京都市美術館 「バルテュス展」

岐阜に行った時にいろいろまわったので、その記事も書かなくては思いながら、毎日がしんどくてブログから遠ざかっていたら、京都市美術館の「バルテュス展」('14.7.5~9.7まで。観覧料1500円)が今日で終わりだと気付きました

この頃、毎回のように当日紹介のようになっていますが、今回も感想を書いておきます


バルテュス(バルタザール・クロソフスキー・ド・ローラ)は、ポーランド貴族の血を引くフランスの画家です。
見てのとおり、めちゃイケメン

兄とともに写っている子どもの時の写真があったのですが、本当に美少年!
兄弟ともにすごくかわいい

そんなバルテュスが絵の対象として興味を示したのが、猫と少女。
とくに少女は、大人になる前の潔癖そうな固い少女にエロティックとも取れるような無防備なポーズをとらせ描いています

私がバルテュスのことを初めて知ったのは、結構早くて20代中頃だったと思います。
美術系の雑誌に紹介されているのを読んで、名前と人物像そして簡単に絵を見たのです。
その時に興味は持ったのですが、作品がどこにあるのかの情報はなかったのでそのままだったのですが、そのすぐ後に旅行でポンピドゥーセンターに行ったらバルテュスの作品が展示されており実際に観ることができました。
その頃は、私自身もまだ青かったので、受ける絵の印象からちょっと観るのが恥ずかしくあまりじっくり正視できなかったのですが、インパクトを受けたのは事実です

その後も何回か絵を観る機会はありましたが展示数が少なく、今回は大回顧展ということで楽しみにしていました。


今回は私も年を重ねており、恥ずかしがりもせずじっくりと観てきました(笑)。
というか、バルテュスのことを好きか嫌いかがはっきりするような、もっとドギマギする展覧会になるのかなと半分期待していたのですが、思ったよりマイルドでちょっと拍子抜けしました。
その分、バルテュスの絵の魅力がわかったような気もしました

バルテュスは、かなり光を意識した画家です。
固い少女にしどけないポーズ、暗めの色彩に丸みや柔らかさを表す光は、緊張と弛緩、固さと柔らかさなどの均衡を描いていると思うのですが、その均衡が一般の人の今までの感覚より少し上を表現していたので、結果的に見る人の感受機能の上限が引き上げられる、または、感受性を少し研いでもらったように思えることが彼の作品に惹きつけられる理由の一つではないかと思います。
また、バルテュスが意識した光も、ものすごい均衡の上で描かれています。
印象派のように一目でわかるような光でないところが面白い。
彼の作品の光を見るには、少し遠くから見てくださいね

京都市美術館では会場がちょっと狭くて、距離をとって見ることは難しいのですが、遠くから見るとまた違った印象を受けると思いますよ


これだけ均衡にこだわる画家なので、描く対象も見極めたいと思うのは当然だっただろうなとは思いますが、モデルさんに手をつけるというのはどうかと思います。
奥様が今日本にいらっしゃるので、バルテュスの悪口は書きたくないのですが、生前、バルテュスはロリコン等と批判や誤解にさらされていたようですが、彼の行動から誤解とはいえないと私は思っています。
大人として、こどもの信頼を裏切るような行為は慎まないとね。
展覧会の最後には写真も展示されていましたが、撮ったのは篠山紀信さんでした

図録は2400円です。
ちょっと高いですが、バルテュスの展覧会はそうは開催されないでしょうから購入しました。
まだパラパラ眺めただけで読んでいないのですが、おいおい読んで楽しむことにします

バルテュス、綱渡りのロープの上を歩いているような危うい緊張感がある作品を描く画家です。
不思議な魅力を感じる展覧会でした

京都市美術館
住所:京都市左京区岡崎円勝寺町124(岡崎公園内) TEL:075-771-4107
開館時間:9時~17時(入館は16時半まで) 休館日:月曜(祝日の場合は開館)、年末年始(12月28日〜1月2日)
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