京都国立博物館 「王朝文化の華」展
この週末で終了してしまう展覧会を急いで紹介しましょう。

京都国立博物館で開催されている「王朝文化の華 陽明文庫名宝展」('12.4.17~5.27まで。観覧料1300円)です。

玄関には、いつものようにその展覧会のパネルが置かれています。
この展覧会は、藤原鎌足の直系で藤原五摂家の筆頭である近衛家が蔵している宝物庫=陽明文庫の名宝約140点を紹介する展覧会です。
「文庫」という名のとおり、宝物の内容は文書類が多いのか、展示の6~7割程度が古文書の類だったので、もっと観覧者が少ないのかと思っていたら、すごい人です。
みんな熱心に見てられていて、感心しました。
私は、あまりわからないのでサラッとです(笑)。
ですが、今回の見所の一つである藤原道長の日記「御堂関白記」などは、当時の様子や家のしきたりなどが具注暦とともに書かれており、本当に日記という体裁で研究者にとっては貴重な資料だと思います。
こんなのを見ていると、これらの記録が読めたら面白いだろうなと思いますね。

内容はわからずとも、見ていて美しいなぁと思う古文書もありました。
国宝の「大手鑑」は、古筆の断簡を厚手の紙に貼り付けて、帳面みたいに仕立てたものなのですが、その中身がすごい!
聖徳太子(後期)や聖武天皇(前期)、光明皇后(後期)、中将姫、紀貫之など錚々たるメンバーの古筆が並んでいます。
こんな貴重な古文書をよく切ったなぁと、そっちの方が気になったのも事実ですが(笑)。
字が美しいなぁと思ったのは、かな文字で書かれたものですね。
「歌合」の類や「源氏物語」の写本です。
漢字もいいのですが、やはりかな文字は優雅で伸びやかな雰囲気を醸し出してます。
紙が美しいのは「倭漢抄」下巻と孝明天皇の書である「詠糸桜和漢巻」です。
どちらも紙だけでなく、字も美しいのですけどね。
「詠糸桜和漢巻」の紙は、チケットの絵にも使われていましたので、見比べてみてくださいね。
そして、字の美しさを引き立たせているのが表装です。
字より表装の方がステキだなと思う作品もいくつかありましたが(笑)。
近衛家21代当主家熈(いえひろ)が歌にあわせて、表装したものが多いそうです。
結構、表装が目立ちます。
ちなみに表装は、室町以降、茶の湯の流行とともに観賞用に発展したという側面もあり、傷みが激しくなってくるのでだいたい100年1回ぐらい替えられるそうです。
陽明文庫の作品もお茶室に合いそうな感じでした。
後半になると、書以外の宝物の展示がでてきます。
やっぱり家熈さんは茶の湯が好きだったのか、茶杓を小さな箪笥に入れて大切にされていたみたいです。
その茶杓が千利休、古田織部、織田有楽斎など、またまた錚々たる人物の手の物です。
そりゃ、大切にするよねという感じです(笑)。
この家熈さん、かなりの芸術家だったのか、字も上手ですが絵も上手い。
「花木真写」という植物図鑑のような絵は、すごく写実的です。
この美的センスで表装するんだから、目が惹きつけられるのも納得です。
銀細工の雛道具や人形の展示もすごかったですね。
雛道具は、ミニチュア版なのにすごく精巧に作られています。
小っちゃな飾り棚に干支の置物全部が載っているものや、茶道具セットなど、かわいくて欲しいと思いました(笑)。
人形も、小さい木目込み人形などが輪になって展示されていたりしてかわいいです。
とくに子犬の御所人形がかわいかったので、行かれる方はじっくり見てみてくださいね。

