大阪市立美術館 「こども展」

台風19号が九州に上陸し、本州にも近付いています。
それにより大阪市立美術館も本日('14.10.13)休館になりました。
本来なら今日が最終日だった「こども展 名画にみるこどもと画家の絆」展('14.7.19~10.13まで。観覧料1500円)も昨日で終了してしまいました。

この展覧会、今年関西で開催されている海外から招致したあるいは現在招致して開催されている展覧会の中で最も良かったです


こどもの肖像画をテーマにするという企画も楽しいですし、ルノワールやモネ、ピカソ、アンリ・ルソー、マティスなどの画家47人の作品86点が一挙公開というのも見応えがあります

こどもの絵となると、自分のこどもをモデルにしたり親しい間柄のこどもを描くことが多いので、絵から画家たちの愛情が感じられます。
モーリス・ドニの作品は5枚展示されていたのですが、どれもかわいい!

とくに「トランペットを吹くアコ」(チラシ上段右端)は、大きな音を出して父(ドニ)を笑わそうとしているかのようなお茶目な目がかわいいです。
レイモン・レヴィ=ストロースの「子どものクロード・レヴィ=ストロース、あるいは木馬の三輪車にまたがる子どものクロード・レヴィ=ストロース」(チラシ下段右端)は、社会人類学者のレヴィ=ストロースがモデルです。
彼が4歳の時の肖像画ですが、かわいいだけでなく、広い額や探究心旺盛そうな瞳からこの時点で既に賢そうに見えます(笑)。
ダヴード・エンダディアンの「ネガールの肖像」では、横を向いているけれど意思の強さが感じられる瞳に惹きつけられました。
映像コーナーで大人になったネガールさんがインタビューに答えてられたのですが、絵から受けた印象どおりのすごい美人でしたよ


この展覧会で一番良かったのは、ジュリー・マネ関連のコーナーでした。
構成がすごく良かったのです

今回の看板にもなっている猫を抱いている少女は、ジュリーがモデルとなってルノワールが描いた作品です。

ジュリー・マネは、母が画家ベルト・モリゾ、父が画家マネの弟のウジェーヌ・マネで、モリゾが37歳の時に産んだ最愛の一人娘です。
母のベルト・モリゾは、画家マネのモデルであり、自身も印象派の画家として活躍し、ルノワールやドガ、詩人のマラルメと親交がありました。
モリゾはインフルエンザをこじらせて肺炎になり、54歳の若さで亡くなります。
その時には父も伯父のマネも亡くなっていたため、マラルメ、ルノワール、ドガがジュリーの後見人となりジュリーは成人します。
そして、ジュリーは21歳の時ドガの弟子の画家エルネスト・ルーアールと結婚します

ジュリーのコーナーでは、モリゾが描く「庭のウジェーヌ・マネとその娘」、「犬を抱く娘」、ルノワールの「ジュリー・マネの肖像、あるいは猫を抱く子ども」、ジュリー自身が描いた甥がモデルの「オーギュスタンの肖像」(オーギュスタン自身も画家になり、違うコーナーで彼が息子を描いた作品が展示されていました)、夫のエルネスト・ルーアールが描いた「書斎のジュリー」の作品が並びます。
それらはまるでジュリーの成長日記のようです。
最愛の娘を最後まで心配して、マラルメたちに娘を託して逝ったモリゾもこれらを見たらきっと安心したでしょうし、託されたルノワールやドガ、マラルメもその任を果たし満足していると思います


この猫の満足そうで幸せそうな表情、まるでジュリーに関わった人々の気持ちを代弁しているみたいですね

図録は版は小さめなながら、1枚1枚全ての作品に解説がついています。
最近、日本が企画した展覧会の図録は解説が少なくてカタログみたいになって面白くないのですが、さすがパリのオランジュリー美術館での企画展で作られた図録は作品全てに解説がついていて読むのが楽しいです

和訳するのは大変だったでしょうが、この図録2100円はお買い得と思いました

もう終わってしまって紹介するのが遅くなって申し訳なかったのですが、観ていて幸せな気分になり癒される展覧会でした


天王寺公園には本物のニャンコさんがくつろいでいました。
ニャンコさんがくつろげる公園って、優しい街という感じがして良いですね

大阪市立美術館
住所:大阪市天王寺区茶臼山町1-82 TEL:大阪市総合コールセンター なにわコール06-4301-7285(8時~22時)
開館時間:9時半~17時(入館は30分前まで) 休館日:月曜日(月曜が祝日の場合、翌日休館、年末年始、展示替え期間、災害などにより臨時休館あり
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