大阪市立東洋陶磁美術館 「マイセン磁器の300年」展と中之島図書館

最近できたお友達と大阪市立東洋陶磁美術館の「開館30周年記念特別展 国立マイセン磁器美術館所蔵 マイセン磁器の300年」展('12.4.7~7.22まで。観覧料1000円)を観てきました。
この友達は皆美術・歴史が好きな人ばかりなので、一緒に観ていて楽しい♪
みんな好きなペースで観て周るのですが、お気に入りの作品が見つかると自然と集まり、小声で感想を述べあって心の中で盛り上がります。
本式の盛り上がりは会場を出た後ですので、騒がしくしてませんよ、念のため


この展覧会は巡回展なので、私は去年、兵庫陶芸美術館で観ているので2回目となります。
マイセンのことなどについては以前に書きましたので(そのときの記事はこちら)、今回は両展の比較と作品の感想を紹介いたしましょう。

まず、大阪市立東洋陶磁美術館と兵庫陶芸美術館の時との比較ですが、兵庫陶芸美術館は展示スペースが広いのです。
ですから、展示方法も部屋の中央にメナージュリ動物彫刻を置くなど、空間を活かしたものになっていました。
この動物彫刻、大きくてちょっと獰猛な感じなので、これらが部屋の中央に置かれると威圧感があります。
でも、東洋陶磁美術館は狭いので壁伝いに展示してあり、その他の作品にまぎれて威圧感が軽減されます。
それに、食器などが展示されている部屋は、狭い分だけより身近に感じられ、マイセン磁器に囲まれているという感じがしますので、狭いことが逆に長所となり楽しい空間になっていました。
広い空間にて貴族の気分で観る展覧会と、狭い空間で極上の磁器を身近に感じる展覧会、なんだかマイセンの歴史の変遷みたいですね


作品については、今回もマイセン人形が面白いなと思って観ていたのですが、友達の一人が「見つかった浮気相手」の展示方法が図録と違うことを発見。
これらの人形、一体ずつ置き場所を変えることによってシチュエーションを変えて遊ぶことができるんですね。
大人のための人形遊び、楽しそう

マイセン人形、本当に凝っていて、「歯医者にて」という作品は、歯を抜かれた人の目の下にはくまができているんですよ。
夜も眠れないほど痛んだのでしょうね、お気の毒に(笑)。
20世紀のマイセン人形はもっと市民向けとなり、子どもも愛らしい

「猫を抱く少女」は、嫌々ながらもおとなしく抱かれている猫の表情もかわいいですよ

行かれる方はチェックしてくださいね。
そうそう、動物といえば、メナージュリ動物彫刻は歯を剥きだしているのが多かったのですが、マイセン人形からは口が閉じられ、獰猛さがなくなりおとなしくなっています。
やっぱりその方がかわいいですよね。
チラシのお猿さんは、メナージュリの方です。
手に爪まで作られており、リアルなんですがあまりかわいくありませんね(笑)。
人形や彫刻の方ばかりに注目しましたが、花瓶や食器ももちろんステキでしたよ。
マイセンって、カップやポットの蓋の把手の部分が凝っていてオシャレですよね。
今回も、前回同様やっぱりワックスの「ファブラ・セルヴィス」が気に入りました。
だって、把手がトカゲなんですよ

ソーサーの方の絵柄は猫なんです。
面白いでしょ?
色も美しいし、形も面白いんですよ

ぜひ、見てくださいね。
2回目なのであまり感想はないかなと思っていたのですが、一緒に行った友人のおかげで違う視点でも見れ、めちゃ楽しかったです

巡回もこの大阪展で終了です。
会期は明日(7/22)までです。
興味のある方は、お見逃しなく


皆、京都から来た人ばかりだったので、東洋陶磁美術館を出た後、ちょっと大阪の建物探訪ということで、今話題の中之島図書館に案内しました。
この図書館は、明治時代に住友吉左衛門が大阪府にはじめから図書館として寄付した建物です。
外観では玄関ポーチと丸屋根が意匠のポイントで、内部では半円球のドームをいただく円形ホールが特徴だそうです(解説文からの引用)。

ピンボケプラス磨耗でちょっと見にくいですが、府立ではなく「大阪図書館」と書かれているところが、みんなに使ってほしいという寄付した住友家当主の気持ちが込められているような気がします

ちなみに「住友吉左衛門」は、住友家3代目以降に当主になると皆この名前に襲名されるそうです。
この図書館を寄付したのは、15代目友純(ともいと)さんです。
この人は住友銀行の創設者で、現在大阪市立美術館のある場所は住友家の本邸があった場所です。
美術館建設を条件に、美術館の横にある日本庭園「慶沢園」とともに本邸の敷地を大阪市に寄付し造られたのが大阪市立美術館です。
住友吉左衛門友純さんは、大阪の近代的文化基盤を整備された大立役者といえますよね


この正面玄関からは入れず、左右の通路から中に入るのですが、まず最初にかばんをロッカーに入れるための鍵を受付の人にもらいます。
持てる手荷物の大きさが決まっているので、それ以外は全部ロッカーに入れたら、中に入れます。
写真撮影は、中央ホールのみ可となっています。

中は明治・大正の雰囲気が色濃く残っており、良い感じです


階段が、重厚感と曲線のマッチで美しいんですよね。
ホールには、長崎平和像の作者、北村西望作の「野神像」と「文神像」があります。

丸天井のステンドグラスもきれいです。
記念室は時々公開されていて、常時公開ではないのですが、浅井忠の絵も掛けられています。
友純さんの「建館寄付記」の銅版もありますよ。
そこには、「大阪は大都市なのに図書館だけがないので、図書館の建物と図書を揃える基金を寄付して微力を尽くしたい」というようなことが書かれています。
橋下さんや松井さんは、この図書館を廃止してイベントホールか何かにしようと言っているみたいですが、この銅版をもう一度読んでみるべきです。
ここは、大阪の「知の象徴」です。
図書館であるからこそ価値があるのです。
実際にこの図書館には大阪に関する資料が豊富に揃っています。
建物込みで「大阪図書館」なんです。
橋下さんも松井さんも、15代住友吉左衛門さんを見習って、文化についてもっとよく考えてほしいものです。
と、図書館存続について力説してしまいましたが、建物だけでなく本も面白いので機会があれば利用してみてくださいね

大阪市立東洋陶磁美術館
住所:大阪市北区中之島1-1-26 TEL:06-6223-0055
開館時間:現在延長しており9時半~19時まで(入館は閉館の30分前まで) 休館日:月曜、年末年始
大阪府立中之島図書館
住所:大阪市北区中之島1-2-10 TEL:06-6203-0474(代表)
開館時間:月~金9時~20時、土9時~17時 休館日:日曜、祝日、3月・6月・10月の第2木曜日、年末年始
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