そして最後が、お待ちかねの絵画のコーナーです。
近世・近代の絵画が並んでいます。
チラシのメインは酒井抱一の「四季花鳥図屏風」です。
見てのとおり、金地に花や鳥が描かれた華やかな屏風ですが、この部屋は結構落ち着いた作品が多いので、ちょっと浮いてる感じがしますが、これだけを観ると美しいです。
そうそう、このチラシは、「紅地蝶文様繍箔連貫」(上部の蝶)、「四季花鳥図屏風」(中央)、「賀茂祭絵巻」(下部)、 という3つの作品の合成ですので、全部が一緒になった作品はありませんのでご注意を(笑)。
私のイチオシは下村観山の「鷹図」です。
前期の「嵐山・加茂川」の嵐山の桜も良かったのですが、後期の「鷹図」もすごく良いです。
木の上に止まっている鷹は、声を発しているように口を開けています。
そして、鷹の視線の先には鳥の影が。
真ん中の美しく紅葉した蔦が、更に画面を引き締めています。
やっぱり、下村観山はすごいです。
是非是非、注目して観てみてくださいね。
冨田渓仙の「崑崙山図」は、ゴツゴツとした山々が仙境のイメージをだしています。
堂本印象の「寒山拾得」は、ほのぼの系のかわいさですよ。
絶対観てくださいね。
図録は2300円でした。
展示品が全部載っているというわけではありませんが、書の部分などは読まれた方がわかりやすいと思います。
難しい内容だったと思いますが、見応えのある展覧会でした
展覧会の期間中(5/27まで)、この展覧会のチケットの半券を見せると、養源院の拝観料が団体割引に、法住寺は拝観するとお茶とお菓子の接待、新日吉神宮で絵葉書2枚プレゼントなどがありますよ。
うちは一緒に周って来ました。
その時のお話は、また今度ご紹介しますね
京都国立博物館
住所:京都市東山区茶屋町527 TEL:075-525-24738(テレホンサービス)
開館時間:9時半~18時(金曜は20時まで。入館は各30分前まで) 休館日:月曜(月曜が休日の場合は、翌火曜日休館)、平常展示館が建替工事中のため展覧会開催期間以外は全館休館

京都国立博物館で開催されている「王朝文化の華 陽明文庫名宝展」('12.4.17~5.27まで。観覧料1300円)です。

玄関には、いつものようにその展覧会のパネルが置かれています。
この展覧会は、藤原鎌足の直系で藤原五摂家の筆頭である近衛家が蔵している宝物庫=陽明文庫の名宝約140点を紹介する展覧会です。
「文庫」という名のとおり、宝物の内容は文書類が多いのか、展示の6~7割程度が古文書の類だったので、もっと観覧者が少ないのかと思っていたら、すごい人です。
みんな熱心に見てられていて、感心しました。
私は、あまりわからないのでサラッとです(笑)。
ですが、今回の見所の一つである藤原道長の日記「御堂関白記」などは、当時の様子や家のしきたりなどが具注暦とともに書かれており、本当に日記という体裁で研究者にとっては貴重な資料だと思います。
こんなのを見ていると、これらの記録が読めたら面白いだろうなと思いますね。

