あべのハルカス美術館 「クマのプーさん展」

もう終わってしまいましたが、6月の末まであべのハルカス美術館で「クマのプーさん展」('19.4.27~6.30まで。観覧料1500円)が開催されていました。
作者のA.A.ミルンが息子のクリストファー・ロビンのために書いた「クマのプーさん」のお話と、ヴィクトリア&アルバート博物館に所蔵されているE.H.シェパードの挿し絵の原画を紹介した展覧会でした。

会場では、絵本の世界の一部のジオラマがあり、プーさんの森に私たちを誘ってくれます。
展覧会を観ていて、はたと考えてしまいました。
クマーのプーさんって、当然知っているのですが、ちゃんと絵本を読んだことがあったかな?と。
子どもの頃、ディズニーの絵本や映画は見た記憶があるのですが、原作に近いのは読んだような読んでないような。
それでも会場の絵に見覚えがある物もあったし、知っているエピソードもあったので、なんとなくは見たことがあるのでしょう。
展覧会の最後にプーさんの本が置いてあり、自由に読むことができたので、せっかくならと岩波書店の「クマのプーさん全集」を少し読んでみたのですが、432ページもありその場では読めきれないなと思い途中でやめました。
その本は挿し絵が全編カラーで、税抜き7600円もする豪華本だったので購入するのは難しく、家に帰ってから図書館で予約を入れ借りて読んでみました。

はじめは、量は多いですが子ども用の絵本ですし、すぐに読めるだろうと高を括っていたのですが、意外にも読むのに時間がかかる。
なんか読みにくい。
何が読みにくいのだろうと考えると、回りくどい言い回しをしたり、絵本の動物たちがよくする言葉の言い間違いなどが多く、意味がストレートに伝わりにくいのです。
おまけにひらがなが多いからか句読点も多く、なんかスッと読みにくい。
ですが、句読点がないと意味が成しにくい。
たとえば、ウサギが皆に「かいらんばんプーよこちょのいえにきつぎぶんつうかのけんでぜんいんしうごさそくつうこのことウサギ」というのがあるのですが、これを普通の日本語に変換するのに、前半はスッといきますが後半は少し時間がかかります。
多分「回覧板 プー横丁の家に決議文通過の件で全員集合 早速通告のことウサギ」だと思うのですが、本当にあっているかはわかりません。
本編では単語の言い間違いがあること自体は書いてあるのですが、正解文は書いてないのです。
これはもしかすると原作はこどもに国語の勉強をさせるためなのかもしれませんが、日本語変換では推測すること自体難しい場合があります。
この回覧板で皆が集まり、『みんながロバのイーヨーにごきげんいかが?と挨拶をすると「いかがじゃない。これというほどいかがじゃない。」というイーヨーのあいさつ』とあり、イーヨーは機嫌がいいのか悪いのかもよくわかりません。
(多分、いつもと同じなんだろうと思います。)
このような調子で、いろいろ推測が必要なことが多く、なかなかすんなりとは読ませてもらえないのです。
プーを含め、仲間の多くが自分たちはあまり物を知らないと思い込んでおり、皆、自尊心が低いのもびっくり。
そのせいか、遠回しに聞いたり自信のない物言いをすることが多く、余計に話が伝わりにくい。
それでも一生懸命考え、行動するプーとその仲間たちは愛らしく、唯一の頼りになる存在としてクリストファー・ロビンを慕っていたということがよくわかります。
それはまるで作者のA.A.ミルンが息子のクリストファー・ロビン・ミルンに対して、「皆が君のことを愛しているよ」と言っているみたいで、父親の愛情が感じられました。

この本は、内容よりプーさんやその仲間の愛らしい行動の雰囲気を楽しめればそれでいいのかもしれません。
それには挿し絵は必須で、良い挿し絵を描いてもらえて良かったなと思いました。
あべのハルカス美術館
住所:大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43 あべのハルカス16階 TEL:06-4399-9050
開館時間:火~金10時~20時、月・土・日・祝10時~18時(入館は各閉館30分前まで) 休館日:一部の月曜日(祝日の場合は開館)、年末年始、展示替期間中

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