京都 龍谷ミュージアム 「仏教の来た道」展

今日で会期終了なのですが、龍谷ミュージアムの「特別展 仏教の来た道-シルクロード探検の旅」展('12.4.28~7.16まで。観覧料1000円)、すごく良かったので紹介しますね。

この美術館は、道路を挟んで西本願寺の向かいにあります。

インドで誕生した仏教は、ガンダーラ、西域を通って中国、日本に伝わってきたのですが、20世紀初頭に西本願寺の第22代門主であった大谷光瑞によって組織された「大谷探検隊」が、その仏教伝来の道を調査をしたそうです。
今回の展覧会は、その調査で得た資料を中心に、シルクロードにおける様々な民族・言語・文化との交流を紹介した内容になっています(チラシ引用)。
展示のまず最初は、ガンダーラ美術の数々です。
「仏立像」、「弥勒菩薩坐像」、「菩薩立像」と3体のガンダーラ仏が並んで展示されているのですが、3体の仏さまともに美しい~

お顔が20代、30代、40代と各年代が揃っているという感じです。
正面から見るお顔と横から見るお顔では印象が違って、私は向かって右側に移動して見る横顔が好きです。
正面からでは、深く物思いにふけってられるように思えて少し遠くに感じるのですが、横顔はすごく穏やかで慈悲深く見えます。
行かれる方は是非、横からも見てくださいね

レリーフも彫りが深いです。
「托胎霊夢」は、摩耶夫人が寝ている時に白象が脇腹から胎内に入る夢を見て懐妊するというエピソードを元に作られたものですが、かわいい象が宙に浮かんでいて、今まさに夢の中にダイブしようとする瞬間が彫られています。
ちょっと面白かったですよ

この展覧会では、壁画の一部も多く展示されていました。
こんな壁画に囲まれた石窟ってすごかっただろうなと思っていたら、新疆ウイグル自治区のベゼクリク石窟寺院第15号窟の復元展示がありました。
デジタル映像復元ですが、細い回廊が赤を中心にしたきらびやかな壁画で囲まれており、その空間の雰囲気に鳥肌が立ちました


ベゼクリク石窟寺院は、20世紀初頭にはもう既に破壊と荒廃が進んでいたそうで、各国はその壁画を守るという名目で剥がして持って帰り、保存しているそうです。
各国が持って帰ったからこそ資料が残り、こうやって復元もできるのでしょうが、こんな貴重な文化財がパーツに分解されてしまったのは残念なことだとも思います

中国に伝播した仏像で、北魏の「仏坐像」は赤や緑などの彩色がきれいに残っていました。
仏さまの横に控えている獅子(?)もかわいかったですよ


同じく北魏の「弥勒仏立像」は(チラシ下段左)、ちょっと内股気味の仁王立ちです。
「やぁ!」と笑顔で話しかけられているみたいです(笑)。
この仏さま、なんか見た覚えがあるなと思っていたら、泉屋博古館の所蔵品でした。
そうそう、泉屋といえば、今回展示されていた中国の「伏義女媧図」は、上部は人身・下部は蛇身なのですが、その足の部分がこの前泉屋博古館で開催されていた 「ガンダーラの美術とシルクロードの絵画」展のケンタウロス像に似てました(その時の記事はこちら)。
ギリシア神話では、ケンタウロスの足は馬で表現されていることが多いのですが、この前見たのは蛇足で、変わっているなと思ったのです。
ケンタウロス族は賢者とされていますし、中国の伏義と女媧は古代創世神話にでてくる人に知識を与え教え導く二神なので、共通点はありそうに思えますが、何か関係があるんでしょうかね?
ちなみに女媧・伏義信仰は、日本にも渡来しているそうです。
話は戻りますが、アフガニスタンのハッダ古墳出土の「仏座像」は、穏やかで優しい笑みを浮かべたこの展覧会で一番美しかった仏さまです


手が破損しているのが、残念でした。
文書もたくさん展示されていましたが、日本語でさえ古文書は読めないのに、外国のでは字がきれいなのかさえ不明です(笑)。
この他にも、ものすごくきれいな朱赤やかわいい花柄文様の布など、シルクロード関係の美術品がいっぱいで見応えがありました

図録は2200円です。
この展覧会は今日(7/16)までです。
仏教美術ファンの方なら見逃せない展覧会になっています。
閉館までにはまだ時間はありますので、興味のある方は是非行ってくださいね。
おススメです

この美術館の裏手には、西本願寺伝道院という伊東忠太設計のちょっと変わった建物もあります。
中には入れませんが、彫刻なども面白いので時間があれば寄ってみてくださいね








龍谷ミュージアム
住所:京都市下京区西中筋通正面下る丸屋町117 TEL;075-351-2500
開館時間:10時~17時(入館は16時半まで) 休館日:月曜(月曜が祝日の場合は翌日閉館)、展示替え期間('12.7.17~8.23は休館)、ミュージアムの定める日
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