内容はわからずとも、見ていて美しいなぁと思う古文書もありました。
国宝の「大手鑑」は、古筆の断簡を厚手の紙に貼り付けて、帳面みたいに仕立てたものなのですが、その中身がすごい!
聖徳太子(後期)や聖武天皇(前期)、光明皇后(後期)、中将姫、紀貫之など錚々たるメンバーの古筆が並んでいます。
こんな貴重な古文書をよく切ったなぁと、そっちの方が気になったのも事実ですが(笑)。
字が美しいなぁと思ったのは、かな文字で書かれたものですね。
「歌合」の類や「源氏物語」の写本です。
漢字もいいのですが、やはりかな文字は優雅で伸びやかな雰囲気を醸し出してます。
紙が美しいのは「倭漢抄」下巻と孝明天皇の書である「詠糸桜和漢巻」です。
どちらも紙だけでなく、字も美しいのですけどね。
「詠糸桜和漢巻」の紙は、チケットの絵にも使われていましたので、見比べてみてくださいね。
そして、字の美しさを引き立たせているのが表装です。
字より表装の方がステキだなと思う作品もいくつかありましたが(笑)。
近衛家21代当主家熈(いえひろ)が歌にあわせて、表装したものが多いそうです。
結構、表装が目立ちます。
ちなみに表装は、室町以降、茶の湯の流行とともに観賞用に発展したという側面もあり、傷みが激しくなってくるのでだいたい100年1回ぐらい替えられるそうです。
陽明文庫の作品もお茶室に合いそうな感じでした。
後半になると、書以外の宝物の展示がでてきます。
やっぱり家熈さんは茶の湯が好きだったのか、茶杓を小さな箪笥に入れて大切にされていたみたいです。
その茶杓が千利休、古田織部、織田有楽斎など、またまた錚々たる人物の手の物です。
そりゃ、大切にするよねという感じです(笑)。
この家熈さん、かなりの芸術家だったのか、字も上手ですが絵も上手い。
「花木真写」という植物図鑑のような絵は、すごく写実的です。
この美的センスで表装するんだから、目が惹きつけられるのも納得です。
銀細工の雛道具や人形の展示もすごかったですね。
雛道具は、ミニチュア版なのにすごく精巧に作られています。
小っちゃな飾り棚に干支の置物全部が載っているものや、茶道具セットなど、かわいくて欲しいと思いました(笑)。
人形も、小さい木目込み人形などが輪になって展示されていたりしてかわいいです。
とくに子犬の御所人形がかわいかったので、行かれる方はじっくり見てみてくださいね。

そして最後が、お待ちかねの絵画のコーナーです。
近世・近代の絵画が並んでいます。
チラシのメインは酒井抱一の「四季花鳥図屏風」です。
見てのとおり、金地に花や鳥が描かれた華やかな屏風ですが、この部屋は結構落ち着いた作品が多いので、ちょっと浮いてる感じがしますが、これだけを観ると美しいです。
そうそう、このチラシは、「紅地蝶文様繍箔連貫」(上部の蝶)、「四季花鳥図屏風」(中央)、「賀茂祭絵巻」(下部)、 という3つの作品の合成ですので、全部が一緒になった作品はありませんのでご注意を(笑)。
私のイチオシは下村観山の「鷹図」です。
前期の「嵐山・加茂川」の嵐山の桜も良かったのですが、後期の「鷹図」もすごく良いです。
木の上に止まっている鷹は、声を発しているように口を開けています。
そして、鷹の視線の先には鳥の影が。
真ん中の美しく紅葉した蔦が、更に画面を引き締めています。
やっぱり、下村観山はすごいです。
是非是非、注目して観てみてくださいね。
冨田渓仙の「崑崙山図」は、ゴツゴツとした山々が仙境のイメージをだしています。
堂本印象の「寒山拾得」は、ほのぼの系のかわいさですよ。
絶対観てくださいね。
図録は2300円でした。
展示品が全部載っているというわけではありませんが、書の部分などは読まれた方がわかりやすいと思います。
難しい内容だったと思いますが、見応えのある展覧会でした

展覧会の期間中(5/27まで)、この展覧会のチケットの半券を見せると、養源院の拝観料が団体割引に、法住寺は拝観するとお茶とお菓子の接待、新日吉神宮で絵葉書2枚プレゼントなどがありますよ。
うちは一緒に周って来ました。
その時のお話は、また今度ご紹介しますね

京都国立博物館
住所:京都市東山区茶屋町527 TEL:075-525-24738(テレホンサービス)
開館時間:9時半~18時(金曜は20時まで。入館は各30分前まで) 休館日:月曜(月曜が休日の場合は、翌火曜日休館)、平常展示館が建替工事中のため展覧会開催期間以外は全館休館
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