奈良国立博物館 「鎌倉の仏像」展

奈良国立博物館では「武家のみやこ 鎌倉の仏像 迫真とエキゾチシズム」展('14.4.5~6.1まで。観覧料1300円)が開催されています。
私は鎌倉時代の仏像が好きなので、奈良にある鎌倉時代の慶派の仏像展だと思って観にいったのですが、神奈川の鎌倉にある仏像の展覧会だったのでちょっと意表をつかれました

チラシに小さく武家のみやこと書かれているのを見落としていたのです。
ですが、関西からはなかなか鎌倉まで行けないので良い機会となりました



最初に鎌倉国宝館の十二神将立像が展示されています。
お顔の造作がはっきりしていますし躍動感があります。
十二神将といえば、頭上に十二支の動物を載いていることが多いのですが、こちらの十二神将は十二支を表すものはパッと見た感じではわかりませんでした。
ポーズや手に持っている武器などから判別するのですかね?
チラシ左の中央は戌神なのですが、この像だけは西洋風の顔立ちで他の神将とは違ってました。
阿弥陀寺の文殊菩薩立像は、小さいですが若くてかわいい文殊さまです

彩色も鮮やかで美しいです。
今までにあまりお目にかかったことがないような文殊さまでした。


浄光明寺の観音菩薩坐像(チラシ右の右上)は、首の傾げ方が優美です。
同じく浄光明寺の地蔵菩薩立像は八頭身以上のスタイルでお顔は慶派らしい美しさがあります。
衣の表現もきれいでした。
ポーズの優美さでは、建長寺の掛軸の白衣観音像が一番でした。
マンガやイラストに描かれる優雅な神仏のポーズそのものです。
神武寺の不動明王立像も腰を少しひねって立ってらっしゃるポーズと、美しく彩色された衣が今までのお不動さまとは違った印象を受けます。
展覧会のサブタイトルに「迫真とエキゾチシズム」とあって、観る前に、迫真はわかるけどエキゾチシズムってどういうこと?鎌倉時代の仏像って力強いのにと思っていたのですが、実際に観てみると、このサブタイトルはピッタリでした。
お顔は写実的でポーズは大陸の影響ありありで、私が今までお会いしてきた仏さまとは少し違うのです。
いや、関西にもこういう仏さまもいらっしゃるのですが、お寺の雰囲気のせいでなのかそれほど目立たないような。
今回は、展覧会場で大陸の影響を受けた仏像を多く観たからか、不思議な違和感を感じました。
同じ日本で、奈良から行った仏師が造った仏像なのに、地域によってこんなに変化するのだなと思いました。
でも、よく考えてみると、奈良と京都でも仏像の傾向は違いますものね。
鎌倉の仏像に宋の影響がでている理由がチラシに書いてあり、なるほどと思いました。
ただ鎌倉の仏像は写実的です。
その分、より人間に近くなっているように思いました。
図録は嬉しい価格の1600円です


いつも奈良国立博物館の図録は読み応えたっぷりなのですが、今回は価格を抑えている分記事自体は少なかったのですが、写真集みたいでたまには良いかなと思います。
今回の仏さま、お寺でお会いしたらまた違う印象をもてるのではないかと思います。
遠くてなかなか行けませんが、関東のお寺めぐりもしてみたいなと思えた展覧会でした


帰りに、なら仏像館もお忘れなく

奈良国立博物館
住所:奈良市登大路町50番地 TEL:050-5542-8600(ハローダイヤル)
開館時間:9時半~17時(金・土は19時まで。入館は各閉館の30分前まで) 休館日:月曜
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