大阪市立美術館 「山の神仏」展

GW後半の連休も後残りわずかになりましたね。
全然予定を立てていなかったのですが、お天気もよく、遊びに行きたーいと思い、2日連続でお出掛けしてしてきました(笑)。
土曜は昼前から行けるところとして、チケットを購入していた大阪市立美術館に行ってきました。

大阪市立美術館では、「紀伊山地の霊場と参詣道 世界遺産登録10周年記念 山の神仏(かみほとけ) 吉野・熊野・高野」展(前期'14.4.8~5.6まで、後期5.8~6.1まで。観覧料1400円)が開催されています。
タイトルどおり、吉野・大峯山、熊野三山、高野山の神像や仏像を中心に紀伊山地の信仰を紹介した展覧会です。
最初は吉野・大峯山から始まっています。
ここは蔵王権現、役行者が信仰の中心です。
第1室の役行者像は、私がいつも見ている役行者像とは少し違ってます。
櫻本坊の役行者坐像は、目をしっかり開け、静かですがまるで話しているように見えました。
同じく櫻本坊の役行者椅座像(重文)の方は、よくあるプロトタイプのお姿でしたけどね。
こちらは大きさもあり、衣までしっかり彫られていて存在感がありました(チラシ左)。
吉野曼荼羅図もいろいろありましたが、私は西大寺の曼荼羅図が好みでした。
蔵王権現に迫力があり、子安明神が美しい

大峯山寺の蔵王権現立像(重文)は、小さいですが端整でした

同じく大峯山寺の如来・菩薩坐像(重文)は3cm大ぐらいの小さな仏さまですが、金造りでこちらも美しかったですよ

大峯山寺は現在でも女人禁制なので、私たち女性は通常では見ることができない宝物です。
貴重な機会になりました。
そうそう、このコーナーで絶対チェックしていただきたい仏さまがいらっしゃいました。
奈良大日堂の阿弥陀如来坐像です。
静かで美しいのですが、それだけでなく、小さく呼吸をしているような印象を受けるのは私だけでしょうか

奈良喜蔵院の天狗立像は木彫の天狗像です。
私はあまり見たことがなくて、おぉ~と思いました。
目には玉も入っており、かっこよいので皆さまもお見逃しなく

次のコーナーは高野山です。
高野山といえば弘法大師ですが、今回はチラシ真ん中の女神坐像(三谷薬師堂所蔵)などのように神像関係が多かったです。
それも狩場明神、丹生明神が多かったです。
狩場明神(高野御子神と同一神とも言われている)は、弘法大師が寺堂建立の地を探している際に現れ、高野山の地を教えた神とされています。
その狩場明神の母神が丹生都比売神(丹生明神)で、丹生明神が高野山の地を弘法大師に譲ったため、弘法大師はその地に金剛峯寺を建立したとされています。
高野山開創に関連する二神なので、この展覧会に多くお出ましなのは当然なのだなと納得しました

狩場明神はいつも白・黒2匹の犬を連れていらっしゃるそうです。
白犬は色が明るいのでわかりやすいですが、黒犬は劣化でわかりにくくなっていたのが残念でした。
ちなみに丹生都比売神と高野御子神は、「丹生高野神」として高野山の鎮守となり、高野山と密接な関わりを持っています。
高野山に参詣する折には、まず丹生都比売神社にお参りしてから高野山に登るのが慣習なんだそうです。
私は神仏霊場めぐりをしているので、高野山のついでではなく、主目的として丹生都比売神社も丹生官省符神社にも行かなければならないのですが、まだこれからです。
金剛峯寺は今までに何回か訪れたことがあるのですが、御朱印はまだなのでこちらも行かなければなりません。
訪れた際にはまたブログで報告したいと思います。
いつになるかはわかりませんけどね(笑)。


展覧会の話に戻りますが、仏像は金剛峯寺の両頭愛染明王坐像は2つの忿怒相のお顔がこちらを見ています。
掛軸では見たことはありますが、木彫では拝むのは初めてかもしれません。
同じく金剛峯寺の愛染明王坐像は、きれいな明王さまでかっこよかったです

合体不動と呼ばれている不動明王立像は2m以上もある、大きなお不動さまでした(チラシ左下)。
平安時代の作だそうで、素朴な力強さがありました

吉野の櫻本坊の不動明王立像は、金剛峯寺のお不動さまとはまた違っており、ずっとこちらを見ていらっしゃいます。
でも後姿は女性のように美しいので、後姿も是非拝ませてもらってくださいね。
お背中を見ることができるのは展覧会ならではですから

最後のコーナーは、熊野三山です。
こちらはなんといっても国宝である熊野速玉大社の熊野速玉大神坐像が圧倒的な存在感でした


2枚目の写真チラシの表紙の右がそのお姿ですが、チラシと本物では雲泥の差です。
本物は威厳があり、圧倒されます。
像としても美しく、こちらがこんなに見つめてしまってはいけないのでしょうが目が離せず、その場から離れがたかったです。
こんなに間近で見させていただく機会はそうないでしょう。
良かったです。
熊野曼荼羅図も多数展示されていました。
昔から「蟻の熊野詣」と言われているように、多くの人が詣でていたので熊野曼荼羅図もいろんな地にあるのでしょうね。
熊野速玉大社の那智参詣曼荼羅図は水飛沫の表現など、絵画的にも秀逸でした。
津市神戸自治会が所蔵している那智参詣曼荼羅図・熊野観心十界図も色が美しかったです。
白と赤が効果的に使われており、画面が明るく見えました。
津市の曼荼羅図は前期のみの展示ですので、行かれる方はお見逃しなく

阿弥陀寺の五大明王像は、なんか外国人っぽい印象です。
ギリシャやペルシャなど大陸からの影響があるように思えますので、時代を見るのを忘れてしまったのですが、古い時代のものかもしれませんね。
図録は2300円でした。
前期は明日(5/6)までで、5/8から展示替えされます。
どれも興味深く観ることができ、楽しかったです


この蔵王権現さまは後期の展示です。
私は多分後期も観に行くと思います

日本人の宗教観は、仏さまも神さまもお参りするといって外国からは不思議がられますが、もともと神と仏が近しいものであったからこその所以なのだとこの展覧会を見て思いました。
歴史的には各時代で宗教弾圧をしたこともありますが、現在も国教という絶対的な宗教はなく、信仰に対して大らかです。
それは世界に誇れる日本人の美点の一つだと思っています。
これからも宗教だけでなく、他者に対しても寛容で平和な国にしていかなければ思いました。
大阪市立美術館
住所:大阪市天王寺区茶臼山町1-82 TEL:大阪市総合コールセンター なにわコール06-4301-7285(8時~22時)
開館時間:9時半~17時(入館は30分前まで) 休館日:月曜日(月曜が祝日の場合、翌日休館、
'14.5.7休館)、年末年始、展示替え期間、災害などにより臨時休館あり
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