兵庫 伊丹市立美術館 「俳諧と茶の湯」展&「並河靖之 七宝展」

美しい工芸品が大好きなので、伊丹市立美術館で有線七宝の並河靖之の展覧会があると知って、ウキウキ気分で行ってきました

伊丹市立美術館には、俳文学のコレクションを展示している柿衞(かきもり)文庫が併設されており、先にこちらから拝観しました。
今回のテーマは「俳諧と茶の湯」('19.9.9~10.22まで。)です。
俳句自体はあまりわからないので、文学なのに私は「読む」のではなく「見る」を中心に楽しみました(笑)。
結構、俳画はほんわかとかわいかったり味がある作品が多いのです。
中村芳中の「鹿図」、かわいかったなぁ~

与謝蕪村や英一蝶の掛軸はさすがに上手い!と思いましたね

「字」も見ていて楽しいものもあります。
私はほっこりくつろげる作品に惹きつけられました
今回は茶道具も展示されており、「見る」ことが好きな人も楽しめる展覧会でした


さて、いよいよお目当ての「並河靖之 七宝-明治七宝の誘惑・透明な黒の感性-」展('19.9.9~10.22まで。入館料700円)です。
並河靖之は、有線七宝の頂点を極めた七宝家で、七宝部門では2人しか選ばれていない帝室技芸員の内の1人です。
(ちなみにもう1人は無線七宝の濤川惣助です。)
今回は、並河靖之の初期から晩年までの作品を一堂に会した贅沢で雅な展覧会でした



並河靖之ってすごいですね~。
有線七宝は素地に薄い金属線を貼付けて仕切りを作り、そこに釉薬を入れて焼いていくのですが、並河の作品はその絵が精密で、色が多彩なのです

色が多彩であるということがよくわかるということは、釉薬の色が多いということと、いかに線を多くして色のしきりをたくさん作っているかということだと思います。
金属線も現代より細く、それを貼っていく技術もより繊細さが要求されるでしょう。
それほど大きい作品は多くはなく、どちらかといえば小さい作品の方が多いのですが、掌サイズの器に多色で色鮮やかな花や蝶がちりばめられている、これぞまさしく超絶技巧です


技巧的に優れているというだけでなく、どれも美しい!


元々武家の出身ということもあるのか、やりすぎ感ということがなく節度ある上品な美しさです。
その美しさを引き出しているのが地色の透明感ではないかと思います。
初期の作品は、黒などの地色に光沢がなく重い印象になっていますが、色に光沢が出てからは並河ワールド全開という感じで、更に更に高みに昇っていったように思いました。
並河靖之の作品は数々の国内外の博覧会で受賞し、その賞状で作った屏風がありました。
その中に第3回、第4回勧業博覧会の賞状があったのですが、その審査官の1人に濤川惣助の名前がありました。
なんと、もう1人のナミカワの方は審査官にまで登りつめていたのですね。
並河靖之の心情はどうだったのかなと思いました。
濤川惣助の無線七宝は絵画に近い印象の作品が多いですが、並河靖之も晩年には有線七宝で絵画のような作品を作っていました。
とても美しかったです

図録は2700円でした。
ちょっと高すぎて手が出ませんでしたがほしいなと思いました。
美しい有線七宝の極致に出会える幸せな展覧会でした

良かったです。

会場を出ると、現代の作家さんの七宝が展示されていました。
また違った良さがありましたので、行かれる方はこちらも寄ってみてくださいね

伊丹市立美術館
住所:伊丹市宮ノ前2-5-20 TEL:072-772-7447
開館時間:10時~18時(入館は17時半まで)、休館日:月曜(祝日の場合はその翌日)、年末年始、展示替期間
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