第51回京都非公開文化財特別公開③ 上京区 妙蓮寺

秋の京都非公開文化財特別公開の3ヶ所目は、本門法華宗大本山妙蓮寺(みょうれんじ)です

妙蓮寺は、宗祖日蓮大聖人より京都への法華経弘通の遺命を受けた日像聖人によって、永仁2年(1294)に創建されたお寺です。
日像聖人が京都に上った折、五条西洞院の柳酒屋に足を止め、その邸内に一宇を建立したのが妙蓮寺のはじまりで、「柳」の一字を「木」と「卯」に分け、山号を「卯木山」としたそうです。
その後、たびたびの法難等により場所を変えたようですが、豊臣秀吉の聚楽第造営に際し、秀吉の命で現在の地に移転されたそうです。

こちらのお寺の見所は、長谷川等伯一門による障壁画でしょう

「松桜之図」、「柳之図」、「鉾杉之図」を見ることができます。
等伯56歳の時の「松桜之図」は、桜の花が白く塗りつぶされる方法で描かれていますが、これは等伯の長男の久蔵が好んだ手法で、早世した久蔵を偲んで等伯がそのように描いたそうです

伏見城に献上するために描かれたそうですが、献上されずに今もこちらのお寺にあります。
「鉾杉之図」が看板になっている絵です。
鋭い山のような杉の配置が斬新です

等伯の次男の宗宅の作品もありました。
金箔地に直に桜を描いており、細かくきれいでしたが、劣化が激しかったのが惜しいです。
宝物庫には、狩野永徳の「羅漢之図」や狩野元信の「鷲之図」などもありました。
元信の鷲は迫力ありました

先日、京博の琳派展(その時の記事はこちら)できれいな字だと思った、本阿弥光悦の「立正安国論」はこちらのお寺の所蔵品で、今も展覧会に出品中です。
「日蓮上人伝」も色が美しい絵巻物でした

こちらのお寺は、近代日本画家の幸野楳嶺(こうのばいれい 竹内栖鳳の師)のお墓もあるそうで、その関係からか、孫の幸野楳渓(豊一)さんの襖絵などもありました

どの絵もきれいでしたが、私は蓮の絵が気に入りました


中は撮影禁止なのですが、十六羅漢石庭だけは撮影OKでした。
臥牛石というのがあり、秀吉により伏見城から移された石だそうです。
白砂と緑の対比が美しいお庭でした。

こちらの妙蓮寺椿は、早咲きの椿で室町時代から有名だったそうです。

一輪だけ咲いていました。
ピンクのかわいい椿でした

見所が多いお寺で、拝観できて良かったです

京都非公開文化財特別公開での拝観は11/8まででしたが、こちらのお寺は期間以外でも拝観可能みたいです。
ただし、長谷川等伯の襖絵などは事前予約が必要みたいですし、休観日もあるようですので、行かれる前にはHPで確認してくださいね。
今回、京都非公開文化財特別公開で行ったお寺は3ヶ所です。
どこも良かったです

ただ、チラシや拝観の手引きに最寄の駅やバス停は記載されていますが、正確な住所が書かれていなかったので、わかりにくかったところがありました。
京都古文化保存協会さんは、次回からはぜひチラシにも正確な住所の記載をお願いしたいです。
妙蓮寺
住所:京都市上京区寺之内通大宮東入ル妙蓮寺前町875 TEL:075-451-3527
拝観時間:9時~16時 休観日:水曜日、年末年始(行事などにより臨時で拝観できない日もあり。詳しくはHPの「拝観」参照)
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