そんな無駄で贅沢なことができるオスマン帝国はかなり豊かな国だったこともわかります。
展覧会ではそれほど歴史について触れられていませんでしたが、これほど裕福になった経緯に興味がわきました。
東西文化の交流地であるイスタンブールを手に入れたことで、オスマン帝国がどのように発展し滅亡し、その後トルコ共和国に至ったか、トルコの歴史についても知りたくなりました。
ですがその前に、イスタンブールに旅行に行きたくなりました

トプカプ宮殿、アヤ・ソフィア、ブルーモスク、地下宮殿のメデューサの台座などなど行きたいところ、見たいものがいっぱい

ただイスラム圏が政情不安定なので、早く世界が平和になって自由に旅行できるようになってほしいものです。

美術館でのコレクション展('19.6.12~8.4まで)では、村上華岳の没後80年ということで、華岳の作品が多く展示されていました。
コレクション展では多くは写真撮影可なのですが、華岳の作品は全て撮影不可でした。
ですが、常設で華岳の作品をまとめて観ることができ嬉しい♪
それも仏画が多かったので、余計に感動しました。
華岳が描く仏さまは、丸顔で優しく温かみがあります。
ぞれでいて優雅で手が届かないところにいらっしゃる感じがします。
人々を救いに行かれている時ではなく、一休みされているプライベートな時間の仏さまという感じで、観ているこちらもリラックスできました


藤島武二の「花籠」も展示されていました。
藤島武二の絵は好きなんです。

里見勝蔵の「渓谷の春」は、いかにもフォーヴという感じで、暗い嵐のようなグレーの世界で、この明るさが師匠のヴラマンクの画風に似ていると思いました。
ひたすら豪華絢爛なトルコ至宝展と村上華岳のコレクション展の両方が楽しめた充実した展覧会でした。
楽しかったです

京都国立近代美術館
住所:京都市左京区岡崎円勝寺町 TEL:075-761-4111
開館時間:9時30分~17時(入館は16時30分まで)休館日:月曜(月曜日が休日にあたる場合は、翌日が休館)、年末・年始、展示替え期間

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