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京都 泉屋博古館 「ガンダーラの美術とシルクロードの絵画」展

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 昨日(5/21)の金環日食、皆さん見られましたか?
 大阪は雲が多かったのですが、雲の合間から見ることができました。
 あっという間でしたが、きれいでしたね。
 うちは夫がタイミングよく写真を撮ってくれました。
 なかなか上手に撮れてますよね

 ところで、一昨日終わってしまった泉屋博古館 「ガンダーラの美術とシルクロードの絵画」('12.3.17~5.20まで。入館料730円)の紹介をさせていただきます。

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 この展覧会は、泉屋博古館の名誉館長で、京大時代にインド・アフガニスタン・パキスタンの仏教遺跡を調査した考古学者の樋口隆康さんのコレクションと、シルクロード美術の保存と蒐集を行った平山郁夫の作品とコレクションを紹介した展覧会となっています。

 絵画よりレリーフなどの考古学発掘品のようなのが多かったです。
 小さいですが、彫りの細かい物が多く、フムフムと見てしまいました。
 勉強になったのは、ギリシア神話の神々の変化です。
 ギリシア神話のヘラクレスが仏教では金剛力士像として表されているのは有名ですが、天空を支えるアトラスが、仏塔などの基壇を支える膝立ちの像で表されているのを初めて知りました。
 また、ポセイドンの子のトリトンは、波を操る時に法螺貝を吹くのですが、それが元になってガンダーラでは伎芸天の役割を担っているんですって。
 面白いですよね。

 面白いといえば、ギリシア神話のケンタウロスは上半身が人間で下半身は馬なのですが、今回展示されていたケンタウロス像は足が蛇の尻尾でした。
 それも足が2本なので2本の蛇。
 どう変化して蛇足のケンタウロスになったのでしょうね。

 ギリシア神話ではないのですが、インド神話のシヴァ神の次男のスカンダの名前はイスカンダル(アレクサンダー大王)から転じたという説があるそうです。
 スカンダは、仏教では韋駄天、倶摩羅天とされているので、もしかするとアレクサンダーが韋駄天として伝わっているかもしれません。
 騎乗術に長けていたアレクサンダーは確かに速かったでしょうね

 今回の平山郁夫の絵画の目玉は、前期は「仏教伝来」(左チラシの上)、後期は「建立金剛心図」(右チラシの上)でしょう。
 私は後期に行ったので「建立金剛心図」の方だったのですが、この作品は、魔が釈迦の悟りを妨害しようと釈迦を誘惑する場面を描いたものです。
 この誘惑を退け静かに瞑想を続けた後、夜が明けると同時に釈迦は悟りを開きます。
 お釈迦さまの体が黄金に輝き、4隅にいる魔もその光を受け金色に輝いているということは、悟りの瞬間なのでしょう。
 その一瞬を見事に捉えた神々しい良い絵だなと思いました。
 描き方も、彫ったような線があり、それがちょっと立体感のような効果を生み出してました。
 この作品は、東京国立近代美術館の所蔵品なので、また機会があれば注目して見てみてくださいね

 この絵に華を添えていたのは、2-3世紀のライオン像です
 このライオン、ちょっと眉がたれていてかわいかったですよ。

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 この日、ちょうど平山郁夫の奥さんの平山美知子さんの講演会がありました。
 平山郁夫が被爆経験から体調に自信をなくし、元気なうちに自分の代表となるような作品を生み出したいという想いから生まれた「仏教伝来」、この作品が入選しシルクロードに奥さんと一緒に旅するようになり、そこで見た遺跡の荒廃を止めたいと思いから文化財の保護に力を注いだということを奥さん自身からお話を聞き、よりリアルに平山郁夫の考えが伝わってきました。
 シルクロードを歩き回った平山夫妻ですが、アフガニスタンやパキスタンなど昔は一般人は旅行に行けなかったらしく、どうやって行けばいいのかと相談した相手が初めに紹介した樋口隆康さんだったそうです。
 それで今回のコラボ展示になったのだなと納得

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 この日は、樋口隆康さんもいらっしゃっていました(写真右)。
 樋口さんは93歳だそうですが、とてもそんなお年には見えないぐらいピンとしっかりしてられます。
 杖もつかずにかくしゃくと歩かれるんですからすごいですよね。
 美知子さんもすごくしっかりした手の生命線をしてられます。
 やっぱり、若い時から良く歩いて足腰をしっかりさせておくと、元気で長生きできるんでしょうね。
 
 最近、平山郁夫の展覧会を観る機会が多いですが、ただ単に絵を見せるというより、平山郁夫の考え方・平和への想いを伝えようとする展覧会が増えてきているような気がします。
 平山郁夫が止めたかった遺跡の荒廃も、世界が平和になれば止まるでしょう。
 バーミヤンの遺跡は、荒廃というよりは、意図的に破壊されたのですものね。
 バーミヤン大仏は、美しい壁画に覆われていたんですよ。
 破壊される前に撮られた写真の展示もありましたが、それを見ると、破壊はむごくもったいことだと思いました。
 本当は、誰もが平和を願っていると思うのですが・・・。

 日本の広範囲で見れる次の金環日食は300年後だそうです。
 その時には今よりもっと平和になってて欲しいなぁ。
 もちろん世界中が平和にね
 
泉屋博古館
 住所:京都市左京区鹿ヶ谷下宮ノ前町24 TEL:075-771-6411
 開館時間:10時半~17時(入館は16時半まで) 休館日:月曜(祝日の場合は開館、翌日代替休)、展示替期間、展覧会の会期中にも臨時休館日がある場合有り。
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